引き籠もり少女もゲーム関連の悩みを持つ様です。
悔しい・・・連勝記録が打ち破られた事以上に、敗北をしたことが・・・
連勝記録など、ただのステータスでしかなかった。逆を言えば、連勝記録なんて別にいらなかった。負けたくない・・・というよりは負けるという事自体が自分に似合わないと思っていたのだ。
敗北をしてしまったこと、それだけで心が折られた。しばらくゲーム人生に戻れない気がする。ちなみに今は気晴らしに外出している。
「外ではなにをすればいいんだろう・・・」
高校の2年生から学校に行かなくなり、それ以来ひたすら家に引き籠り、ゲームに打ち込んできたため、外でなにをすればいいのかなんて、忘れてしまった。
「お金は充分あるし、適当になにかを買ってこよう。」
自分の家を見失わない程度に外を捜索する。ゲームショップの穴場以外外出をすることなどほとんどなかったから、大通りになにがあるかなんて、殆ど憶えていない。
「ここに駅、あったっけ?」
駅を見たのは実に8年ぶり程だろか・・・ゲーム以外に趣味があるわけでもないし、ゲームは穴場に基本売ってるし、課金要素はコンビニで足りてる。遠くに行く必要がないのだ。
「まぁ、ゲームのやる気が起きない今、私はやることなんてないんだけどね・・・」
線路下を渡ると、なにやら違法薬物を使っている不良がいる様だ。お金のかかることはしたくないし、そんなことのために外出をしたくないからやる気がはないが、このままでは・・・
「ちょっと、そこのお嬢ちゃん?今暇?」
やっぱりか・・・この位予想できていた。面倒くさい。
「残念ながらとっても忙しいです。用件があるなら15秒以内に」
「これ、使ってみなよ、痩せられるし、可愛くなれるよ。」
「確かに痩せられそうですね。あなた方を見てれば分かりますよ。ゲッソリしてます。違法薬物に手を出してでも痩せたいのですか?クズ・・・」
さすがに癇に障る言葉だっだろう。
「あぁん?お嬢ちゃん、調子に乗ってない?小学生が歳上に歯向かったらどうなるか、教えてやるよ・・・」
やっぱり、こいつはすぐに手が出るタイプだ。でも・・・
ゲシッ!
「なんだ?この小僧!なめやがって・・・」
「薬物の使い過ぎで体が鈍ってるんじゃないですか?雑魚すぎ乙です。」
「てめぇ・・・お前ら!こいつをやっちまえ!」
後ろで座っていた数十人の男共が立ち上がる。
「死ねぇ!」
「私は今、怒っていることがあります。一つは、私に薬物を勧めた事。二つ目は、私の人生から30秒という貴重な時間を奪ったこと。最後に、私を小学生扱いしたことです!」
リトルボールは、薬物依存の男達を一人ずつ蹴り倒して行く。
「これは私が強いのでしょうか?あるいはあなた方が弱いのでしょうか?それともその両方まぁ、どちらにしろあなた達の敗北は変わりません。」
そこで彼女は一つの人生の楽しみを覚えた。現実で人を蹴散らすのが、凄い楽しい!
退屈をしていた彼女にとっては、人を薙ぎ倒す。それがとてもと言っていい程の快感であった。
彼女はその後も不良に遭遇すればボコすという生活を送り続けた。
ある日、後ろから声をかけられた。
「古玉奈々瀬さんですよね?少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
警察だ。さすがに50人近くのヤンキー共を蹴散らせば名は知れ渡るだろう。
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「有名な不良達を成敗してくれたのは我々警察も感謝する。しかし、お前のやった事は重罪だ。たとえ相手がどんな野郎でも、全治1ヶ月の重傷を負わせるのはとても許される事ではない。」
そんなの分かってる。
「正当防衛です。」
「そんな事はどうでもいいんだよ!!50人に重傷を負わせた事による罪は重いぞ〜。」
その時、取調室の扉が開かれた。
「新情報です!」
部屋に入ってきた男は、これまで話していた男に資料を渡す。
男は渡された資料を凝視して沈黙する。
「お前、本当に伝説のリトルボールなのか?確かに言われてみれば<こだま>を英語にするとリトルボールになるな。お前が本当にリトルボールとなると、お前の刑は決まったも同然だな。どうか、あの世界を救って欲しい。」
世界を救う・・・か。
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結果的に、受けた刑は<別次元探検隊>というものだった。
「現実でゲームの世界に入れるなんて、たのしみじゃん!」
しかし、見知らぬ人がたくさんいるところに1人でいるのは不安だ。とりあえず仲間探し。そして、口調も改めよう。プレイヤーネームも敗北を知った以上<リトルボール>は名乗りたくない。結果的に苗字からとって<こだま>になった。
職業選択をし、私は来る日も来る日も仲間捜しを続けた。ソロプレイで攻略していくのもいいが、効率的に遥かにパーティを組んだ方がいいだろう。この世界の目的も未だに分からないし。
この世界に来て2週間が経過した頃、人間離れしていると言っていい程の金髪美女がこの世界にやってきた。なにやら困っている様だが、あんな美人なのに人生棒に振るとは、可哀想に・・・
その美女は、周囲をキョロキョロしている。仲間でも募集しているのか?
次の日もその美女は仲間を探している様子だったが、彼女と仲間になれる気はしなかった。そういえば、あの子弓使いなんだな・・・
その後、数日間仲間が見つかることはなく、この世界に新たな人がやってきた。あの金髪美女はさっそくそいつに声をかけている様だ。そんなんじゃそいつも困るぞ。
しかし、新しくこの世界に来た人物の容姿は、少し前に見たことのある様な顔つきだった。
「えーと、あっ!あの時の!」
ゴットバトラーズを買った時に、穴場にいたあの男だ!
しかし、既に金髪美女に声をかけられているから話しかけ辛い。
「とりあえず追跡して隙を狙おう。」
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その男のプレイヤーネームは<エターナルエンド>だそうだ。街中で話題になっている。ダサすぎると・・・あれ?この名前、どこかで聞いたことのある・・・いや、忘れる訳が無い。私に初めての敗北を味合わせた男だ。
「絶好のチャンスだ。あいつと組めば相当強いパーティが組める。」
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「・・・にしてもお前ら2人は毎日のように喧嘩してるし、夫婦みたいだな」
次の日の朝、私は金髪美女と<エターナルエンド>に声をかけた。タイミングが良かったかどうかは分からないが・・・
私は<過去感知>という偽りのの能力を使って、金髪美女の職業を当てて見せた。そうすることによって私の凄さを魅せられるからだ。まぁ、こいつが弓使いなのを知っていたからできたのだが・・・
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目が覚めた。辺りを見渡すと、・・・地下室?あぁ、クリスの家の・・・
そこでカーナラルが問いかける。
「いかがでしたか?こだまさんの過去は・・・。思いもしませんでしたよね?自分がこだまさんの存在を、<リトルボール>の存在を消したなんて・・・」
本当に知らなかった。俺はただ、2人の過去に衝撃を受けていた。
そこに父親である俊介が歩み寄り・・・
「本当にこの世界に・・・本当にこの仲間たちに満足をしているのか?」
「っ!?」




