脱出
今回からタイトルが二文字になります。
伏線です。
「どうやって上がるんだよ......」
エランドは呟いた。
遥か上空のダイアモンドを指差しながら、ふと、手が元どおりになっていることに気づいた。
もう片方には、グルムが握られている。
「床がダイアモンドとは、」
シンモラは既に立ち上がって鉄槌を振り回している。
彼女曰く、考え中とのことだ。
「思わなんだ」
ボッサが呻きながら言った。
こちらの方は、目を覚まさない狼の下敷きになっている。
雑魚寝状態のまま、一向に会話は進まなかった。
最後の切り札だったフクロウたちも、羽を休めている。
ようやく神具の所持者と合流したのに、これでは意味がない。
エランドらとボッサらの思惑は同じで、ファヴニールを倒し、ヘルを説き伏せて地上に戻る、だった。
光が差し込まないので、エランドの持つカンテラだけが頼りになっている。
ぼうっと薄明かりに照らされた一同の顔は、より一層やつれて見えて、それが不気味だった。
「ん!」
ふいにボッサが指を指した。
節くれだった指の先に、幻影とおぼしきものが浮かび上がった。
咄嗟に一同は剣を構えるが、ボッサは起き上がることさえままならなかった。
___誰ぞ
___童を
そう、聞き取れた。
___童を呼び覚ますのは誰ぞ!
叫んだ幻影の透明感が薄れて、次第に実体を帯びて来た。
声、ではない。思念だ。思念が頭に流れ込んでくる。
それに反応してか、狼は跳ね起きて唸った。
「我こそは......」
シンモラが間をおいて続ける。
「我は最高神オーディンなり!」
一同は目を丸くしてシンモラの方を見た。
どうやら満更では無いようで、幻影の返事を待っている。
目を使えないのに、よくもまあ......。とボッサが思っていたところで、幻影が喋った。
___オーディン? ああ、あのオーディンか......
___地獄に何の用だ。酒はないぞ!
幻影は騙されていた。
こいつも目が見えないのか?と錯覚を覚える。
エランドは半ば呆れた様子で幻影を見上げていた。
___あるいは、ファヴニールに用か? さあ、申し出るがいい
幻影はそう続けて返事を待った。
「いや、まず上にあげて欲しい」
シンモラが言った。
___なんだと?
怒らせた。
一同はそう思った。
___お主、オーディンか? 魔力をほとんど感じられない
やはり、見破られた。
ここまで騙せただけでも驚きだろう、と諦めかけたその時、新たなる切り札が用意された。
「これでは、どうだ」
シンモラが鉄槌を掲げる。
だが見当違いの方に先が向いた。
やはり、無理をしている。
___そ......それは、そうか、やはりオーディンだ
何が起こったのかと、一同はまた目を丸くした。
瞬きしたと思ったら、次にはもうダイアモンドの上に立っていた。
___オーディンよ......決着をつけたいと、ファヴニールが申しておる。最上階まで来い
そこで幻影は消えた。
ともかく、上に上がることに成功した。
背後に、崩れたダイアモンドの柱があった。
しかし、階段など、手がかりはない。
どう登るのかと思い始めた時、ようやくフクロウが前に出た
「役たたずだ」
エランドの呟きを無視して、上に上がった。足場になりそうなところを見つけているようだ。
しばらくして、見つけた、との返事があった。
先頭のボッサは、フクロウの止まる先を見て驚いた。
どうやら、一階の階段は先ほどの先頭で下に落ちたらしい。
残るはあと一つ。
どうやら、柱を伝って二階に上がれ、と言っているらしかった。
お詫びしなければならないことがあります。
前々からうっすらと告知していたのですが、次回作を投稿してしまいました。
テキトーに第一話を投稿したときに思ったのが、進歩してねーな。ってことです。
次回作の方は一応うっすらとプロットは考えていますが、薄すぎて一ヶ月後には禿げる未来しか見えません。
育毛剤と言う名の想像力で、毛もといストーリーを考えなければならないと思います(座布団)。
ということで、更新が遅れたのは次回作を投稿したためです。
本来ならこっちを完結させてから移りたかったのですが、「あれ?今なら書けんぞw」って意味不明なことで頭が回らなくなったので書きました。
反省はしています。
それに伴って今作の内容もいよいよ毛一本になります。波平です。
もうこのお話の需要が一切無くなったので早めに切り上げて次回作の方に移りたいと思います。
有言実行って大事ね。




