五話:神々
レーヴァテインを手にしたボッサを狙った大蛇、ヨルムンガンドは謎の女シンモラにより倒された。
気を失ったボッサの運命は如何に。
___無の空間___
頭が割れるように痛い。目はズキズキし、未だに右手は言うことを聞かない。
「まいったな...ヨルムンガンドの毒気にやられたか...。」
さっき、鍾乳洞での戦いでふいに現れた女の声がする。
ボッサは安全になったのだと分かり、恐る恐る目をあけた。
「おはよう、寝坊もいいところだぞ
この、無の空間じゃ、時間はとまっているんだ。
だが、そちらの世界では、2日は経ったかな。」
女は茶化すようにそういうと、またボッサの右手をさすり始めた。
実のところ、ボッサにも違和感は感じ取れた。
あの戦いから、かなりの時間は経っているが、右手の感覚がなくなってしまったかのようだ。
「体がおかしい、節々が痛み、右手に違和感を感じるんだ」
ボッサは女を信頼し、症状を打ち明けた
「だろうな、あの怪力を持つ蛇にあれだけひどい力で巻き付かれれば、生身の人間ならミンチだ。」
「あの蛇とは?ヨルムンガンドと言っていたが。
それに、残りの2体はどうなったのだ?」
しかし、女はそれには答えず、立てるか?とだけ訊いた
ボッサが頷くと、女は手を差し出した。
「私はシンモラ、訳あってここへ来た。」
と、シンモラと名乗った女は続ける。
「戦闘の最中、輝く光を見た。あれはレーヴァテインのものだ。
何故レーヴァテインを、ヒトであるお前が持っている?」
「ボッサと呼んでくれ。」
そう言うと、ボッサは事の成り行きを説明した。
シンモラは、始め黙って聞いていたが、レーヴァテインを手にした時のことや、台座に張りめぐらされていた魔方陣のくだりに入ると、かすかに瞼をひくつかせるのだった。
ボッサは話終わった。一部始終聞いたシンモラは、
無の世界への入り口...やら、ラグナロクという聞き覚えのない単語を使い、ぶつぶついった矢先にこう切り出した。
「私はシンモラ。その、レーヴァテインの管理者だ。
レーヴァテインは創造主と呼ばれている、ロキという男が作り、ロキは私にその守護者となることを強制させた...。
そのレーヴァテインには特殊な力があり、あの方を倒すことができる..唯一の剣だ。いや、我々の世界ではあの方と呼んでいる」
「何故、ロキがわざわざレーヴァテインを作ったのか?その理由はこうだ。
我々の世界では、700年に一度、掟を更新しなければならない。
その時に、5つの神具を用いて、位の高い神々が儀式を行う。
それぞれ、オーディン神、トール神、フレイヤ神、バルドル神、ヘイムダル神だ。」
「神具には、それぞれ役割があってな、例えば。このレーヴァテインはさっきも言った通り、あの方を倒すことができる。
あの方といっているが、紛れも無い諸悪の根源だ。
我々の聖域、ユグドラシルを乗っ取り、常に頂きに居座っては疫病を撒き散らし、多くの民を困らせている。」
「今年は前回の更新から700年目。
今回の儀式では、レーヴァテインであの方を倒すことが決定された。本来ならば、神々同士の殺戮は厳禁とされているのだが、あの方は、神々の義務である前回の儀式への出席を怠ったが故、神の位を剥奪された。」
「そしてあの方は、自分がやられないように、創造主ロキを手下にした。ロキはレーヴァテインを作った張本人であるため、彼を利用することで、その所有者をあぶり出していつでも始末できるからな。
神具は作ったら最後、消滅することはないんだ。だから、ロキを手下にすることが最善の策だったに違いない。
それから、あの方は自分の使いを増やし続けた。さっきの、アンクルボダもその1人だ。」
ここまでを一気にまくしたてたシンモラは、ここで初めてボッサの目を見て、しばらくついてきてくれないか?と申し出た。
ボッサは快く承諾したが、まだ、ここがどこなのか。さっきの魔物は何だったのか。右手はどうなるのか。という質問には答えてもらえていなかった。
「異界ヴァルハラへ行こう、全知全能の神、オーディン神が助言を下さるかもしれぬ」
そういうとシンモラはそそくさと先へ進むのだった。
話についていけないボッサだったが、彼女についていくほか、道はなかった。
※挨拶は省略させていただきます
第5話です。
今回はストーリーというよりも、世界観の解説で終わります。
要するに
①ロキがレーヴァテインをつくる。
②神々の儀式には、そのレーヴァテインが必要。
③でも、ロキは誰にも渡したくなかったので、誰も入ることのできない無の空間に封印。
④守護者としてシンモラを選び、操って強制的に使命に縛り付ける。
⑤シンモラはかすかに残る本能で、魔剣を受け取ってくれそうなヒトを選び、次元を捻じ曲げて強制的に呼び寄せる、
⑥選ばれたボッサは、敵である、あの方(一話参照)のことを話され、倒しにいく旅にでる。
ボッサ編での最終的な目標は1話で出てきた鳥男を倒すことです。
それを伝えたかっただけなので、今回は本文の意味がわからんのを見るよりも、この要約された後書きをみてください。




