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引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている  作者: うすたく
ロリッ子少女が名の知れた天才ゲーマーだった。
28/43

引き篭もり少女と引き篭もり少年の再戦が初まるようですよ

 また戦えるとは思っていなかった。でも、負ける気はしないよ・・・現在の1位君。君に1位の座は似合わない・・・


 体験版以来だった。久しぶりに白熱した戦いができそうだ。


 -------


「アテーナをC-2とE-2に配置。そしてオーディンをD-1に配置する。C-2とE-2に配置したアテーナのスキル<イージスの盾>を発動。これによってB-2〜F-2までの領域を完封。」


 戦略自体は今まで通りやっていたのだが、一つだけできない事がある。それは、エターナルエンドが私の戦法を知っているからだ。


 向こうは次のターンに私がアルテミスでケルベロスを攻撃をすることなど予想できるだろう。それを理解した上でこちらも対応を取らなければならない。


 しかし、結果は予想外だった。


「守ら・・・ない?」


 高い攻撃力と広い攻撃範囲を持つケルベロスがやられるのはだいぶ痛いはずだ。しかし、それを守らない。一体なぜ?


「でも・・・甘い」


 対策くらいは取ってある。


 アルテミスはこのターン攻撃できないが、アテーナのバーストを使えばC-3〜C-4までの攻撃ができる。C-4にはテレスがいるので、撃破は比較的難しい。でも、E-2に配置したアテーナをで攻撃すれば撃破が可能になる。


「死ねっ!」


 テレスは無事撃破した。が、それと同時にアテーナが両方討ち取られた。


「狩人!?」


 気付かなかった。ケルベロスを無視したのは狩人を使うため。狩人のスキルは攻撃を行い、前衛軍が撃破された時、一度だけ防御力、HP関係なく前衛を撃破した敵を撃破することができる。ケルベロスを無視したのは狩人の発動を気づかせないため?じゃあ、ここまでがエターナルエンドのシナリオだと?


 アテーナを失った今、このターンをアルテミスだけで凌ぐ(しのぐ)のは困難であった。ただでさえ攻撃できないのに、アルテミスはHP型だ。防御力が少ない以上、狩人の攻撃を受けるとHPをごっそり持っていかれる。


 しかし、今の状況では、ターンエンドを行うしか選択肢がなかった。


「どうすれば・・・」


 相手のターン。エターナルエンドはフェニックスを召喚した。フェニックスは召喚された直後に敵一体に600のダメージを与えるというもの。しかも、召喚位置がF-1という、限りなく攻撃を行い辛い位置に張るのがイヤらしい。


 フェニックスのスキルによってアルテミスのHPは2530となった。このHPは狩人の攻撃で瀕死に相当する程度。アテーナがいない今、狩人の攻撃を防ぐのはとてもと言っていい程困難であった。


「ヤバい・・・」


 忘れていた。初手のフェニックスはスキル攻撃だ。通常攻撃分もまだ残っている。


 残りLIFEが3200となる。


「・・・・・・こんなに楽しい戦い、いつ以来かな!?」


 久しぶりだった。こんなに窮地(きゅうち)に追い込まれたのは・・・


 彼女は前にやったゲームで世界ランキング1位を獲っていた。ゲームのルール上、上位10000位以内は<称号プレイヤー>と言って、ユーザー名に称号を付ける事が可能だった。そして、上位100位以内は二つ名プレイヤーとなり、称号を2つ付ける事が可能となった。そして、ゲーム内で300連勝を施すと、三つ名プレイヤーとなり、3つ目の称号を付ける事が許可されていた。ほとんどのプレイヤーはできても2つ名が限界であった。


 彼女は五つ名プレイヤーだった。3つまではさっきの通り、4つ目は無課金である事、5つ目は運営側で制作された人工知能に500連勝することだった。人工知能はこちらの行動パターンを毎回のバトルで学習していき、同じデッキでは3連勝も危ういとまで言われていた。それを彼女は人間離れしたゲームテクニックで可能にした。


 そこで彼女が自らに付けた5つの称号は<百戦百勝><歴戦の王><絶対王者><勝利への執着><死神>だった。たった一人の五つ名プレイヤーとして、彼女の名は全世界のゲームに知れ渡った。


 このゲームだけではない。数多くのゲームで、通算150にも昇るオンラインゲームで彼女は1位として君臨していた。しかし、<絶対王者>の名にふさわしき彼女の目の前に立ちはだかっているのは、<敗北>。その2文字だった。生涯負けた事のない、敗北を知らない彼女が、今、最後の時を向かえようとしていた。しかし、彼女はそんな事考えていなかった。


