引き篭もりだった男がまともな依頼をこなしていく様ですよ?
「あのエンブレムは・・・発見したぞ!奴は殺戮ギルドの一員だ!捕らえろ!」
その殺戮ギルドの一員と思われる赤髪の少女はスッと手を上げ・・・
「フフ、みーつけたっ!」
「「んっ!?」」
突如何者かに触れられた感触を覚える警察官
「こんなのどうかしら?」
「「や・・・やめろ・・・やめろぉ!」」
叫んでいる警察官が黙った後、赤髪の少女はその場から姿を消して、何者かの元へ行く。
「条件はこなしました。私を正式にこのギルドの一員にしてください。」
「そうだな・・・カーナラル、お前を正式に<DEATH SENTENCE>の一員にしよう。」
「ありがとうございます!」
無邪気に喜ぶ「カーナラル」という名の少女。
「それより今の技、一体何をやったんだ?」
「それはですねぇ────」
〜舞台は戻る〜
「おいシュンペイ!早く技の準備をしろ!」
だから俺はそんな技を持ってないんだって。
「シュンペイさん、これ以上にない大チャンスなんですからしっかり働いてください。」
「だから俺はそういう技を持ってないんだよ!」
怒鳴った俺に反応したかの様に祖龍が少し動く。
「「「・・・・・・ほっ」」」
起きなかった。良かった、マジで良かった。
「とりあえずカードを貸せ!一番強そうな技を習得させる。」
カードをクリスに差し出す。
「ふむ、この<滅龍陣>なんてどうだ?」
クリスの操作によって俺は<滅龍陣>を覚えた。
「よし、やるか!」
「もう遅いですよ。」
こだまの言葉に反応して祖龍の方に向く。すると祖龍は目を覚まして起きようとしている最中だった。
「は、はやく撃つぞ!」
「「お、おう!」」
クリスの点呼で一斉に技を撃つ。
「滅龍陣!!!」
俺の技によって祖龍の体中に黒い電撃が走る。
「ストリームパニッシャー!」
こだまの技で祖龍の体に無数の穴が出来上がる。
「ブレイズアーチ!」
とどめのクリスによって祖龍の体が赤く腫れ上がり爆発する。
「グ、グガァァ!」という悲鳴をあげて祖龍・ワイバーンは消えてなくなった。
「はぁ、はぁ、や、やりました。」
生きてるフラグになるからそういう発言はやめていただきたい。
「残りは何体だ?」
「613体・・・あれ?10体倒したはずなのに9体しか減ってない。」
ほら本当に生きてた。
「いや、確かにこいつは死んだはずだ。なんせ消えてなくなったんだから・・・」
俺は何で数が減らなかったか分かったんだが。
「でも数は9体しか・・・私の記憶ミスでしょうか。」
「もしかしたらそうかもしれんな。」
「もう少し根本的なとこから考えろ。このミッションは何を倒すのが目的だ。俺たちは祖龍を倒す事だけを考えていたからこんな結果になってしまった。つまり数が減っていないという事は・・・」
そこで3人とも後ろを向く。するとそこには青いゴブリンがゆっくり逃げていた。
「さすがシュンペイだ。確かに今回はゴブリンを倒す事が目的だったな。」
「逃がしませんよ・・・アールズウォールソーセンショードルノームナイツ・・・」
詠唱を唱え始めるこだま。
「あ、あの、こいつ位は俺にやらせてくれな────」
「業火滅却!!!」
こだまの魔法によってゴブリンに白い光が突き刺さる。
俺の言葉を無視した上にそんな強そうな技でゴブリンを殺すなんて・・・その後こだまは即座にクエストカードを確認する。
「はい、これで残り612体です。」
これで良かったのだろうか・・・
「こだま、今の一撃は見てるこっちも気持ちよかったぞ」
「それは良かったです。」
うん、良かったみたいだな。はぁ、俺が倒したかった。
「次に行きましょう。」
こだまの点呼で俺たち一同はゴブリンを探し始める。
「そういえばエターナルエンドについて思い出しましたよ。」
ゴブリン捜索中にそんなことを言い出すこだま。
「ああ、この前のか。んで、一体誰なんだ?」
「私のやってたオンラインゲームのランキングでいつも2〜99位だった人です。」
うっ・・・それ、紛れもなく俺なんだが・・・
「まさかシュンペイは本人なんですか?」
「ま、まさか・・・え、エターナルエンドは・・・えーと、俺の憧れの存在だったんだよ はは、ははははは」
「そうですよね・・・残念です。」
ほっ、納得してくれたようだ。
「それよりゴブリンは見つからないな。」
