第五証人「七騎士序列五位・ジーナ&???」
憎い。
憎い憎い。
私の大切な人を、未来を、奪った。
あのサムライが、憎い。
しかし、サムライはいなくなってしまった。
追う手立てはない。
追ったとしても殺されるだけだ。
革命軍も壊滅。
ならばどうする。
死ぬしかない。
「待ってて、蔵人……今、そっちに行くから」
私はそこらにあったガラスの破片で頸動脈を切る。
ああ……蔵人。
「ごめんね、私が、もっとアンタに、素直だったら……」
◆◆
私は荒れ果てた世界へやってきた。
むせかえるほどの血臭が土煙を赤く染め上げる。
ふと見つけたのは、青年と抱き合っている少女だった。
死んでいる。
頸動脈を切っていた。
自殺、それも遂さっき。
「……ッッ」
大和様。
あなたは、本当に変わられてしまった。
昔のあなたなら、この無残な光景を見て、涙を流した筈だ。
それなのに、今はこの光景を作る元凶になっている。
「……どうしてですか、師よ」
あなたは私に剣術を教えてくださった時、こう言いました。
人を助けるために剣を振るえ、悪を滅ぼすために剣を振るえ、と。
あの言葉は、嘘だったんですか?
あの頃の、サムライマスター・ヤマトはもう、どこにもいないのですか?
……あなたはあの日、私以外の全ての仲間を斬って、姿を消した。
何故、私を斬らなかったのですか?
私に見せつけるためですか?
この、惨い光景を。
それとも……
……大和様。
あなたは必ず斬ってみせます。
私がこの手で。
それが、あなたにできる、唯一の恩返しですから。