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あ1  作者:
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十九話:エイル

「かなり深くまで来たな」

ボッサが呟く。


無の空間...という名のダンジョン。

数時間前から歩き続け、ようやく20層は降りただろうか。足がもつれそうだ。

具合が悪いことを訴えても、シンモラは許してくれなかった。運動不足だ、と言う言葉を最後に、一行は黙々と歩き続けた。


フギンの方は相変わらず、一定のペースを保って、時々立ち止まっては行き先を確認している。

意思疎通は不可能なようで、いくら後続の者が疲れようとも、目の前に敵が表れようとも動じなかった。シンモラ曰く、流石はオーディンの使いだ。だそうだが、実際のところ分からない。生き物と違い、瞬き一つせずに羽を動かし続けているのだ。機械のようにプログラミングでもされているのだろうか、と疑うほど狂いなく飛び続けていた。


敵と言えば、先程から所属は分からないが、馬に乗った兵士のようなものがわらわらと這い出てくる。

もう、6人ばかりは倒したはずなのに、層を変えるたびに何人かが奇襲を仕掛けてくるのだ。

シンモラのバリアで、物理的なダメージは軽減されるものの、突かれるたびに衝撃はあったし、なにより体力の消耗が激しかった。この老いた体では...と思い始めていた頃だ。

兵士は、心ここに在らずといった眼差しでこちらを伺い、隙を見て攻撃を仕掛けてくる。

中には、言葉を発する者もいたが、いずれも声は掠れていて、「フ...様を...守...」と言った途切れ途切れの言葉がやっと聞き取れるくらいのものだった。


気味が悪くなって来た。


ふと、前を見上げると、通路が折れ曲がっており、シンモラが待っているようにこちらを見つめていた。

反射的に目線を下げ、シンモラの後を追う。


「見ろ、この先だ」

と、言葉を発した。


ボッサが壁に隠れながら奥を見渡す。

やはり空洞になっていたが、様子が違った。

2m級のオークが5体、円を組むように座っていた。リーダー格が一体いる。何やら談笑しているようで、こちらには気づいていない。


「オーク...?何故こんなところへ」

.と、ボッサは振り返る。


シンモラは首を横に振った。


フギンは立ち止まったようだ。

オークを見つけると、怖がったような素振りを見せ、シンモラの後ろで縮こまっている。


腰が熱い。見ると、レーヴァテインが警告の光を発していた。赤く燃え滾るような光がボッサの目を射抜く。

思わず顔をしかめた。


「二対五だな」

シンモラが言う。


彼女は鉄槌を取り出し、やってやるぞとばかりに一振りした。ウゥゥン、とくぐもった音が、空気を遮った。

ボッサにとっては、これがレーヴァテインを手にしてから初めての戦闘だ。

だが、レーヴァテインは使えない。

これもシンモラ曰くだが、どうやらこれは、あの方のみに効く武器だから、普通の戦闘では真価を発揮できないと言っていた。よくわからないが、剣を保持するためだけのボッサという存在には扱えない武器なのだ。

ボッサは剣を取り出した。前の世界で使っていた剣だ。

片手剣(ショートソード)に分類される小振りの剣だが、しばらく旅に出ることにした、と言うと、村の酒場の亭主が譲ってくれた。それ以来、愛用している。


シンモラが姿を消す。

姿隠(インビージ)の魔法だ。しかし、透明になれても音は誤魔化せない。やはりしゃがみながらオークの懐に潜り込む。


それに合わせボッサが飛び出て、オークの気をそらす。

かかった。

5体全員が斧を取り出し、こちらを睨む。

ボッサは十分に距離を取りながら、手をくいっとやり相手を挑発した。

猛突進してきた一体をかわし、剣を横に払って肩に斬りつけた。体液が飛び散り、オークが呻く。


それを横目で見ていたシンモラが微笑む。慣れたものだ、教えてもいないのに。


オークは仲間がやられたことを悟り、完全にボッサを敵の対象と捉えた。

後ろで空気が震える音がしたが、誰もそれに気付くものはいなかった。



___最下層___


エランドは、二体の狼、一羽のカラスを連れ、道を進んでいた。

ありがたいことに、一方通行になっていたので楽々と進めた。


カラス、ムニンは人の心に分け入ることができるらしい。お陰で、自分が何をしているのかが分かった。

ここは、無の空間と呼ばれる、いわばダンジョンのような場所なのだ。

自分は今、死後の世界にいるらしい。なるほど、死んだのに生き返ったのはそういうことか。

どうやら、一度現実世界で死んでしまうと、ここに強制的に送られるらしい。

上層と下層に分かれており、普通は上層に送られる。送られた人間は、何も分からないうちに徘徊する魔物にやられ、エネルギーを吸い取られて心を持たずに彷徨ってしまうらしいのだ。

