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引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている  作者: うすたく
引き篭もりの俺がこの世界の運動会を行っている。
20/43

この長い戦いに終止符を!

 運動会はその後、何事もなく進み、現在の結果は始まりの街が1240ポイントで3位、ラグズルが1584ポイントで2位、フェノールタウンが1722ポイントで1位となっている。


「さーて、つまるところあと2競技となりました!お次は団体戦、<綱引き>です!自由に能力を使って綱を引く。一体どんな試合になるのでしょうか!1回戦目は始まりの街VSフェノールタウン。これらのチームの中で圧倒的に人数の多い始まりの街は、この綱引きでな有利か?この競技では1位のチームは300ポイント、2位には150ポイント、3位は0ポイントとなります。」


 つまりは始まりの街にもう勝利はないって事か・・・


「始めます・・・よーい・・・」


 パァン!


 銃声と共に一斉に縄を引く。


「瞬く間に空を切るは風の如く、牢のように敵を取り囲むは林の如く・・・」


 するとフェノールタウン全体に紅のオーラが宿る。


「数で勝てぬのなら筋力で勝てば良い。」


 100人近く人数差があるはずなのに、圧倒的にフェノールタウン組が押している。


「おおーっと、数の暴力とはなんなのだ!フェノールタウンが圧倒的に押しているぞ!」


 同じ説明は入りません。尺稼ぎですか?今回はいろいろやりたい事があるんですからそういうのはいらないです。


 フェノールタウン組からは「よっしゃ」や「勝てるぞ!」などの声が挙がっている。


 しかし、ここからは予想と反して、始まりの街組が押し始める。


「こ、これは!効果時間が切れたようだ!」


 パンパン!


「なーんと、前半戦がまるで無かったかの様に始まりの街が勝ったぞ!」


 始まりの街からは歓声が上がっている。もう勝利はないものの、これでフェノールタウンに1位は無くなった。問題は総合だが・・・


「さて、お次の試合はラグズルVSフェノールタウンです!優勝の可能性を秘めている2組です。」


 ここでフェノールタウンを落として、始まりの街にも勝てれば俺たちは優勝できる。つまり俺たちには2連勝しかない。いや、まだもう一つ競技があるのか・・・


「さて、試合を始めます!よーい・・・」


 パァン!


「エースドファーズ、ミドラードノイズ、エニファードディーズ!」


 こだまの筋力強化魔法らしい。力が(みなぎ)ってくる。


「ん?軽くならないