表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
第五章《超能力編》
17/48

プロローグ

 公園で遊んでいると、おサムライさんと出会った。

 編み笠を被っていて、雰囲気も怖かったけど、友達と勇気を出して喋りかけてみた。

 すると、


「おう、餓鬼ども。キャンディー食うか?」


 優しいおサムライさんだった!

 僕たちははしゃぎながらおサムライさんに寄って集まる。


「ねぇねぇおサムライさん! その刀ほんものー?」

「ああ、だから触っちゃダメだぜ?」


 おサムライさんは僕の頭を撫でてくれた。

 ~♪


「お前らに聞きたいことがあるんだけどよ」

「なぁに?」

「アレは何だ?」


 おサムライさんが差したのは、高層ビルの真ん中にある巨大な建物だ。


「あれはちゅうおうぶりょくきょくだよ」

「中央武力局?」

「そう、えりーとのジーニアスが沢山いるんだよーっ」

「ジーニアスって、なんだ?」

「えー、おじさん、ジーニアスも知らないのー?」

「クク、最近ここに来たばかりでよ」


 んーとね、んーとね。


「ジーニアスは、ちょうのうりょくやいのうを持ってる人間のことを言うんだよ」

「へぇ」

「ちゅうおうぶりょくきょくには、強いジーニアスが沢山いるんだよ。僕も、何時かあそこに入って、沢山の人を救ってあげたいんだ~」

「そっか、偉いな。人のために力を振るおうと思うなんて。……俺にゃ、到底できないことだ」

「??」

「何でもねぇ。なぁ、お前らも超能力が使えるのか?」

「うん! ほら!」


 僕は手に小さな炎を生み出す。

 おサムライさんは驚いているようだった。


「すげぇな。マジで超能力か異能の類なのか」


 おサムライさんは、悪そうな笑みを浮かべた。


「これぁ、楽しめそうだな」


 一瞬怖いって思っちゃったけど、おサムライさんはすぐに優しい笑顔に戻った。


「なぁ、ジーニアスで一番強い連中は知ってるか?」

「もちろん! ななきしだよ!」

「ななきし……七騎士か」

「うん! 世界で一番強いジーニアス! 皆のヒーローだよ!」

「……」


 おサムライさんは編み笠を被りなおす。


「サンキュー、ほら、もう一個キャンディーやるよ」

「わぁ! ありがとー!」

「テメェら、その人を助けたいって気持ちを忘れるなよ。忘れたら、俺みてぇなロクデナシになっちまうからな」

「おサムライさん、ろくでなしなの?」

「ああ、だから、俺のことはすぐに忘れろ」


 おサムライはそう言って去っていった。

 僕はろくでなしの意味がわからなかったので、笑顔でその背中に手を振っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