クリスが突然そんな事を言い出す。確かに15分位探してるけど一行に見当たらない。
「ん?あれは何でしょうか。」
こだまが指す方向を見るとそこにはちっちゃいゴブリンの群れがいる。
「コブリンですね。厄介な相手が現れたものです。」
「コブリン?ただ小さいゴブリンなのか?」
「まぁ普通に言えばそんな所ですね。でも通常のゴブリンよりも動きが速い上に大きさも3分の1程度、おそらく通常のゴブリンよりも強いでしょう。」
「そんな話は後でいいだろ。とにかく奴等を討たねば。」
そう言ってクリスは弓を構える。
「我ガ弓二憑依スル聖霊<ウル>ヨ、此処ニテ我二力ヲ捧ゲル事ヲ誓エ・・・」
詠唱?なんでクリスが・・・
「ハミンギヤ!!」
クリスの放った矢は一直線にコブリンの方へ向かっていく。その矢は真ん中のコブリンを貫いた。
「ドワーフ!」
クリスの言葉に答える様に矢に貫かれたコブリンが破裂し周囲に氷を撒き散らす。その氷は次から次へと周りのコブリンに突き刺さり倒していく。やはり小さいコブリンは体力が少ないようだ。
「今のでざっと60匹程倒しましたね。残り594体です。」
「そうか。とっとと次へ行こう。」
なんでこいつらは職人感を出してるんだ?
「それよりクリス、お前はいまどうして詠唱を唱える必要があったんだ?アーチャーには必要のない事だろ?」
俺の質問にクリスは少し黙り込みすぐに質問に答える。
「簡易魔法という物だ。単体ではあまり使えないが本職の技と組み合わせると強くなる。あの詠唱は何となく付けただけだ。格好良かっただろう?」
こいつ絶対何か隠してる。
「と、とりあえずゴブリンを探しにいきましょう。」
「そうだな。」
こだまが点呼を取ったのでとりあえず従う。
「そういえばペナルティの話だけど、さっき死んだら現在所持している物の一部を失うって言ったよな?でもこの世界にくる前は警察側は死がかかっていると言っていたぞ」
「それはおそらく警察側のミスでしょう。わざわざ死の確認の為に死亡者を出すとは思えないので、多分警察側は全く知らない上でそんな事を言ったのだと思いますよ。もしくは誰かが吹き込んだか・・・」
確かにそれなら納得がいく気がする。
「そこ、話ばっかしてるな。そこにゴブリン騎士団がいるぞ。」
「ゴブリン騎士団?軍隊?」
「まぁそんなとこだ。メンバーは・・・<鉄壁ゴブリン>16体と<特攻ゴブリン>が6体、<援護ゴブリン>が12体そして<狙撃ゴブリン>が7体という所だな。」
なるほど、何となく分かった。つまりはそれぞれの役職に特化したゴブリンが一つの群れに纏まって戦うという訳だな。かなり厄介だ。
「おいシュンペイ、複数戦闘の際は基本的に近接兵士が前線で戦うものだ。こだまがヒーラー、私が遠距離攻撃を行う。とりあえず鉄壁ゴブリンを倒してこい。」
「お、おう、わかった・・・」
とりあえず剣を構えた俺は鉄壁ゴブリンの方へダッシュする。
「くらえぇ!」と言いながら連撃を喰らわせる。しかし何度切っても倒れない。どうしてだ?
「おいシュンペイ!早くそいつらを倒せ!」
「どんなに切っても倒れないんだよ!」
自分のHPがこだまの能力によって回復した時俺は気づいた。後ろの援護ゴブリンがヒール能力を使ってるではないかと。
「おいクリス!こだま!後ろの援護ゴブリンを倒してくれ!そうしないとこいつを倒せない!」
「ちっバレたか!」
意図的にやってたのかこいつ!
「仕方ありません、シュンペイ、とりあえずそこから離れてください。アルメルトオルームエンドナイトソレギリード!」
えっ、ちょっ、おまっ!
「早くどいてください!もう魔法が出ちゃいます。」
「待って!もう少し耐えて!服掴まれてんの!」
「もう待てません!グラビディゾーン!」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
こだまが技を発動した瞬間に俺とゴブリン達の周り一帯が暗くなり緑色の正三角形が浮かび上がる。
「すぐに逃げないからです・・・コンプレーション!」
こだまが魔法を言い切った瞬間三角形は小さくなっていく。やばい!潰される!
「リザレクション!」
HPが急激に回復する。回復能力か・・・
「シュンペイ・・・お前は才能に恵まれているんだ・・・その才能をしっかり使いなさい。」
俺の名を呼ぶ男・・・一体誰だ?
