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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
第九章《超越者VS超越者2》
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第二証人「黒鬼・大和2」

 さぁて、愉しもうじゃねぇか。

 弟子が最高のステージをセッティングしてくれたんだ。

 これに応えなきゃ、師匠失格だ。


 鍔鳴りの音が響く。

 俺は咄嗟に首を逸らして、飛んでくる斬撃を回避した。


 秋水の剣術は抜刀。

 鍔鳴りの音が鳴った時にはもう斬り終わっている。

 超越者随一のスピードと攻撃力を誇る、白羅刹。


 極大の焔が俺を包み込む。

 俺は身体を捻じって、その回転力を斬撃に変換し、解放した。


「旋風巻き」


 焔の波を吹き飛ばす。

 全く、三千世界に結界を張っていなかったら、相当数の大千世界が燃え尽きていたぞ。

 グラン、金獅子。

 恐らくこれはただの炎魔術。

 小手調べだ。


 ククク。


 本当に愉しみだなぁ。


 これからの死闘を想像し、俺の口元は自然と半月に歪む。


「……」


 秋水は無言で鍔を鳴らす。

 コイツが一度の抜刀で放てる斬撃は優に無量大数を超える。


 ほら、来た。

 切創の嵐が。

 俺はその全てを丁寧に合気で受け流す。

 そして、突撃した。


 秋水は迎撃の構えをとる。

 コイツの抜刀術は近中遠距離に対応できる、剣術と呼べるかわからない万能戦闘術だ。

 俺はというと、遠距離技は限られているので、近づくしかない。


 近距離は俺の土俵だ。


 チンチンチンとリズムよく音が鳴れば、四方八方から斬撃が襲いかかって来る。

 無駄無駄。


 俺に剣術に挑むのは自殺行為だ。

 俺は三千世界全ての剣術を極めた剣豪だぜ。

 そして、テメェに剣術を教えたのは誰だ?

 テメェの太刀筋は手に取るようにわかるんだよ。


「っ」


 秋水が思わず距離を取る。

 俺は緩急の入ったステップ「縮地」で距離を詰める。

 しかし、秋水も縮地を使って距離を詰めさせない。


 抜刀術は足捌きが命。

 秋水の縮地は独自にアレンジが加えられていて、俺の縮地に勝るとも劣らない性能を誇っていた。

 技の質で互角であれば、あとは基本性能がモノを言う。

 秋水の速度は俺より速いので、必然的に距離をとられてしまった。


 面倒くせぇ。


 そう思っていると、秋水の真紅の瞳が輝きを帯びる。

 魔眼だ。

 相手の癖、技能、呼吸のリズム、その他全てを読み取る。

 秋水は昔から目が良かったからな。


 そして、殺気を飛ばしてくる。

 殺気を用いたフェイント。

 俺は「魔風」と名付けている。

 弱者なら、それだけでダメージを与えられる。

 


 俺達は剣を交差させる。

 打ち合いの始まりだ。


 俺は技術全般で秋水に勝っているが、コイツはスピードと魔眼で何とか食らいついてくる。

 追い詰めようと思っても逃げられるし、技術で勝ってもあの目でカバーされる。


 全く、我が弟子ながら中々やる。

 俺と本気で剣を打ち合える剣士なんざ、おそらく三千世界で五人もいない。


 いいぜぇ。

 それでこそだ。

 斬り甲斐がある。


「五分五分と言ったところか。超越者の中では新参者でありながら、流石は大和の弟子。育て方が違うということか」


 グランは秋水の背後で揺蕩いながら傍観していた。

 こんにゃろ、何余裕かましてやがる。

 テメェも来い。

 そしたらもっと面白くなるじゃねぇか。


「そんな顔をするな、大和。楽しませてやる」


 グランは指をくるくると回す。

 すると、秋水の身体を摩訶不思議なオーラが包み込んだ。


「補助系の魔導呪術のオンパレードだ。ステータスが爆発的に上がった筈だが?」

「助かります」


 あーそういう戦い方する?

 別にいいよ。

 最初はそれで。

 後で絶対引きずり出す。


「っと、余計な思考を巡らせていたらやられるか」


 秋水のステータスが大幅に上昇した。

 拮抗した打ち合いが崩れる。

 合気や剣術だけでは対抗しきれない。


 これは、使うしかないな。

 風林火山陰雷を。


「疾きこと風の如く」


 気を身体に纏う。

 身体能力が五感機能が上昇する。

 ようはステータスアップだな。

 これで、元の拮抗した状態に戻った。


 秋水はここに来て、また表情を出す。


「気ですか。遂に技にまで昇華したんですね」

「最近開発したんだよ」

「そうですか……」


 秋水は再び構えをとる。


「手遅れになる前に確実に封印します」

「やれるもんならやってみな」


 さぁ、第二ラウンドだ。

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