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大和さんの異世界漫遊譚【完結】  作者: 桒田レオ
《第四章・魔王編》
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第一証人「三魔将軍・魔元帥」



 それがしは落胆していた。

 人類に残された唯一の希望、人類最強。

 勇者。

 肩書は立派だった。

 しかし実物はコレだ。

 期待していた分、落胆が激しい。

 言葉も出ない中、突如として第三者が乱入してきた。


「じゃあ、やろうぜ」


 サムライは刀を担ぐ。

 某達の中でも、魔剣聖が興味深そうに顎を擦った。


「剣士ですか。興味ありますね」

「ならやるよ。俺と魔元帥は見学してる」

「……問題ない」

「では、いただきます」


 魔剣聖が前へ出ると、サムライは不服そうな顔をする。


「何余裕かましてんだよ。全員で来い。相手してやるからよぉ」

「……我々三名と同時に戦うと? 人間風情が?」

「おい、調子に乗るんじゃねぇよ」

「……」


 魔剣聖、魔賢者は揃って眉間に皺を寄せる。

 しかし、このサムライ…


「いいから死ぬ気でかかってこい♪」


 舌を出され挑発され、まず出たのは魔剣聖だった。


「三枚におろしてあげますよ!!」

「待て!! 早まるな!!」


 某は止めようとしたが、魔剣聖は突撃していく。

 サムライと魔剣聖、両者の距離が縮まり、交差したと思った瞬間。

 腕が吹き飛んだ。

 宙に舞った腕が誰なのか確認した時、魔剣聖がバックステップを踏んだ。


「クッ……」


 大量の冷や汗を掻きながら、無くなった肩を抑える魔剣聖。

 某と魔賢者は瞳を丸めて、サムライを見た。


「だから言ってるじゃねぇか。全員で来いって」


 大太刀を担ぎなおし、嘆息するサムライ。

 やはり……


「おい、魔剣聖、魔賢者」

「「?」」

「落ち着いて、奴の纏う空気を読め」


 吐き気を催す。

 なんて邪悪な空気を纏っているのだ。

 そして、その強大さ。

 我々三人を足しても、遠く及ばない。


「そんな……」

「おいおいおいおい、なんだぁありゃ」


 魔剣聖も魔賢者も頬を引きつらせる。

 某も、苦い笑みがこぼれた。


「全員で行くぞ」

「わかりました」

「おう」


 まず某が突貫する。

 武装である大剣を振りかざす。

 サムライは受け止めようとしたが、瞬間的に重力魔法を刀に込めて重さを数百倍にまで跳ね上げる。


「む」


 サムライの態勢が大きく崩れた。

 今が好機!!


「やれ! 魔剣聖!」

「片腕ですが、まぁいけなくはないです!」


 魔剣聖の剣が鮮やかな線を描いて舞う。

 サムライは全てガードするが、それは計算の内だ。

 本命は別にある。


「締めだ! 魔賢者!」

「はいよ!」


 最後に魔賢者の炎熱属性魔術。

 サムライの身体が焼き焦げる。

 生物の焼ける独特の臭いが漂ってくる。


「やりましたか?」

「ったりめぇだろ、今ので死なないなんてこと……」

「油断するな。あの不気味な空気の持ち主が、そう簡単に死ぬはずないだろう」

「「……」」


 二名は黙って、武器を構える。

 すると、炎の中から優々とサムライが現れた。


「なぁ、こんなもんか? これで、終わりなのか?」


 落胆、していた。


「なぁなぁ、こんなもんじゃねぇだろ? もっと来いよ。ほら、ほら、ほらァ!」


 両手を広げて、攻撃をねだるサムライ。

 某も、魔剣聖も、魔賢者も、後ずさった。

 今まで戦ってきた人間とは、明らかに違う。


「来ないのか? ならこっちから行くぜぇ!!」


「二人とも!! 本気でいきましょう!!」

「ああ!! コイツはやべぇ!!」


 魔剣聖と魔賢者の言葉に同意する。

 コイツは、我々の知っている人間ではない。

 某達は久々に封印を解除し、本気の状態となった。


「本気の私の一撃は地殻変動に匹敵します。人間程度、芥子粒です!」

「俺の本気の炎は都を五つ焼き尽くす! 今度こそ灰になれぇ!!」

「某の重力魔法は星に影響を及ぼす。何をされたのかもわからず息絶えるがいい!!」


 我々は突撃する。

 サムライは心底嬉しそうに、脇差を抜き放った。

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