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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
第九章《超越者VS超越者2》
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第一部「最終話」


 俺は兄貴の帰りを待っていた。


 超越者同士の戦い、凄かった。

 まさか本気の兄貴があそこまで強いなんて……

 くぅぅ~♪

 よっしゃぁ!!

 兄貴のために、もっと頑張らねぇと!!


 修行したいところだが、まずは帰ってくる兄貴を出迎えねぇと!

 あれだけ凄い戦いをした後だ! 疲れてるに決まってる! 

 マッサージとかしてやらねぇとな!


「犬、お主はどっかに行ってよいぞ。妾が出迎える」

「うっせババァ、テメェこそどっか行け」

「あ?」

「んん?」


 睨み合っていると、次元の狭間が開く。

 俺達はすぐに笑顔を作って出迎えた。


「兄貴~! お帰り~!」

「大和様、お疲れさまですじゃ」


 俺は抱きつこうとするが、出てきたのは兄貴じゃなかった。

 さっきまで兄貴と戦っていた魔導師、グランドソウルだった。


「なんでテメェが……」

「大和から手紙を預かった。貴殿宛てだ」

「??」


 何で手紙なんて?

 とりあえず、中身を見る。


 爪牙へ。

 お前には教えることを全て教えた。

 お前が俺から学ぶことは何もない。

 だからこれからは俺に頼らず、一人で強くなっていけ。

 なぁに、また何時か会える。

 そん時には、俺が背中を預けられるくらい強くなっておけよ。

 じゃあな。



 大和より。



「そ、そんな……っ」


 俺はその場でへたり込んだ。


「大和は一人旅に出たよ」

「……っ」


 うううっ……


「兄貴ぃ……」


 何でだよ、兄貴。

 俺、邪魔だったのか?


「ざまぁないのぅ♪」


 クソババァがほくそ笑んでいる。

 殺してやりてぇ……

 でも、今はそれどころじゃねぇ。

 俺は溢れそうだった涙を拭って、顔を上げる。


「兄貴を探しに行く!!」


 俺は屋敷を出ていく。


「金太郎! 行くぞ!!」

「うん!」


 外で待機させておいた金太郎を呼び、頭に乗せる。


「くぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁ!! 金太郎は置いていけクソジャリィィィィ!!!!」

「へっ! ばーか!!」


 あっかんべーして、走り去る。


「……待ってろよ兄貴! 絶対追いついてやるからな!!」


 ◆◆


 むぅ、金太郎を連れて行きおったか。

 ……まぁ、金太郎もそろそろ外界で修行するべきじゃろうて。

 犬に任せるのは心配じゃが、信じるしかないのぅ。


 それよりも。

 妾は安心しておる。

 何故か? 大和様はおのずと妾の元にやってくる。

 力を制御する封印を解けば、妾が封印せねばならないからな。

 つまり、魔獣界で待っているだけで、自然と大和様は帰って来る!

 しかも、封印を解除した数に応じて……くふふー♪


「ふははははははは!! 妾こそ勝ち組!! 勝者!! 妾以上に大和様にふさわしい女などおらん!!」


 妾は高笑いした。


「ああ、あと、貴殿宛ての手紙も授かっているぞ」

「む?」


 差し出された手紙を受け取る?

 何じゃ? 愛の囁きかのぅ?


 万葉へ。

 グランに高性能の封印を施してもらった。

 おかげで封印を自在に操作できるようなった。

 だからお前の力は必要ない。

 暫らくは魔獣界に戻らないから。

 達者でな。


 大和より。


「………………」


 ……。

 ……。

 ……。


「なんじゃとーッッ!!!?」


 妾は絶叫した。


「うむ、まぁ、大和の封印は我が施した。それだけだ」

「このバナナ野郎!! なんてことをしてくれたんじゃ!!」

「そんなことを言われてもだな……」


 大和さまーっ!!

 そんなの無しじゃー!!



 うわーんっ!!!



 ◆◆



 ふぅ。

 逃げることに成功した。


 爪牙と一緒に旅を続けても良かったんだが、アイツは俺に依存している。

 適度に距離を取らなきゃな。


 というのは建前で、やっぱり旅は一人のほうがいい。

 自由に戦える。

 だから悪ぃな、爪牙。

 また縁があれば、一緒に旅をしよう。


 万葉は、まぁ、アレだ。

 正直、子供は生みたくないし。

 愛も重いっていうか。

 ……な?


『マスター、もうそろそろ、目的の異世界へ到着します』

「おう」


 次元の狭間を走行していたら、相棒の魔導カスタムハーレーが告げてくれる。

 ……さぁて、気を取り直して。


「今度の世界には、俺を楽しませてくれる強者はいるのかねぇ」


 俺は鼻歌を交えながら、次元の狭間を走り去った。



 《完》

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