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引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている  作者: うすたく
暗殺者の彼女が戦争国で暗殺をしている。
21/43

語られる・・・仲間の過去が・・・

今回からは過去編です。始まり方が普段と違うので、そこらへんは注意です。

さて、クリスの過去編、4話に渡ってスタートです!

<北ヨーロッパ>


「距離、推定540m。イージーすぎる!」


 パァン!


 大きな銃声と共に発射された弾は黒人男性を撃ち抜く。


「クリア。これで賞金80万か・・・」


 -------


「また1人殺したのか、タースは・・・」


「今日でスコアいくつだよ。」


 男たちはタースという人物の話をする。


「今年は12人目らしいぞ。あれだけの実力者になると依頼も多い事だろうな。俺たちはあいつに仕事取られてばっかりだ。スナイパー、やめようかな。」


「おいおい、じゃなきゃなにやんだよ。この内戦時代じゃあ近接系なんて危険でやっていけねぇよ。」


「そりゃそうだな。」


 -------


「ありがとう。続けて依頼を頼んで良いか?クリス=タース君。」


「はい。」


 金髪の少女、クリス=タースは依頼を受ける。


「この男を殺して欲しい。この国の大統領だ。こいつを殺せば内戦は終わる。」


「それならやるに越した事はないですね。分かりました、直ちに殺してまいります。」


 大統領の暗殺依頼を任される現在最高戦力の暗殺者、クリス=タース。


(あぁ、どうしてこんな事をしてるんだろうな・・・)


 クリスは思う。どうして自分はこんな人生を送っているのかを・・・


『自分にとってもっとも大切なモノを守りなさい。』


 父の残した言葉だ。最初は意味が全く分からなかった。


 母は早くに失い、父は失踪。その際に残してくれた言葉。残されたクリスはわずかな財産とたった1人の妹、アリス=タースと共に生きていた。


 -------


 私が暗殺者として活動を始める前・・・


「お姉ちゃん!一緒に遊ぼう!」


「はいはい、何して遊ぼっか!」


 どこでも見る様な姉妹の風景。


「おままごと!」


 いつもの様に2人で遊んでいた。


 しかし、残された財産はとても少なく、まともな食生活も送れず、服もボロボロ。学校でも満足の行く給食はもらえず、周りから不愉快に思われていじめられる毎日。


 父の残した言葉の意味を理解できないまま日が過ぎて行く。


「アリス、今この国は内戦中なの。しばらくは遊べないかもしれない、ごめんね、アリス。」


「えー、うん、分かった!」


 それでも分からない、自分にとって最も大切なモノがなんなのか。もしかしたら答えなんてないのかもしれない。


 しかし、そんな考えは一瞬でかき消された。


「や、やめろぉぉ!」


 数十人もの人間が悲鳴を上げながら逃げ回っている。


「打て!」


 砲弾が飛ばされ、逃げ回っていた人達が一掃される。


 そこで私は一つの答え(アンサー)に辿り着く。


 自分にとって守るべきモノは、自分なのかもしれない。ならば自分は自分を護る為に我が身を鍛えなければならない。


「これが答えなのかな・・・」


 しばらく自分で答えを追い求めてみたが、自分を護る方法が浮かばない。


「お姉ちゃん!これ、誕生日プレゼント!」


 そういえば今日は誕生日か・・・


 中身を見てみると、明らかにその辺で拾ってきたであろう萎れた花があった。


 涙がこぼれてくる。一生懸命探してくれたのだろう。トルコキキョウ。花言葉は「感謝」「幸福」。もしアリスがそれを知っていた上でくれたのならそれ以上に嬉しい事はない。でも


「あ、ありがとう!この事は絶対に忘れないよ。」


 プレゼントをくれたその気持ちだけでいっぱいになってしまった。辛い。こんな優しい妹を内戦で失ってしまうかもしれないと考えると心が辛くなる。


 その時わたしは決意した。自分だけじゃなく、家族を守るべきなんだと。しかし、守るほどの実力は備わっていない。


 クリスは己を育て上げるために冒険に出かける。


 内戦に使用されている技術を見よう見まねで試してみても、体格の問題で上手くいかない。


「武術は無理かな・・・」


 暗くなってきた頃、家に帰ろうとしている時に、目の前に大男が現れた。


「上玉だ。こいつを売りゃまとまった金が手に入るぞ!東洋人なら超高価値だったんだがな・・・まぁいい。」


 危機が迫ってきた。まだ護身術なんて備わっていない。死んだ。ごめん、アリス!


 パシュッ!


 大男は倒れ込む。


「なにが・・・起きたの?」


 大男は大量出血している。撃たれたのだろうか?


