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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
《第四章・魔王編》
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第二証人「魔王」

 我は魔王。

 現在、魔王城の玉座で微酔にまどろんでいた。

 勇者がやってくるというらしいが、はたして三魔将軍を抜けることができるのだろうか?

 彼奴等は強い。

 単体でも、数万の人間を一瞬で惨殺する。

 ……彼奴等が抜かれる可能性は一割にも満たないだろう。

 が、その一割をもしも突破できたのなら。

 その時は、我が全力で相手をせねばなるまい。

 魔王の誇りにかけて。


「魔王様」

「何だ」


 腹心の女悪魔が現れる。


「三魔将軍様方が討たれました」

「……本当か?」


 まどろみも覚めてしまった。

 それほどに驚いた。

 まさか本当に……


「相手は勇者か?」

「いえ」

「?」


 では、誰だというのだ?


「サムライ姿の大男が、三魔将軍様方の首を持ってやってきました。現在玉座に一直線に向かってきております」

「よい、丁重にもてなしてやれ」

「かしこまりました」


 腹心が下がる。

 数分後、城から魔族の気配が消えた。

 フッ、腹心もやられたか。

 フフフ、サムライか。

 どんな人間なのか、楽しみだ。

 そう思っていると、玉座へ唯一繋がる門が開かれる。


「よぅ、待ったか?」


 サムライが現れた。

 身長は二メートルほどか、良い肉体を持っている。

 白の着物に黒の浴衣、肩から赤いマントを羽織っている。

 褐色の肌、灰色の三白眼、ギザギザの歯。

 手には腹心の首を持っている。

 フフフ。


「ようこそ、玉座へ。我が魔王だ」

「見りゃわかる」


 サムライは首を放り投げて、近づいてくる。


「じゃあやるか。丁度身体も温まってきた」

「魔王の誇りにかけて、負けぬ」


 我は立ち上がる。


「俺を満足させてくれよ?」


 サムライが消える。

 我は拳を突き出した。

 我の速度は音速を遥かに超える。

 しかしサムライは見事に対応してきた。


「貴殿は本当に人間なのか?」

「よく言われる」


 サムライは二刀をクロスさせ、斬り込んできた。

 我は足底で受け止めようとするが、片足が骨まで裂かれる。

 なんと! 金剛石に匹敵する我が肉体を斬り裂くとは!


「しかし、我が回復力は不老不死にすら匹敵する」


 足が再生する。

 サムライは、ニヤリと笑った。


「次はないぜ?」

「どういう意味だ」

「そのままの意味だ」


 ふむ。

 では、これならどうだ!


「重力魔法。5000倍だ」


 瞬間、サムライが潰れた。

 かに見えた。


「背後か!」

「クハ!」


 突きを肩に貰うが、かろうじて避ける。

 くっ、全く見えなかった。

 瞬間移動か!?


「ハハハ!」


 そのまま乱撃戦になる。

 サムライの手数は圧倒的で、それでいて全てが一撃必殺。

 一つでも捌き損ねたら、急所をもっていかれる!

 しかし我は不死身に近い再生力を持っている、

 であれば、強行突破を……


「!!」


 捌いて手傷を追っている腕が回復しない!

 どういうことだ!


「俺は不老不死を殺せるのさ」

「そんな馬鹿な!?」

「テメェが死ぬまで、あと十五秒」

「!」

「十四、十三、十二、十一、十♪」


 急所をどんどん抉られていく。

 血が噴き出し、力が抜けていく。

 サムライの攻撃はどんどん勢いをましていく。


「九、八、七、六、五、四♪」


 両腕を斬り飛ばされ、膝をついた時、サムライが我を見下していた。

 口元を半月に歪めながら。


「三、二、一、零♪」


 我の喉元に、刃が通り抜けた。




 ◆◆




 まぁ、ただのファンタジー世界で、ただの魔王相手だったらこうなるわな。

 邪神とかだったら話は別なんだが。

 あ~あ、今回はハズレだ。

 次の世界行こ。

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