冒険者の筈なのに殺人事件に巻き込まれちゃいました!
「お前がマスターの・・・」それが彼女の言い放った言葉。この言葉に思い当たる点は存在しない。いや、分からないのかもしれない。ただひとつ、わかる事はある。それは、その言葉は俺に対して言っている事だ。
「この騒ぎは何なのだ?」
警察に尋ねるクリス。
「あぁ、これは殺戮ギルド<DEATH SENTENCE>の目撃情報があったから、それを解決する為の騒ぎだよ。」
「おい貴様!部外者にそれ以上話すな!」
「あ、はい!」
説明する警察官にどなる上司と思われる男。
「<DEATH SENTENCE>か・・・なるほどな。すまない、その事件を私にも解決させてくれないか?」
突然サポートを要請するクリスに俺は吹き出す。
「おまっ!何を言ってんだ!俺をそんな面倒な事に巻き込むな!」
「シュンペイ、この事件は私にとって見逃し難い事なんだ・・・」
なんで!?まぁ、こいつの事だから理由でもあるんだろうけど。
何かを隠している時にクリスがする表情だったので俺は何も聞かないでおいた。
「分かった。お前がそこまで言うなら俺もやる。なんせ仲間だからな!」
「き、君まで何を!?」
動揺気味の警察官は俺達の参加を止めようとする。
「部外者を捜査に入れる事はできない。万一の事があっては困るからな。」
「・・・。それって、捜査に加わろうがなかろうがその万一の事に遭遇する確率は変わらないのでは?」
言っている事はデタラメでも反論するクリス。
「私はスパイの可能性も兼ねて言っておるのだ。分からんのか?」
「いいだろう。この場で私がスパイじゃないことを証明してやる。私のカードだ。これまでの経歴を見てみろ。」
そこには確かに殺戮ギルド関連と思われる物は記載されていなかった。しかし・・・
「おい貴様、このあんs────」
警察が何かを言いかけた瞬間
「その事はこの場では言わないでくれ。私はその事については深く反省している。私は自首してこの場にいるのだから。それらを含めて今回の事件を解決しようと思っている。」
クリスの言葉に一切の嘘はなかった。
「仕方ない。貴様を信用するとしよう。しかし、厳重機密事項は教えする事はできない。それでもよろしいな?」
「分かりました。ありがとうございます!」
深くおじきをするクリスの傍ら、こだまが現れて
「あの、お取り込み中申し訳ないのですが、今はどういう状況なのでしょうか?」
「あ、こだま、今なぜかクリスがDEATH SENTENCEの捜査に参加しようとしてて・・・」
「DEATH SENTENCE?あぁ、あの殺人ギルドですか。だからこんなに人集りが・・・」
「何かを知っているのか?」
知っているかの様に話すので、尋ねてみる。
「DEATH SENTENCEというのはですね、このところ急に現れた殺戮ギルドで、偵察班、援護班、殺戮班の3つに別れている様です。しかし、殺戮の目的は分かっておらず、それらを調べあげるのも踏まえて警察側が捜索中の様です。ちなみに殺した人数は3桁に昇るとか。」
「3・・・」
非現実的な数字に驚く他無かった。
「なぁ、それって俺達もかなり危なくないか?」
「はい。正直私はやりたくありません。」
「何を言っている!特にシュンペイは一度やると言ったのだかr───────」
「きゃーー!」
突如鳴り響く悲鳴。駆けつけた先には深く帽子を被った少女(?)が襲われている。
「なんだなんだ!?って、女の子が!」
「DEATH SENTENCEだろう。即刻私が・・・」
「待て。」
警察はクリスの攻撃を止める。
「何故だ!この上ないチャンスだぞ!それに、それに彼女が危険ではないか!」
「だからこそだ!DEATH SENTENCEの殺戮を邪魔した者はすぐさま殺される事を知らんのか!」
「くっ!で、でもいま救える命を救わなくて、何が警察だ!」
それ以上は何も言い返せない様だ。
「おいこだま?この世界では死んでも大丈夫何じゃ?」
「いえ、プレイヤー同士の場合は話が違います。この世界はあくまで誰かが作り出した世界です。よってそこらにいるNPC達にやられたところで死にはしません。しかし、プレイヤーやAIなどの自主的に行動する者は製作者側が対応し切れない物です。」
なるほど、だから警察側は殺されたら現実でも死ぬと錯覚していたのか。にしても理不尽すぎる。
そこで俺はある決断をする。
「助けよう。」
「っ!?シュンペイは一体何を!?」
「ここで助けなかったら彼女も、それにこの事件の捜査も進まないじゃないか!」
「・・・シュンペイは優しいですね。それでこそエターナルエンドです。」
こいつはバカにしてるのか?
