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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
《第八章・魔獣界編2》
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第四証人「黒鬼・大和4」

 後日、俺は一人で月見酒を楽しんでいた。

 一日中相手したせいで万葉も爪牙もくたくた。

 今は二人とも布団の中で眠っている。


 俺はというと、酒が恋しくなったので、こうして飲んでいる。

 ここは空気がいい。

 月も綺麗だし、酒が美味くなる。


「っと、つまみがきれちまったか」


 取ってくるかね。


「大和様、追加のつまみと酒をお持ちしました」

「……お前は」


 綺麗な銀髪に狐耳、七本の尾。


「七影」

「覚えてくださっていて光栄です」


 七影は一礼して、俺の隣に持ってきたものを置く。


「気が利くな」

「いえ……」


 七影は隣に座って、微笑む。


「赤修羅、龍咲秋との戦い、見ていました」

「ハハ、そうか」

「お見事でした。本当に」

「いいや、まだまださ。俺はまた強くなった。今度は……決着をつけるよ」


 追加できた酒を注ごうとすると、酌してくれたので、応じる。


「……で、本題はなんだ? まさか、俺につまみと酒を持ってきてくれただけではあるまい」

「っ」


 七影は顔を真っ赤にし、もじもじと身体を擦らせる。


「無礼なのは承知の上です。万葉様を裏切ることになるのも、覚悟の上です」


 決心した表情で、七影は言う。


「大和様、私と夜を共にしていただけないでしょうか?」


 七影は想いを告白する。


「……私は、あなたに抱かれたいのです。この世界で最強の剣豪に」


 俺は酒を呷り、杯を横に置いた。


「正直なのはいいことだ」


 微笑んで、腕を広げる。


「おいで、七影」

「~っ」


 七影は失礼しますと言い、すっぽりと俺の腕の中に納まった。


「ああ、硬い、熱い。……大和様ぁ」


 俺は蕩ける七影に唇を重ねる。

 七影は震えながらも、受け止めてくれた。


「……夜は長い。ゆっくりしよう」

「……はい」


 七影を抱え立ち上がり、俺は寝室へと歩いて行った。



 ◆◆



 翌日。


「大和様……」


 布団の中で、俺に抱きつき離れない七影。

 俺はその頭を撫でてやる。


「大丈夫だったか? 初めてだっただろう?」

「いいえ、大和様が優しくしてくれたので。むしろ、快楽のほうが勝って……っ」

「そうか」


 俺は微笑む。

 七影は瞳を潤ませながら、告げた。


「大和様……っ」

「ん?」

「何番目でもかまいません。私を貴方様の愛人にしてはいただけないでしょうか?」

「……」

「生涯、あなた様に尽くします。他の雄とは一切かかわりません。ですから……」

「いいんだよ。んな真面目になんなくて」


 思わず苦笑してしまう。


「いいぜ。俺なんかでよければ、喜んで。でも、愛人は沢山いる。お前ばかりを見ていられない。それでもいいか?」

「……っ」


 七影はぽろぽろと涙を流し、頷く。


「はいっ、はい……っ、貴方様の女でいられるだけで、私は幸せでございます」

「そうか、ありがとうな」


 俺は七影を抱き寄せる。

 七影は震えながら、俺の背中に手を回した。


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