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助っ人と土砂の波と増援

「……なあ、腹ペコ。お前、今まで何処にいたんだ?」


 骨つき肉に齧り付く腹ペコ僧侶──腹は妊婦みたいに膨らんでいる──に質問を投げかける。


「真王城の食糧庫を喰らい尽くした後、コウさん達を追って、地下に向かいました。そしてら、何か生き埋めになっちゃって。今の今まで地面の中にいました」


「よく生きられたな」


「今の私は満腹を超えた満腹を更に超えた満腹状態。1日2回しか使えない魔法も、今の超々々満腹状態だったら、何発でも撃てますよ」


 そう言って、腹ペコは腹ボテ状態のまま、シャドーボクシングを始める。

 魔法で身体能力を強化しているのか、彼女が宙を殴る度にソニックブームが巻き起こった。


「……もしかして、アレを投げ飛ばしたの、お前か?」


「はい、筋力とか握力とか色々なものを魔法で強化したら何かいけました」


 ルルの魔法(さいのう)に恐怖心を抱く。

 そうか、お前は腹を満たすだけで、全長150メートル級を投げ飛ばせるようになるのか。

 化物かよ。


『コウ!?何ボーッとしてんの!?攻撃来るわよ!』


 左腕からリリィの声──彼女は籠手の中に魂を封じられている──が聞こえてきたので、慌てて黒い狐の方を見る。

 黒い狐は不思議な力で周囲にあった地面を浮かすと、浮かした地面を1つの塊になるように丸め込んだ。

 そして、丸めた土塊を俺達目掛けて放り投げる。

 そこらの山よりも大きい──具体的に大きさを表すと、大体直径約500メートルくらい──の土塊。

 迫り来るそれを全力で放った乱撃で粉砕した。


風絶(ふうぜつ)っ!」


 黄金の巨大竜巻を纏った太刀で飛んでくる巨大な土塊を両断する。

 黒い狐が投げ飛ばした土塊は、黄金の竜巻に触れた途端、真っ二つになると、粉々に砕け散った。

 

『まだ来るわよ!』


 黒い狐は次々に地面から超巨大な土塊を引っ張り出す。

 そして、そこらの山よりも大きな土塊の大群を浮上させると、それを機関銃のように射出し始めた。


「──新芽はやがて光神(かみ)を穿つ」


 雨のように降り注ぐ土塊の大群。

 1つでも直撃したら、圧殺される事間違いなし。

 それらを粉砕するため、俺は太刀に纏わりついた黄金の竜巻を巧みに操作すると、迫り来る土塊達を押し返した。


「──神殺しの宿木(ミストルテイン))っ!」


 押し返された無数の土塊は、黒い狐の放つ咆哮によって1つ残らず砕かれてしまう。

 敵は悔しそうな唸り声を上げると、口から黒い炎の塊を吐き出した。


「ちっ……!お前ら、伏せて……」


 敵の攻撃を防ごうとした瞬間、ルルが俺の前に出る。

 彼女はひび割れた地面に両手を突っ込むと、ちゃぶ台でも返すような気軽さで目の前の地面をひっくり返した。

 ルルの魔法で強化された腕力により、俺達の前に超巨大な土の壁が現れる。

 否、これは土の壁ではない。

 土の津波だ。

 高さ300メートル級の土砂の波は、瞬く間に黒い狐が吐き出した炎を搔き消すと、黒い狐の巨体を呑み込んでしまった。


「……化物かよ」


 えっへんと可愛らしく胸を張る腹ペコ僧侶──ルルにドン引きする。

 いや、あれ、腕力だけでどうにかできるレベル超えているだろ。

 もしかして、こいつの魔法は物理法則さえも超越できるのか?


『コウ、貴方も人の事を言えないと思うけど』


「お前にだけは言われたくない」

 

 正真正銘、黒い狐(ばけもの)と化したリリィにツッコミを入れる。

 その瞬間、敵の巨体の上に積もった土砂から黒い炎が噴き出て来た。

 瞬く間にルルが地面から引っ張り出した土砂は灰に変わってしまう。

 そして、灰と化した土の中から黒い狐が飛び出した。


「■■■■■■!!!」


 上空に飛び上がった黒い狐は新たな尾を生やす。

 6本目の尾を生やした途端、黒い狐の背中から羽虫のような翅が飛び出した。

 翅を小刻みに動かしながら、黒い狐は口から黒い炎の塊を吐き出す。

 先程とは比べ物にならない程、巨大かつ高密度な炎塊。

 それを見た途端、俺達の背筋に冷たいものが流れた。

 殺らなきゃ殺られる。


「──風月(ふうげつ)


 

 本能に導かれるがまま、俺は太刀を振り上げると、遠く離れた炎塊目掛けて太刀を振り下ろす。

 

「──絶唱(ぜっしょう)!」


 刀身から解き放たれた黄金の狂飆が、黒い狐の口から離れたばかりの炎塊を穿つ。

 俺の攻撃と入り混じった炎塊は、花火のように爆ぜると、黒い狐の巨大と夜空を焦がし尽くした。


「やりましたか!?」


 腹ペコが敵復活フラグを立てる。


「あんなんで死ぬ相手だったら、とっくの昔に勝負はついているっての……!」


 爆炎と爆煙に塗れた上空を仰ぎながら、俺はいつ敵が現れても良いように身構える。

 

「リリィ!あいつの魔力、今、どれくらい残っている!?」


『多分だけど、まだ7割以上残っているわ!』


「今の時点で3割くらいしか削れてねぇのかよ!やってらんねぇ!」


「ちなみに私の残り魔力は5割りちょっとです!」


「本当、燃費悪いな!!まだ闘い始めたばっかだろ!」


「コウさんの燃費が良過ぎなんですよ!普通、あんな攻撃をバンバン撃てませんって!」


『呑気に話している暇はないわ!来るわよ!』


 籠手(リリィ)の指摘通り、爆煙と爆炎の中から黒い狐が飛び出す。

 敵は大地が震撼する程の雄叫びを上げると、地上にいる俺達目掛けて攻撃を仕掛けようと尾を靡かせていた。


「くそ……!息吐く暇ないってか……!」


 太刀を構え直す。

 その瞬間、黒い狐の背にあった虫のような翅が砕け散った。


「■……!?」


 黒い狐の口から戸惑いの声が漏れる。

 俺達が事態を把握しようとした瞬間、黒い狐の身体が赤黒い閃光に覆われた。


「──■■■■■(バルムンク)


 見覚えのある攻撃が黒い狐の身体を灼き尽くす。

 その攻撃は俺が過去に見たものよりも苛烈かつ熾烈なものだった。


「悪かったわね、遅くなって!」


 砂埃を撒き散らしながら、俺達の前に白銀の狼が現れる。

 狼の背中にはレイと見覚えしかない男──大学生みたいな格好をした平行世界の俺が乗っていた。

 

「ご主人、加勢に来たっす!」


 得意げに狼の背から飛び降りるレイと溜息混じりに地に降りる平行世界の俺を見て、俺達は驚きのあまり、目を丸くする事しかできなかった。

 いつも読んでくれている方、ここまで読んでくれた方、ブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、新しくブクマしてくれた方、新しく評価ポイントを送ってくださった方に感謝の言葉を申し上げます。

 次の更新は明日2月3日22時頃に予定しております。

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