「クリス、とりあえずお前のスキルで奴等の会話を盗み聞きできないか?」
「・・・できなくはない。やってみるとしよう。」
クリスは身を潜めながら少女の元に向かう。
「お前、本当に知らないんだな?」
「知りません!本当です!ですから助けてください!」
「お前、人の話を聞いてなかったのか?知らなかった場合も殺害の対象と言ったろ?」
何かを問いてる様だった。しかし何を?
「ただ、その槍は伝説上のものでげほっ!」
何かを喋ろうとする少女は鳩尾をやられる。
「そういうのは聞いてねぇ。俺らは<グングニル>の場所を聞いてんだよ!知ってんなら答えろ!あぁん!」
「知りません!」
意地でも喋ろうとしない少女。
「早くゲロっちまえよ、マジで殺すぞ!」
「ほんとうにしりまぐはぁ!」
腹部に再度蹴りを入れられる。少女の帽子が地に落ちる。綺麗な真紅に染まった髪の毛はまるでアニメに登場するかのような色であった。
「意地でも喋りたくねぇのか。まさかお前、そんなに美少女なのに、ドMなのか?」
「俺はそういうシチュ好きだけどな!ヒャハハ!」
「さぁさぁ!早くゲロッちまえよぉ!」
もう一度腹部を蹴る。さすがの少女も耐えきれなかったのか吐血してしまう。
「きったねぇ!さて、殺すとするかぁ!」
男達はナイフを用意する。そしてナイフを振りかぶろうとした瞬間
「わん!わん!」
犬が吠える。
「あんだよ!せっかくいいとこだったってのによぉ!」
そんな言葉に構わず犬は男の足に噛み付く。
「っ!あぁ!いってぇ!て、てめぇ!」
その隙を見計らってクリスは少女を連れてその場から去る。
「いってぇなぁ!って、あの女はどこいった!」
「い、いつの間に!?」
男達は後ろを振り向いて初めて逃げられた事に気付く。
「全部お前のせいだぞ!」
そんな言葉を吐き捨てて犬を蹴り飛ばす。
「動物にまで危害を加えるなんて、あんたらそれでも人間か!?」
こだまが男達の前に現れる。
「てめぇ!どこから湧いた!」
「私をゾンビみたいに言わないでください。」
ちょっとした文句を言いながら男達を眠らせる。
「ほっ、これで一件落着です。・・・犬ちゃん!大丈夫!?」
さっきの雰囲気からは予想できない勢いで犬を抱きかかえる。
その後、少女は一時的に警察の方へ事情を、男達は警察にお世話になった。と思われたのだが
「ひぃっ!お、お前は!?」
刑務所に突然現れた黒尽くめの少女。
「私?名乗る様なものでもない。ただ、ひとつ教えておこう。私はDEATH SENTENCEの一員だ。捕まった仲間を救わさせてもらう。少々手荒になるがな!」
少女は警察の顔面に蹴りを喰らわせる。
「がはっ!」
不意打ちに怯んだタイミングで少女は首筋を上から殴る。
「蹴りやすい位置に頭があるなぁ!」
殴った事によって頭の位置が下がった上に顔面に膝蹴りを喰らわせる。
「うっがぁ!」
何ともいえない悲鳴をあげる警察に助けを求める暇を与えずに少女は右ストレートをばっちり喰らわせる。
パキッ!