「父ちゃんは何言ってんだよ、いつもテストが赤点の俺が才能に恵まれてる訳ないじゃん。」
この人はお父さんなのか?俺の知ってる父とは少し顔が違う・・・まさか!
「全部が全部勉強で決まる訳じゃない。」
「いつも父ちゃんはきれい事ばっかりで・・・もう、なんなんだよ!」
しかしここはどこ何だ?どこかで見た光景だ。思い出せそうなのに思い出せない・・・
「シュンペイ・・・これから父ちゃんはこの世界とは違う場所に行く事になる。お前は俺と同じ道を突き進むなよ」
「一体何を言ってんだよ!」
一体これは何なんだ?
「だからシュンペイ、俺の事を忘れてくれ・・・」
っ!?何だ?忘れてくれ?じゃあこれは俺が過去に体験した事のある話なのか?くそっ!思い出せない─────。
「・・・ンペイ、シュンペイ!」
「はっ!こ、ここは?」
「全く、憶えてないのですか?ゴブリン狩り中ですよ。」
ああ、意識を失ってたみたいだ。頭が痛い。なんか長い夢を見ていた気がする。
「シュンペイ、お前が眠っている間にミッションはほとんど終わったぞ。あとはたったの13匹だ。」
「そっか・・・」
もうそんなのはどうでもいいか。憶えてないもんは憶えてない。そういうもんだ。でも何でだ?親父の事は鮮明に憶えている。でもあの時の記憶だけはどうしても思い出せない。まさか本当に記憶を消したのか?どうでもいいって言ったじゃねぇか!なんで今頃気にしてんだ!
「大丈夫か?シュンペイ。」
「あ、あぁ、大丈夫だ。」
「顔色が悪いですよ?とりあえずここで休んでてください。」
「なんか、ありがとな。」
もうただただ感謝するしかないな。
「とりあえずそこで待ってろ。すぐに戻ってくる。」
「分かった。」
そう言って俺はクリスとこだまの背中を眺めていた。
「シュンペイは大丈夫でしょうか。」
「どうせあいつの事だ。すぐにケロっとして戻るだろう」
「そうですね」
そんな会話を交わす2人の少女。
「そういえばクリス、さっきの詠唱、やっぱりあんな理由じゃないでしょう?簡易魔法には詠唱は必要ありませんし・・・」
「その質問には答えられないな・・・でもいつか話す事になるだろう。しかしこれを知ったらお前達への傷がでかいかもしれない。だから話す事はしたくない。」
「そうですか・・・影武者ゴブリンさん、見えてますよ」
こだまの発言に動揺を隠せないゴブリン。
「気づかなかった!いつの間にそんな所に!」
クリスが振り向いた瞬間影武者ゴブリンは逃げようとする。
「「逃がさない!」」
2人はそれぞれの武器を構える。
「アールズウォールソーセンショドールノームナイツ!」
こだまが詠唱を唱えてる間にクリスは「クルセリアアーチ!」と叫び光を帯びた矢を放つ。
「業火滅却!!」
こだまの魔法は影武者ゴブリンだけでなく、森林の中にいた4体程のゴブリンまで倒した。
「これで残り8匹ですね。」
「正直な感想を言っていいか?」
「どうぞ。」
「なんかお前が主人公みたいじゃないか?」
クリスが言った発言に対してこだまは
「まぁ、私が1番強いですし、シュンペイとは2年近く前から戦ってましたが負けた事ありませんしね。」
「戦ってた?それは一体・・・」
口を滑らせたこだまは「い、いえ、何でもないです。」と意味ありげに隠す。
「教えてくれよ。」
「嫌です。そんな事より向こうにいる魔神ゴブリンを倒しましょう。」
「さすが上級ミッション、魔神ゴブリンまで現れるのか」
そんな感想を口ずさむクリスの隣でこだまが「あれ?」と言う。
「どうした?」
「ゴブリンの残りの数が1体になってます。」
それを言われてクリスもカードを確認する。
「本当だ・・・もしかして、奴が他のゴブリンを食い尽くしたか?奴ならやりかねない。」
「十分に可能性はあります。即刻倒しましょう。」
2人は魔神ゴブリンの方へ走る。
「おいこだま、分かってると思うがゴブリンを吸収した魔神ゴブリンは本当に強いぞ?」
「はい・・・初発から倒すつもりでいきます。」
2人が魔神ゴブリンの下につくと魔神ゴブリンは斧を振りかぶった。それをかろうじで避ける。
「っぶないな!」
「クリス、少し注意を引いてください。後ろから奇襲します。」
「分かった。当たれ!」
クリスの放った矢はゴブリンの目に当たる。
