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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
《第八章・魔獣界編2》
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第三証人「黒鬼・大和3」

「やっほー!! 温泉だー!!」

「わーい!!」


 爪牙と金太郎は大はしゃぎしている。

 俺は日本酒一式を携えながら、やれやれと溜息を吐いた。


「あんまはしゃいでると転ぶぞ。ったく」


 一式を温泉の前に置いて、爪牙に手招きする。


「頭と背中流してやる。こっち来い」

「うん!! 金太郎もこっち来い!」

「うん!」


 俺と爪牙、金太郎は並んで頭を洗い合う。

 爪牙の奴、髪を下ろすとまた可愛いな。

 何時ものポニーテイルもいいが、これも中々……


「ふふーん、どうした兄貴。髪を下ろした俺が珍しいか?」

「まぁな、何時もと違って可愛いよ」

「へへへ♪」


 嬉しそうに笑う爪牙の頭を洗ってやる。

 金太郎は爪牙が洗っていた。


 お湯を被せてやり、次は背中だ。


「爪牙……」

「ん?」

「相当無茶したんだな、傷だらけだぜ」

「兄貴のために頑張った傷だ、勲章だぜ!」

「全く……」


 どうして俺の弟子はこうも可愛いのかねぇ。


 背中を流し終え、二人と一匹で湯に浸かる。


「「「はぁぁ」」」


 あー、気持ちいい。

 やっぱ温泉最高。


「兄貴……」

「何だ」

「俺ってその、女らしい体つきじゃないよな。ほら、腹筋割れてるし」


 確かに、爪牙の腹筋は薄っすら割れているが。


「俺は嫌いじゃないぜ」

「本当か!?」

「ああ。女とはいえ戦士、いい身体付きだ」

「うん! 兄貴が好きならそれでいいや!」


 爪牙は俺の腕に抱きつく。

 おうおう胸が当たってるぞコンチクショウ。

 やわらけーなー。


「ふぅ……本当は大和様と二人きりで風呂に入りたかったのじゃが」


 万葉が入ってきた。

 隣の爪牙があんぐりと口を開ける。

 まぁ、しゃあないな。

 万葉は女として最高級の身体を持っている。

 言葉に出していえないが、爪牙では足元にも及ばない。


「どうしたクソガキ、今更、女としての格の違いを思い知ったか?」

「う、うるせぇ!」


 万葉はふっと笑いながら湯を浴びて、俺の隣に浸かる。


「ささ、大和様。酌します」

「おう、サンキュー」


 んー、妖艶な美女と可憐な美少女を両隣に、美酒を呷る。

 最高だね。

 男として、これほど贅沢なことはない。


「大和様、やはりいい身体をしておる。やはり最高の雄じゃな」

「胸板厚いよな。それでいて、無駄が一切ない。理想の肉体だ」

「おいお前ら、ぺちぺち触るな。くすぐってぇだろうが」


「それにほら、主様のもう一つの得物。これは凄まじいぞ。三千世界一じゃ」

「だな。俺もここまで凄いのは会ったことがない。ある意味無双の剣豪だな」


「テメェ等、金太郎がいるんだぞ。自重しろ」


 ぺしぺしと二人の頭を叩く。

 しかし、二人の鼻息は荒かった。


「なぁ大和様、上がってから、早速お楽しみといかぬか?」

「おい、今夜は俺が寝るんだ。三ヵ月も溜まってて、我慢できねぇんだよ」

「一人で盛っていろ、犬」

「うるせぇ、狐ババァ」


「あ?」

「んん?」


「喧嘩すんな。してやらねぇぞ」

「す、すまなかった大和様」

「兄貴~っ、それはずりぃよー」


 俺は二人を抱き寄せる。


「俺が本気になったら、お前ら、明日布団の中から出られなくなっちまうぜ。それでもいいのか?」


 俺がそう言うと、二人は頬を朱に染める。

 完全に、雌の顔になっていた。


「ああ、明日、布団から出られぬくらい、妾を愛してくだされ」

「兄貴のが欲しくてたまらないんだっ」


「よしわかった。二人纏めて相手してやる。先に上がって準備しておけ」


「わかった!」

「おう!」


 二人は意気揚々と去っていく。

 俺は酒を飲み直した後、そこらへんを鼻歌交じりに揺蕩っている金太郎を引き寄せた。


「わぅ?」

「お前は、まだ酒は無理だよな」

「お酒?」

「お酒もわからないか、ふぅむ」


 俺は金太郎を撫でながら、夜空に浮かぶ満月を仰いだ。

 暫く、一人で月見酒を楽しみますかね。


 この後、万葉の屋敷で激しい雌の悲鳴が聞こえたという噂が立つが、かんけーないかんけーない。


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