骨がやられた音。警察の頭蓋骨がやられた様だ。
「たった1人の女の子にも勝てないとは・・・最近の警察は弱くなったものだ。」
「た・・・すけt───」
バキバキッ!
「助けて。」その一言すらも言わせぬスピードで彼女は警察の背骨をへし折った。
「この技術はなぁ、弱い者が強い者に勝つ為の技術を私なりに応用させた物。これさえあれば全身の骨を砕く事位簡単だ。」
血を垂れ流して倒れている警察にそんな事を告げる少女。最後の悪あがきの為か警察は手に隠し持ったブザーを鳴らす。
ビィィィブチッ!
鳴り響いたブザーを踏み付けて粉々にし強制的に止める少女。
「仲間は救出させてもらうぞ・・・ん?」
「侵入者だ!奴を捕まえろ!」
ブザーに反応したのか30人程の警察が少女に押し寄せる。
「面倒な事になったな仕方ない。」
少女は独特な構えをとり襲撃する。とても肉眼では捉えられぬ速度で背後に入り込み警察の胸元に掌をぶつける。
「「うっ!!!」」
心臓にとんでもない衝撃が加わり2人の警察は倒れこむ。
「くらえっ!」
警察は銃を構える。
パンパンッ!
時は遅し、弾を放った先には誰もいなかった。
プシュッ!
警察の腕に針が刺さる。薬だ。
「「なんだ・・・コイ・・・ツ・・・」」
1人、また1人と警察はやられていく。
「もう少し武術を鍛えてはどうだ?さて、残りはお前1人だ。覚悟しろ。」
「ひっ!一体どんな神経を──────」
グシャァ!
頭をひねり潰される。
「頭蓋骨を潰した。もう脳みそもメチャクチャだろうな。では、連れ戻させてもらう。さらばだ。」
少女はその場から去って行く。
「お前達、迎えにあがったぞ。」
「よくあの人数の警察を殺ったな。」
「いや、殺したのは8人程度だ。顔もばれていない。」
会話を交わす男達と1人の少女。
「もう時間がない。マスターもお怒りの事だろう。速やかに帰るぞ・・・待っていてくれ。いつか必ず会いに行くよ、姉さん。」
少女と男達は刑務所を後にする。
「おいこだま!犬にばっか集中してないで俺等の話を聞け!」
「もう、うるさいですねぇ。いま私はこの子の名前を考えてるんです。かっこいい名前、可愛い名前、考えればジャンルは色々・・・なんと素晴らしいのでしょうか!あぁ、この子の名前、どうしよう・・・」
ダメだこりゃ。完全に犬に心を奪われているこだま。
「こだま、私にいい名前があるぞ!松村なんてのはどうだ?」
「嫌ですよ。何でそんな苗字みたいな名前にしなきゃいけないんですか。」
「よく考えろ!この世界にも色々な動物はいる。ポチだのタマだのとありきたりな名前を付けたら他とかぶるに違いない。そこで松村という絶対に他にはいない名前にするのだ!」
正論を言っているのかは別として確かにありきたりな名前は少し嫌だな。だからといって松村って・・・ん?
「それはいい考えです。参考にさせてもらいます。」
「ならばお前はツムラとでも呼ぶがいい。」
「ツムラ・・・なんか可愛いです!」
「じゃあ松村で決定だな。」
「ツムラです!」
なんでクリスは松村にこだわるんだ?あれ?クリス?松村?あぁ、なるほどね!