「うおおおぉぉ!」と唸るゴブリン。と同時に黒いブレスを吐く。
「ぐっ!お前、なかなかやるじゃないか。」
まだ目を痛めている様子のゴブリン。
「ナイス目つぶしです、クリス。エルムレイドアーツワイドソーメルド!」
「やれ!こだま!」
「はい、ライトニングブロー!」
その魔法によって黄色い光がゴブリンを遠くに吹っ飛ばした。その追撃をするかの様にクリスが
「我ガ弓二宿イシ聖霊<ウル>ヨ、今ワタシニ服従スル事ヲ誓エ・・・力を授ケヨ」
「また詠唱をするんですか・・・一体なんの意味が?」
「特に深い意味はない。ポイズンアーチ!」
クリスの放った矢ゴブリンの腹をえぐる。
「バースト!!」
その瞬間ゴブリンの身体が火を吹き倒れ込む。
「やりましたね。それより何でクリスの使うポイズンアーチはポイズンなのに毒じゃないのですか?このミッションの開始時も使ってた技ですし。」
「気になるだろう?じゃあ特別に教えてやろう。あの紫色のやつは毒だ。でもそれが何らかの物体に触れると化学変化を引き起こして四散する。」
「案外クリスって頭いいんですか?」
「案外とはなんだ!・・・そういえばミッション達成通知がこないな。」
こだまはカードを確認する。
「全部倒しています。何か他の達成内容でもあるのでしょうか。」
「それらしきものは見当たらないな。じゃあなんで」
「とりあえず帰りましょう。シュンペイが心配しているかもしれません。」
クリスは「そうだな」と頷きさっき<ゴブリン騎士団>と戦った場所へ戻る。
「おーい!クリス!こだま!こっちだぞ!」
1人で大きく手を振るシュンペイ。
「いましたね。元気そうで何よりです。」
その後通知がこなかった理由はすぐに分かった。シュンペイのカードに連絡が来た様だ。ミッション達成通知は受注者に連絡が行くらしい。それを覚えた上で馬車の方へ向かう。
「・・・って、馬車が壊れてるじゃねぇか!」
「そうだった!鬼神ゴブリンに壊されたんだったー!」
「私達はどうやって帰ればいいのですかー!?」
目の前にある馬車の残骸を見て絶望する俺たち。
「とりあえず修復してみるか?」
「無理だ。材料が足りなすぎる。」
即答される俺。
「そこら辺の木から・・・」
「どうやって加工しろと・・・」
「そうか・・・」
「とにかく連絡を取ります。・・・あ、もしもし・・・」
こだまの案に賭けるしかないのか・・・
「はい、はい、あ、はい!分かりました!じゃあお願いします!・・・2人とも、馬車が手配できました。この場で少し待ちましょう。」
待つ事10分、ついに馬車がきた。はぁ、やっと帰れる。
「帰ってきた!帰ってきたぞー!」
俺たちはいつもの場所に戻ってきていた。
「とりあえずクリア報告をしてくるので先に帰っててください。」
「「分かった。」」
俺とクリスが家に帰っている時
「やつらを捕まえろ!あの集団は殺人ギルドの<DEATHSENTENCE>だ!」
そこには6〜8人程の逃げる男達とそれを追う10人程の警察。
「こらこら、それ以上の深追いはだめだよ!」
突然現れた帽子を深く被った少女が警察達を転ばせる。
「それ!」と声をあげる少女に続いて警察は「な、何でこんな事を・・・やめろぉ!」
「フフ、愉快愉快♡」
そしてその場から去ろうとする少女は俺とのすれ違い様に「あんたがマスターの・・・」と言う。マスター?何の話だ?
4話です!そして、祝!開始1ヶ月!いやー、めでたいめでたい!いやー、ここまで長かったですなぁ!っていってもそんなに思い出はないですけどね!
実は私、週1ペースで投稿しております!これの投稿とほぼ同時に用語解説(4話現在まで)が投稿される事と思います!
さて、本題に入りましょう。今回はかなり意味ありげな話になりましたね!あまり急展開は好きではないのですが、今後を考えると仕方なかったんです!どうかお許しを!
あ、あと宣伝です!10月31日と11月1日の間の0時に「引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている」のハロウィンバージョンが投稿される予定です!しかし!この話は12話当りの後の話となっていますので、そういうのが嫌いな方はお立ち去りください!
ではでは、今後も私の小説をよろしくお願い致します!