 どんな相手でもねじ伏せてきた自分を倒してくれる、数少ない・・・いや、0に等しいくらいの相手が現れた事が、何より嬉しかった。


「私のターンだ。ヴァンパイアを召喚。リザレクション効果により、破壊されたアテーナをC-3に再び召喚する。そして、アテーナのバーストにより、C-5に配置された狩人を撃破!さらに、ヴァンパイアをH-2からH-4に前進。ターンエンド」


 全ステータスが平均以下のヴァンパイアは接近戦に向かない。そんな中でもヴァンパイアを前進させたのは・・・


「お前がヴァンパイアを召喚する事が分かって・・・えっ!?」


 通常ならヴァンパイアを召喚してテレスを復活させるか、狩人を復活させて無制限撃破をするのが得策のはずだ。でも、このタイミングでHPも防御力も絶望的なサタンを召喚するのは得策とは言えない。攻撃で攻めるならサタンは優秀だが、エターナルエンドのフィールドには防御力の高いモンスターが存在しない。行動の意図が読めない。


 そこで、背筋が凍るような感覚に襲われる。


「この陣形・・・どこかで見た・・・」


 焦りだろうか、行動の意図は相変わらず読めないが、なんとなく分かる。これから何が起こるのか・・・でもそれは、言葉に表せないほど不確かな物モノで、確信が得られている訳ではいなかった。


 とりあえずサタンは召喚後2ターンは安全なので、フェニックスの撃破を最優先・・・


 届かない・・・フェニックスは相手から見てF-1にいる。その位置は自分の配置しているモンスター達では攻撃できない場所であった。


 サタンへの攻撃はヴァンパイアの位置では行うことができず、アテーナは既に狩人の撃破をしているので攻撃できない。


「私のターンか・・・」


 ヴァンパイアの位置を2つ進めて、徐々にサタンへ近付ける。また、サタンからの攻撃は危ないので、アテーナを防御形態にして態勢を整える。


「次のターンにサタンを撃破する。」


 相手のターン、そこで彼女は先ほどの背筋の凍るような嫌な予感の意味を察知する。


「ヴァンパイアの召喚・・・?」


 その通りだった。それが表す意味は・・・


「テレスをリザレクション!?」


 これはとてつもなくまずい状況だった。サタンがテレスによって攻撃できなくなった。サタンの超高火力攻撃が発動するのは次の相手のターンだ。


 そして、相手のヴァンパイアの攻撃で自分のアテーナのHPが削られる。


「やっと私のターンだ。次のカードの引き次第で勝負が決まる・・・」


 キタッ!!ゼウスだ。ゼウスは召喚すれば敵陣に存在するモンスターを破壊できる。その代わりに自分のチームのモンスターも破壊しなければならないが、ヴァンパイアを消せば問題ない。


「ゼウス召喚!!ヴァンパイアを生贄にして、サタンを撃破!!」


 やっと消せた・・・


 しかし、サタンはフィールドに残っていた。いなくなっていたのはテレスだ。


 テレスのスキル、<身代わり>効果による破壊で味方のカードが選択された時、選択対象を強制的に自分に移す。


「嘘・・・でしょ・・・?」


 サタンを倒せなかった。それは・・・


 2ターン経過、<暗黒魔導砲>発動。フィールド内の全モンスターに4000ダメージ。ダメージ-HPで、余りのダメージは全てプレイヤーのLIFEにダメージ。


 ゼウスのHPは3500、アテーナの残りHPは1ターン前のヴァンパイアの攻撃で残り2200。ヴァンパイアはHP2000だから、プレイヤーに来るダメージは合計4300。残りの自分のLIFEは3200。


 相手は・・・残りLIFE4000で、フィールド内にモンスターはHP2300のフェニックスと、HP2000のヴァンパイア。つまりプレイヤーダメージは3700。4000-3700=300。残り相手LIFEは300・・・私の負け!?


 生まれて初めて負けた。私は気付くのが遅すぎた。ゼウスのスキルで生贄にするべきは、アテーナだった。アテーナとテレスを破壊すれば、ヴァンパイアをあと1歩前進させて攻撃するだけだった。そうすればまだ勝負は終わってなかった。これは、私が未熟過ぎたのだ。


 自然と涙が溢れてきた。負けるって、こんなに悔しく、辛いモノなんだな・・・


 今日の勝負によって、私の連勝記録は幕を閉じた。



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