何かを納得した俺はとりあえず家に帰る事にする。
「ちょっと待ってください!ツムラのドッグフードを買います。先に帰っていてください。」
「その前に今回のミッションの報酬は?」
事件の事で完全に忘れてたがゴブリン狩りの後だったな。
「あ、はい。報酬金は936000Rで山分けして一人当たり312000R。報酬品はゴブリンの角が二つと祖龍の背骨が一つに加えて魔王ゴブリンの腕輪が一つです。他の安値で売れる物は既に売り果たしました。」
「そうか。それよりこだま、本当に報酬金は936000か?ちょうど3で割れるのが疑わしいのだが・・・」
「ギクぅ!まままま、まさか!さすがの私でもそんな事はしないですよ!」
こいつ、絶対に少し盗んでやがる。
「そうか。まぁこだまがそんな事するわけないもんな。」
「そそそ、そうですよ!」
「じゃあ家に戻ったら金を山分けしてくれ。」
そう言ってこだまと俺たち2人は別れた。
「こだまめ、私達がいない事をいい事に金を少しネコババしやがって・・・まさかその為に1人で・・・」
あら?気付いていたのね!クリスちゃん。
「と、とりあえず家に帰ろう。」
「そうだな。」
約15分後、家に着く。
「いやぁ、我が家は落ち着くなぁ!」
「ここは私の家なんだが・・・いい加減自分の家でも建てたらどうだ?5話にもなってまだ美少女ヒロインの家に引き篭もるなんて・・・」
だからメタイ話はやめろって!
「それよりシュンペイ、お前のエターナルエンドという名前、少し昔からこだまは知っている様だったぞ?」
「まぁな、オンラインゲームで俺はいつもトップ100位内だったし、かなり有名だと思う。1位は獲った事ないけど・・・おかげで<エターナルセカンド>つまり<永遠の2番手>なんて呼ばれたが」
「ぶほぉ!永遠の2番手・・・ル○ージか!ぶっ!」
こいつ、いい加減ぶっ飛ばしてもいいかな。
「ちなみに1番って誰だったんだ?」
当たり前の疑問だろう。
「いつも同じ人だった。<ライトサークル>名前の由来は謎なんだけど、いつもオンラインゲームの1位に君臨してた。お互い強者としてよく戦わせて貰ったけどな。」
「ただいまです。ドッグフードを買ってきました。はい!ツムラ、ご飯の時間ですよぉ!」
保護者の様に松村に世話をする幼女、じゃなくてこだま。
「そういやクリス、松村ってお前、あれだよな?」
「よく分かったな。あれは私の中で一番の憧れオネエ芸人なんだ。」
やはりあいつで正しかったようだ。
「松村じゃなくてツムラです!」
まだ言ってんのかこいつ。そんなグダグダ空間の中、突然ガチャン!とドアの音がなる。
「来客?こんな時に誰が・・・」
見てみると深く帽子を被った少女がいる。帽子を外すと綺麗な赤髪のロングヘアが出てくる。超絶美人だ。正直クリスを上回ってるかもしれない。
「あ、あの、つい先程命を助けてもらったカナと申します!あの、その、私を仲間にしてください!」
「アリスも条件をこなした様だ。これであいつを連れ戻す下準備は整った。あとは時を待つだけだ。」
5話終了致しました。はい、先週はお休みさせて頂きました!言いたいのはそれではないのですが、6話を先に作らさせて頂きました!よって、私は今週は休む事ができます!
今回の話では今後の話に直接関係してくる部分が多々ありますね!勘のいい人は今後の展開を予測できるかもしれません!
そんな事はどうでもいいんです!私のあとがきはいつも小説の話ばっかで・・・雑談します。
つい先日の話です。暇だったのでイ○ンモ○ルの方へ行った時に、本屋の方へ行ってみたらそこにはラ○ライブのファイルが!ほ、欲しい!ちなみに私は金髪のあの子推しです。
しかし、私はその時あくまで暇潰しに来ただけなので所持金はほぼ持ってきていませんでした!あぁ、欲しい!仕方ないと思い、私は諦めて帰りました。はい、オチがなかったですね、わかります。ただこれが話したかっただけです。
次回は少々過激な表現が含まれるのでご注意ください。2015年11月19日の深夜0時に投稿予定です。次回もよろしくお願いします!