引き篭もりの俺が理不尽なイベントと戦う様です。
注意
本編では語られていない要素が含まれます。
本編との時間感覚にズレが生じています。
ネタバレが含まれている可能性がございます。
それでもよろしい方はお進みください。
3.14・・・
俺は日付をボーッと眺めていた。
なにかあった気がするんだよな・・・現実では縁のなかったなにかが・・・
3.14・・・3.14・・・3.14・・・
そこで俺はふと思い出した。
「円周率だ!」
「いきなりどうしたんですか?数学にでも目覚めたんですか?ヒキニートのくせに」
「一言余計だ!3.14っていう数字を見て、今日がなにか大事な日だった気がしたんだよ。」
するとこだまは興味なさそうに「ふーん」という。
「っていうか、それって日付まった関係なくないですか?」
言われてみればそうだ。円周率はまず日付ですらない。
「まぁ、わたしは答えが分かりましたが、早く気付かないと傷つく人が出てきますよ。クリスとか・・・」
あれ?いまなんか思い出せそうだった。それより・・・
「どうしてクリスが傷付くんだ?」
こだまは深くため息をつく。
「本当に鈍感なんですね。聞いてて呆れますよ。シュンペイは自分は恋愛とは無縁なんだーって、恋愛を拒絶していませんか?」
「そりゃ、経験則から俺はモテないし、誰かから好かれることもないし・・・お前らみたいな多種多様な属性の持ち主集団なら誰か1人と恋愛関係を結べてもいい気がするんだけどな。」
再度こだまはため息をつく。
「本当に気付かないんですね。その恋愛関係を断ち切ったのはシュンペイ、あなたですよ?自ら関係を断ち切っといて、それでもなお恋愛関係を求めるとは、鬼畜にもほどがあります。」
こいつはなにを言いたいんだろうか?誰かと親密になれる関係があったのなら、俺がそれを逃がすはずないと思うのだが・・・
「逃がしてますよ・・・」
「マジでそのテレパシーはなんなの!?」
「まぁ、いいです。答えを言いますよ。3.14今日はホワイトデーです。私を含めて3人からチョコをもらってしまいましたね。返さないなんてことはないですよね?」
ホワイトデー・・・あぁ、バレンタインに貰ったチョコのお返しとして渡す理不尽な行事のことか・・・って、3人に渡さなきゃいけないのか!?
「まぁ、私は世話チョコですし、いらないですが・・・クリスにはしっかり返しといてあげてください、クリスが一番あげるのに勇気を振り絞ってましたし・・・」
「今ので思い出したけど、なんでクリスはあんなに緊張してたんだ?」
こだまは黙り込む・・・
「シュンペイに渡すこと自体がプライドに反したんじゃないんですか?」
「それはそれでショックだな!」
とりあえず、こだまの分は無くなったから2つか・・・テキトウに買ったやつをあげよう。
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「カナさんにはなにをあげればいいと思う?」
俺はホワイトデー専用売り場にてこだまに問いかけた。
「カナは意外とお人好しだったりするんで、基本なにあげても大丈夫だと思いますよ。」
確かにそう思うとカナさんって優しいよな、2人みたいに突然殴ってくることもないし・・・夜這いはするけど・・・
「とりあえずクッキーで良いよな・・・クリスは?」
「クリスは分かりませんね。シュンペイからならなんでも喜ぶんじゃっ・・・」
こだまはまるでブロックされているかの様に言葉を止める。
「なんで喜ぶんだ?」
「・・・まぁ、プライドを捨てて渡した物ですからね・・・それなりの価値あるモノを返しましょう。」
答えになってないぞ・・・
「まぁ、カナさんと同じでいいかな。」
「もう少し考えてあげたらどうですか?」
「こだま、今日はなんかおかしいぞ?どうしてクリスに渡すものについてそんなにツッコム?カナさんのは興味なさそうなのに・・・」
本日何度目かは分からないが再びこだまは黙り込む。
「へ、変化を付けた方が良いって事ですよ。」
本当にこいつ、様子がおかしいぞ?
「まさか、自分で断っといてやっぱりまた欲しくなっちゃったんだろ!」
「そんなわけないじゃないですか、アホですか?シュンペイの頭はエターナルエンドですか?」
本当にこいつの言葉は傷付くな・・・
「まぁいいや、じゃあクリスはマシュマロって事で・・・」
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「ただいまー。」
十数分程の買い物を終えてやっと家に帰ってきた。
やっぱり外出はしたくないな。陽も熱いし、とても俺には向いてねぇ。冬なのに熱いってどういうことだよ。この世界に季節という概念は存在しないのか?