ここ下層は、神々と呼ばれる(エランドにとってはお伽話に出てくる空想上の存在)だけが入ることを許された極寒の地、らしい。

なぜここに送られたかは分かっていない。


彼の目的は、あと数週間、この鎌剣グラムを所持した上で、ここから無事に生還すること、らしいのだ。

どうやら、下層を生き延びた者は、外の世界に出ることができるらしい。

まるで、ゲームじゃないか。

こんなことのために、父上が死に、俺が利用されるとはな。

ふつふつと湧き上がる気持ちを堪え、一方通行の道を進んで行く。

振り返ると、進んで来た道は壁となり、エランドの逃げ場を塞いでいるかのようだった。


また、狼ニ匹は知恵と力与えてくれた。

貪欲で、狡猾な知恵。計り知れなく深く重い力。

エランドは、グルムに秘められた力を思い知る事となり、それを自在にコントロールする能力を手にした。


どうやら、神とやらに勝手に体をいじられ、もう人間ではなくなってしまったらしい。

もう、どうにでもなればいいんだ。必ず、祖国を無茶苦茶にし、父上を殺した下衆をこの手で粉々にしてやる。

そう決めたエランドの足取りは重く、冷たいものだった。



___キルティ領・渓谷___


ヴァナディースは、息も絶え絶えになっているオルキルの体を受け止めた。

今にも死にそうになる程、衰弱していた。


「アホ!なんで一人で行っちまったんだいっ」

ヴァナディースが叫んだ。


「連れ去られて...この有様だ...。迷惑をかけてすま...ん」

オルキルが力なく呟く。


ヴァナディースは彼の体、足が潰れてしまった体を抱きかかえ、岩場を後にした。


「魔法は使えるよな」

と、ヴァナディース。


オルキルが頷く。が、実際、魔法を詠唱できるほどの体力は残っていなかった。

もう、死んでしまうかもしれない。

血を出しすぎた。肺が焼けて、呼吸ができない。


ヴァナディースは微笑むと、「死なせはしないよ」と言って、薬草を取り出した。


「そ、それは...」

オルキルが驚いた声を出す。


間違い無いのだ。癒しの女神エイルの髪から作られた薬草だった。


「そうさ、あの女からかっぱらってきた。本当なら...」

と言って、やめる。


ヴァナディースは苦々しい顔をして、話を変えた。


「これ、効くんだろ?」

とだけ言って、葉を半分にちぎる。


オルキルは感謝でいっぱいの気持ちになった。

やはり、一目見た時から感じたあの感覚。間違ってはいない。

彼女は...ヴァナディースは...!


「目をつぶってな」


『癒し』の魔法を唱え、軽い傷口に手を当てながらもう片方の手をオルキルの口にあてがう。


オルキルは薬草を飲んだ。

本当なら薬草のシーンは口渡しにするつもりだったんです。

でも、そんなことしてはいけないと思いました。


※挨拶は省略させていただきます。


エランドは...もう、察せますよね。


さて、いよいよこの物語も終盤にさしかかって来ました。

それぞれの世界の主人公が、それぞれの役割を果たします。

神々の思いは届くのか、否か。

いやー、自分で書いていても楽しいですね。ここまで続けれて良かった。


俺さ...覚悟して初投稿したんだよ。

でもさ...なんかこうして、書き続けてると


悪い、やっぱ...辛えわ(ネタ的な意味で)


そりゃ辛えでしょうよ(毎回ネタ切れ)


ちゃんと言えたじゃねえか(これを教訓にして)


...聞けてよかった(次回からは予め1から100までストーリーを考えておこう)


奇跡的に少しでも読んでくれた読者様。知っての通り頼りない作品だが...最高の作品だ(自分の中では)

どうか、よろしく頼みます。


エイルっていうのは癒しの神様らしいですね。

治癒能力にたけているそうで、薬草なんかも持ってたりするそうです。


語ってたらもうこんな時間。眠たいので落ちます。



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