第四証人「黒鬼・大和4」
後日、俺は一人で月見酒を楽しんでいた。
一日中相手したせいで万葉も爪牙もくたくた。
今は二人とも布団の中で眠っている。
俺はというと、酒が恋しくなったので、こうして飲んでいる。
ここは空気がいい。
月も綺麗だし、酒が美味くなる。
「っと、つまみがきれちまったか」
取ってくるかね。
「大和様、追加のつまみと酒をお持ちしました」
「……お前は」
綺麗な銀髪に狐耳、七本の尾。
「七影」
「覚えてくださっていて光栄です」
七影は一礼して、俺の隣に持ってきたものを置く。
「気が利くな」
「いえ……」
七影は隣に座って、微笑む。
「赤修羅、龍咲秋との戦い、見ていました」
「ハハ、そうか」
「お見事でした。本当に」
「いいや、まだまださ。俺はまた強くなった。今度は……決着をつけるよ」
追加できた酒を注ごうとすると、酌してくれたので、応じる。
「……で、本題はなんだ? まさか、俺につまみと酒を持ってきてくれただけではあるまい」
「っ」
七影は顔を真っ赤にし、もじもじと身体を擦らせる。
「無礼なのは承知の上です。万葉様を裏切ることになるのも、覚悟の上です」
決心した表情で、七影は言う。
「大和様、私と夜を共にしていただけないでしょうか?」
七影は想いを告白する。
「……私は、あなたに抱かれたいのです。この世界で最強の剣豪に」
俺は酒を呷り、杯を横に置いた。
「正直なのはいいことだ」
微笑んで、腕を広げる。
「おいで、七影」
「~っ」
七影は失礼しますと言い、すっぽりと俺の腕の中に納まった。
「ああ、硬い、熱い。……大和様ぁ」
俺は蕩ける七影に唇を重ねる。
七影は震えながらも、受け止めてくれた。
「……夜は長い。ゆっくりしよう」
「……はい」
七影を抱え立ち上がり、俺は寝室へと歩いて行った。
◆◆
翌日。
「大和様……」
布団の中で、俺に抱きつき離れない七影。
俺はその頭を撫でてやる。
「大丈夫だったか? 初めてだっただろう?」
「いいえ、大和様が優しくしてくれたので。むしろ、快楽のほうが勝って……っ」
「そうか」
俺は微笑む。
七影は瞳を潤ませながら、告げた。
「大和様……っ」
「ん?」
「何番目でもかまいません。私を貴方様の愛人にしてはいただけないでしょうか?」
「……」
「生涯、あなた様に尽くします。他の雄とは一切かかわりません。ですから……」
「いいんだよ。んな真面目になんなくて」
思わず苦笑してしまう。
「いいぜ。俺なんかでよければ、喜んで。でも、愛人は沢山いる。お前ばかりを見ていられない。それでもいいか?」
「……っ」
七影はぽろぽろと涙を流し、頷く。
「はいっ、はい……っ、貴方様の女でいられるだけで、私は幸せでございます」
「そうか、ありがとうな」
俺は七影を抱き寄せる。
七影は震えながら、俺の背中に手を回した。