「シュンペイ、帰ってきた直後に言うのものなんですが、今日はホワイトデー限定クエストが出てるみたいですよ。クリアすれば100000Rとホワイトデー限定アイテムの<ホワイトドラゴンの卵>が貰えるみたいです。パーティのお供に使えるみたいなんで、ペットにしましょう!」
「断る!寒いし松村もいるじゃねぇか!いても無駄だろ!」
「残念です。いたら依頼が楽になるのに・・・あと、ツムラです。」
ほんと、こいつって松村を否定するよな。
「まぁいいです。私は行きたい所があるので、お返しは1人で頑張ってください。」
「え、あっ、おう。」
あいつ、やっぱり最近おかしいよな。
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「おーい、クリス、少し来てもらえるか?」
「んっ!?な、なんだ?」
クリスは驚いた様な声で返事をする。
「どうした?」
「いや、こっちがどうしただよ!お前のそんな返事、聞いたことねぇよ!」
「あ、いや、これは突然呼ばれて驚いただけだ。決してホワイトデーのお返しを期待していたわけではないぞ!」
するとカナが突然あらわれて
「実は貰えないかもしれないんじゃないかって心配してましたもんねぇ」
するとクリスは顔を真っ赤に染め上げる。
「っ!?お前、なにを・・・っ!」
「シュンペイさん!クッキー、ありがとうございます。シュンペイさんからのお返し、嬉しかったですよ!」
「ん?なんで過去形なんだ?」
当然の疑問だった。あたかも俺とこだまが買い出しに行っているのを見ていたかの様に答えている。
「だって、あんな堂々と置いてあったら流石に取っちゃいますよ♪」
「まぁいいや、クリス、これはバレンタインのお返しだ。来年もチョコ、よろしくな!」
するとクリスは再び顔を赤らめる。
「だんだん気付いてきてますね。」
「え?なにが?」
「いえいえ、なんでもありませんよぉ」
カナの言ったことの意味はなんとなく予想がついていた。というより、前から薄々気付いていた。
クリスって、俺の事好きだよな?
しかし、それを確定付けるためにはまだ理由が足りなかった。というよりは俺が鈍感すぎるのかもしれない。あれだけ積極的に、クリスらしくない態度で攻めてきていたのに、気付けなかった。俺でも失礼だと思っている。バレンタインの時にあんな事を言ってしまったことも・・・
「クリス・・・あの時は本当にごめん!」
クリスは数秒黙り込み、この謝罪の意味を理解する。
「いや、気にしてないぞ。今から言うことは紛れもない真実だ。フりたければフってくれ・・・」
周囲の雰囲気が一変して、シリアスな感じになった。
「シュンペイ・・・私はお前の事が、シュンペイの事が・・・初めて会った頃から・・・いや、あなたの事が好きでした!私は今の本当の気持ちをあなたに伝えたい・・・近付くと辛かった。あなたを見るだけで心が締め付けられる様に・・・不可能な事かもしれない。この世界では許されない事かもしれない。でも、そんな掟を破る程にあなたの事が好きでした。付き合う事ができなくても、この思いは受け止めて欲しい!」
初めてだった。クリスが俺の事を「あなた」と呼んだのは・・・新鮮だった。、それ以上にクリスが本当の気持ちを打ち明けてくれたことが何よりも嬉しかった。でも・・・
「クリスの気持ちは分かった。でも、答えはバレンタインの時と変わりない。本当に申し訳ないと思っている。本当にごめん!」
「いや、いいんだ。おかげで吹っ切れたよ。もう悩む必要がないんだな。これからもよろしく頼むぞ!シュンペイ!」
「シュンペイ」その呼び方がいつも以上にしっくり来た。
そして、クリスの顔からは涙と共に笑顔が零れていた。
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部屋の外からこだまが今の会話を盗み聞きしていた。
「まさかこんな展開になるとは・・・」
こだまはホワイトドラゴンの卵を抱きかかえながらその光景を1人で見ていた。
この後勝手にホワイトドラゴンを獲ってきた事について怒られたのは言わずともだ・・・
次回は本編のこだま過去編2話です!
以上!




