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13話

私は目の腫れが引いてから身支度をした。


メイドのルアンさんは腫れが引いたのを確認してから、タオルと歯ブラシに歯磨き粉を持ってきてくれた。

洗面所の場所を教えてもらってからタオルと歯ブラシなどを手に持つ。

洗面所に行って歯磨きをした。顔も洗ってから部屋に戻る。

ルアンさんに鏡台の近くに立つように言われてその通りにした。クローゼットの中からルアンさんはシンプルな薄い緑色の足首までの丈のワンピースを持ってくる。

「イルゼ様。とりあえず、こちらはわたくしが選んだものですけど。お召しになってみてください」

「わかった。上品な品だね」

「あら。そう思われますか。このワンピースは旦那様の妹君が持っておられた品です。デザインはまだそんなに古くさくはないと思いますので」

「そうなんだ。ありがとう」

「…いえ。イルゼ様にはもっと新しいものをと思ったのですけど。まだ、既製品を頼んで間がないものですから」

ルアンさんはそう言って苦笑した。

コルセットを着けてワンピースを身に纏う。コルセットと言うと力いっぱい紐とかでぎゅうぎゅうと締めるイメージがあったけど。

今のものはルアンさんが言うにはチャック式が主流なのだそうだ。後、こちらの国ではあまり締め付け過ぎるのは良くないと言うことでボタン式もあるらしい。

何せ、私は庶民だからコルセットなんて着けない。だから、ルアンさんに色々と髪を結ってもらいながら教えてもらった。

貴族のしきたりなどをだけど。髪結いが終わるとお化粧をしてもらう。落とす時は石鹸で洗ってから化粧水や美容液、乳液などをつける。

こういうのは庶民も貴族も変わらないようだ。

「できました。後で朝食をお持ちしますので」

「わかった」

「では、一旦失礼しますね」

ルアンさんはそう言うと部屋を出て行ったのだった。



朝食を再び部屋でとり、家庭教師の先生が待つゲストルームに向かう。父上が客間で先生を迎えるのも不都合だろうとゲストルームで勉強をできるようにしてくれたらしい。

ルアンさんは良かったですねと言う。しばらくはこういう生活が続きそうだなと思いながらも頷いた。

ゲストルームに着くとドアをルアンさんが開けてくれる。

中に入ると薄茶色の緩やかにウエーブした髪をきっちり結い上げて眼鏡をかけたいかにも真面目そうな女性がソファに座っていた。年齢は三十を四つ過ぎたくらいか。

私が彼女に近づくとあちらも気がついたらしい。ソファから立って立礼する。

「初めまして。今日からお嬢様に礼儀作法などを教える事になりました。家庭教師のオリビアと申します。以後お見知りおきを」

「こちらこそ初めまして。アマーリエ侯爵家のイルゼといいます。先生、よろしくお願いします」

「…お嬢様。わたしの事は呼び捨てでも構いません。けど、礼儀作法やマナー、王宮でのしきたりはたくさんあります。ですので、半年といわずにお嬢様が完璧に身に付けられるまでお教えいたします。それはご承知おきください」

「わかりました。先生の納得いくまでご教示ください。けど、お手柔らかにお願いしますね」

「ええ。お嬢様がそうおっしゃるなら」

オリビア先生は少しだけ口角を上げて笑った。私も若い先生で良かったと思ったのだった。



オリビア先生から早速、礼儀作法の基礎を教えてもらう。正直いうとかなり彼女は厳しかった。そして、少しのミスも許してはくれない。

「お嬢様。頭の角度が違います。手も。お手本を見せますからよく見てください」

オリビア先生はそう言いながら目上の人に対しての礼の仕方を実演してみせた。頭を下げて手はドレスの裾を摘んでいる。膝も曲げていた。

綺麗な礼の仕方に流石に王宮勤めの人は違うと思う。オリビア先生は自身が昔は王宮勤めをしていたと先ほど言っていた。それを思い出したのだ。

先生が礼を見せ終わると再び私も礼をする。今度は合格点が出た。

その後も厳しい授業は続いたのだった。

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