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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
《第八章・超越者VS超越者》
33/48

第二証人「赤修羅・龍咲秋」

 俺はインフィニット・アストラルの力で斬られた腕をくっつける。


「まだだ!! もっとだ! もっと愉しもうぜぇ!! 殺し合いをよォ!!」


 大和の目がギラギラと危険な輝きを灯す。

 ここからだ。

 大和が本当の意味で本気になる。


 スイッチが入った。


 大和は尖った性能を持つ俺と違って、近接戦闘全般に優れている。

 特に剣技は超越者の中でも随一。


 しかし、大和の恐ろしい点は他にある。

 一つ。

 邪神を封印し、今でも強者と殺し合いを続けている、その経験値。

 百戦錬磨の手練、究極のベテラン。

 故に基本的に隙はなく、不意打ちも効かない。

 自分から隙を作り楽しむ場合があるが、二刀流になった時、それは完全に無くなる。


 先ほどの攻撃も、自分の腕を犠牲にしてようやく当てられた。

 それも一発のみ。

 腕一本犠牲にしないと、二刀流になった大和に攻撃を当てるのは難しい。


 だが、真に恐ろしい点は、別なのだ。


 大和は強者との戦いを楽しみたいが故に、無意識に力をセーブしている。

 今、そのリミッターが外れた。

 大和は瀕死だが、そんなことは関係ない。

 この男は立ち上がってくる。


「ハハ!!」


 大和の気が爆発的に跳ね上がる。

 血は止まり、骨や内臓が音を立てて修復していく。


「ハハハハ!!!」


 大和が消える。

 前方に現れたのでインフィニット・アストラルを放つが、避けられる。

 そのまま右に回り込まれるが、追撃を放つ。

 しかしそれも避けられる。

 追いつけない。


 大和の緩急の極まった特殊な歩法。

 視覚情報だけでは対処しきれないのだ。

 単純なスピードなら同格だ。

 だが大和は、この歩法によって俺を混乱させている。


「!」


 一瞬斬られると思ってガードするが、何もない。

 見てみると、大和が遠くで笑っていた。

 ……殺気。

 それも本当に攻撃されるという幻覚を見せるほどの。


 戦闘中のフェイントに用いられる殺気運用術。


「ハハハハハハハハ!!!!」


 滅多斬り。

 四方八方から殺気を当てられ、緩急の入ったステップでヒット&ウェイ。

 反撃しても、全て回避される。

 今まで互角の戦いを演じていたのに、一気に形勢が傾いた。


 そう、本来の意味で本気になった大和は、超越者でも手を付けられない。


 究極の技術を持って、全てを殺し尽くしてしまう。


 俺は全身からインフィニット・アストラルを最大出力で開放する。

 大千世界が崩壊していくが、大和は……


「……!」


 俺の喉元に、二刀がクロスしていた。

 すぐにしゃがんで避けると、頭の上の空間が丸ごと切断される。

 大和はそのまま、俺に蹴りを放つ。

 ガードしたが、なんだ、この重さは。

 腕が痺れる。 


 ……俺も、もうそろそろ本気を出すか。

 インフィニット・アストラルの本当の力を開放する。

 本来、インフィニット・アストラルはただの「力」ではないのだ。


「く、ククク、ハハハハハ! 大和! テメェはやっぱり最高の好敵手だ! 俺が、全力で、本当の全力で戦わなければいけねぇんだからな!!」


 俺は高笑いを上げながら、インフィニット・アストラルの真の力を開放した。

 瞬間、大千世界が、いいや、三千世界が、崩壊を始めた。


 過去未来現在に存在する全ての星々の力の結晶。

 インフィニット・アストラルの真の力、使うにテメェほど相応しい存在はいない!

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