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婚約破棄と花火と悪役令嬢

 "リリードリー・パランピーノ。本日を以て、貴様との婚姻を破棄させて貰う"


 昔々、ある所に文武両道容姿端麗才色兼備雲中白鶴純粋可憐錦上添花光彩陸離国色天香豪華絢爛明眸皓歯羞月閉花仙姿玉質な美少女であり、公爵令嬢"リリードリ・パランピーノ』は、フェスティリア王国第一王子『トスカリナ・フォン・フェスティリア"から婚約破棄を言い渡されました。


 "貴様の成した悪行は全て把握している。俺様のケツを魔術で爆破したのも、王宮の宝物庫の中から勝手に神造兵器を持ち出したのも、寝ている俺様の肛門を爆破したのも、王宮の近くにある歴史ある教会を爆破したのも、王務に勤しむ俺様のケツに追尾型攻撃魔術を打ち込んだのも、俺のお気に入りである女を虐めたのも、俺様が座る椅子に爆弾を仕掛けたのも、全部お前の所為だって事をな"


 リリードリー・バランピーノ──愛称リリィは殆ど身に覚えのない罪を着せられてしまいました。

 それも舞踏会という沢山人が集まる場で。

 当然、彼女は反論しました。


 "王子のケツを爆破したのは魔術ではない。ただの火薬だ"と。


 王子はこう言いました。


 "お前は俺様のケツに何か恨みがあるのか"と。


 彼女は声を荒上げながらこう言いました。


 "恨みなんてない。ただ自分は自作した火薬の火力チェックしていただけだ。何も悪い事はしていない"と。


 "ぶっ殺すぞ"と王子は殺意を露わにしました。


 突然、向けられた殺意に怯えた彼女は他の人に助けを求めようと、周囲を見渡しました。

 しかし、今の彼女は四面楚歌。

 彼女の事を助けようとする人は誰もいません。

 初めて触れる人の殺意と悪意に耐えきれなくなった彼女は涙目になりながら、王子にこう弁明をしました。


 "わ、私は何も悪くないわ。だって、王子様は夜な夜な、城下町に屯している娼婦を王宮に呼んでは、高い金を払って娼婦達にお尻を攻めさせていた。だから、自分は良かれと思って、王子のケツに手持ち花火を打ち込んでいた。WIN-WINの関係だった筈だ。だから、私は何も悪くない"と。


 王子はこう言いました。


 "公共の場で人の性癖晒してんじゃねぇぞっ!"と。


 彼女は胸を張りながら言いました。


 "私の策に見事ハマったわね。これで99パーセントが100パーセントに変わったわ"と。


 彼女の言葉が図星だったのか、怒り狂った王子はこう言いました。


 "死刑だ!お前みたいな無礼者を生かしておけねぇ!"と。


 彼女はこう言いました。


 "不敬罪は適用されません。だって、王子には害する程の名誉はありませんから (爆笑)。というか、王子様が被虐性欲持ち且つ尻穴攻め愛好者である事はみんな知っている"と。

 

 王子と公爵令嬢の言い争いを聞いていた傍観者の1人はこう言いました。


 "それ、広めたの、リリィ様ですよね?"と。


 "あ、そういや、そうだった。ごめん、トスカリナ。あんたの性癖広めたの、私だわ"


 そこから先は阿鼻叫喚。

 怒り狂った王子は四肢をばたつかせながら騎士団に命じました。


 "あいつを捕縛しろ"と。


 こうして、文武両道容姿端麗才色兼備 (略)な美少女である彼女は追われる身になってしまいました。

 ああ、可哀想なリリードリ・パランピーノ。

 濡れ衣を着せられた所為で、公爵令嬢から犯罪者にジョブチェンジしてしまったのです。

 あのお尻いじり虫の所為で。

 自分を捕縛しようとした騎士達から何とか逃げ切った彼女は絶望しました。


 "どれだけ逃げようとしても、私みたいなか弱い乙女が逃げ切れる訳がない。投獄されるのも時間の問題だ。このままでは処刑されてしまう。──よし、打ち上げ花火するか"と。


 そして、彼女はこの数年で自作した打ち上げ花火を全て隠し倉庫から取り出すと、それを魔術の力で全て打ち上げました。

 夜空に打ち上げられた花火は、それはもう言葉で表す事がないくらいに美しかったそうです。

 彼女は夜空に上がった百五十万発の花火の美しさを生涯忘れる事はないでしょう。

 それくらい彼女の自作した花火は美しいものでした。

 しかし、彼女は知りませんでした。

 自分が打ち上げた花火の所為で、王宮内にいらないトラブルを招いた事を。

 魔王からの襲撃を受けたと勘違いした王族はみっともなく発狂し、平和ボケしていた騎士団は統制が取れないくらいに混乱、舞踏会に参列していた貴族達は見るに耐えない修羅場を展開し、王宮内は彼女が打ち上げた花火の所為で大混乱に陥ってしまったのです。

 彼女がそれを知ったのは王宮から逃げ出して2日後の事。

 冒険者ギルドの掲示板で自分の手配書と焼け爛れた王宮の写真を見つけた時の事でした。

 


「……てな訳で、私は濡れ衣を着せられて賞金首になったって訳よ。おしまい」


「全部、お前が悪いじゃねぇか」


 可哀想な王子に代わって、異世界から召喚された俺──上流(かみながれ)(こう)は被害者面する諸悪の根源(あくやくれいじょう)にツッコミを浴びせた。


 次の更新は12時頃を予定しております。

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 厚かましいと自覚しておりますがよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒頭から日本語がおかしいぞ 「昔々、ある所に~」と文章を始めたら、 ~な美少女が「居た。居り、住んでいた」等々で続けないとおかしいだろ 逆に後半この形の文章にしたいなら、 「昔々、ある…
[良い点] わわ、これはとんでもないつかみwww 続きを楽しませていただきます。
[良い点] ふわふわと柔らかい雰囲気に癒されました。 面白かったです。
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