「お前、こいつが依頼対象じゃなかったら確実に死んでたぞ?俺に感謝するんだな。」


 暗殺者?・・・筋力を必要としない技術を持ち合わせている職業。それを見た瞬間クリスは「私を・・・弟子にしてください。」という。いや、言っていた。


 すると暗殺者は戸惑った顔を見せる。


「実際俺の顔を知ってしまった時点でお前は死ぬべきだったんだぞ?まぁいい、お前の眼は本気だ。弟子にしてやる。明日の朝8時にここに来い。」


「は、はい!」


 -------

<SNIP Center>


「まず、俺はスナイパーとして暗殺者をやっている。それは金を稼ぐためだ。お前の様な護身のためなんかじゃない。そこだけは理解しておけ。そして、これから教える技術はおれが2年を費やして得た技術だ。修練に励んで習得するんだな。」


 その暗殺者は250m先の的へ銃を構える。


 放った弾は見事に的の中心を射抜く。


「狙った所に1ミリもズレずに当てる技術、ピンポイントで当てるのはかなりの技術が必要だ。やってみろ。」


 スナイパーライフルを渡される。


「重い・・・ですね。」


「子供にゃまだ早えぇかな。」


「いえ、きっとできます。」


 引き金を引こうとするが、ビクともしない。


「やっぱり所詮は子供。ましてや女じゃどうしょうもできねぇか。」


 パァン!


 突然放たれた弾は的のど真ん中を射抜く。


「撃てた!撃てたよ!ねぇ、凄いでしょ?」


「奇跡だろ?自分の力で当てねぇと意味なんてねぇんだよ。」


「自分のちからだもん!」


 やや子供らしさ、いや、無邪気さと言うべきだろうか。わずかならがも残っていたわそれは大人と接した事により生まれたものなのかもしれない。


 -------


「おまえ、マジかよ・・・」


 クリスは30本連続でど真ん中に的中させた。


「一日でこんなにできるやつなんて初めて見た。お前、才能あるぞ。それだけ実力がありゃ相当稼げる。妹さんにまともな飯を食わせてやれんぞ。」


 嬉しかった。妹にまともな食事をあげられることが、そしてなにより、大人に褒められた事が・・・


 しかしある日、いつものようにその暗殺者との集合場所に集まると、そこには男の死体が・・・


「嘘・・・でしょ?」


 今、唯一自分を認めてくれる人を失った。


 心が苦しくなる。


 やっぱり守るべきは自分だった。暗殺者(センセイ)の様にはなりたくない。どうせ死ぬなら悔いのない様に死ぬ。


 そう決めたクリスは暗殺者としての道を歩む。それ以来彼女は『死』しか信じられなくなった。殺せば人は死ぬ。それだけを信じて暮らしていった。


 彼女の実力はとんでもないものだった。弾を放てば必ず的中する。彼女はまさに最強のスナイパーだった。


 -------


「もっと精度を上げなきゃ。」


 クリスは先生の扱っていた360m級狙撃銃を使っていた。


 クリスはその銃の限界を引き出す事ができた。そう、360m離れた的に正確に当てられたのだ。


 それを見た大人は彼女に依頼をした。


「この男を殺してほしい。報酬金は3万だ。」


 最初の仕事なら妥当な金額だろう。そう思いクリスは、依頼者に自分の事を公開しない事を条件に、依頼を引き受ける。


 クリスは対象者(ターゲット)の顔写真と居場所をもらい、直ちにその場所へ向かう。


「いないなぁ。」


 2時間ちょっと捜し続けた。ただ、アリスを養える事と死だけを考えて・・・


「あ、いた。」


 クリスは顔写真と同じ顔をした男を発見した。


 クリスはその男を射殺するための狙撃ポイントを探す。


「あれだ。」


 クリスは一際目立った塔を見つける。初の仕事で手馴れていないものの、絶好の狙撃ポイントだ。


 クリスは対象者を見失わぬように慎重に塔を昇る。


「240mくらいかな。動く的は初めてだし、さらに本番か。失敗はできないな。」


 緊張のあまり、指先が固まる。


 スコープを見つめる。その姿はとても子供とは思えなかった。


「スゥーー・・・ハァ・・・」


 呼吸が荒くなる。


 集中しろ!クリス!全部自分の為なんだ!


「くらえっ・・・」


 彼女の持つ銃から弾が放たれた。



17話なのかー。今回からは過去編。クリス編終了後はこだま編。それが終わればもう1章やって休業の予定です。

また、「引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている」の休業中は新たな小説を投稿致します。予定では2週間に1話か、ランダムに投稿のどちらかです。

題名は「夢喰少女」の予定です。

世界観としては、夢の中のモンスターと戦う少女達の話です。本小説とは違い、戦闘メインです。今回は伏線は減らしたいなと思います。疲れますから。

最終回までやるかは分かりませんが、ある程度休めば「引き篭もり」の方へ戻ります。

投稿ペースを格段に下げて同時投稿にしてもよろしいのですが・・・


次に、バレンタイン特別編を執筆中です。また、カナさんの正体が分かってない時の話になっています。あ、休業中でも特別編は投稿しますよ。


それでは、次回とバレンタイン、そして「夢喰少女(仮)」をお楽しみに!

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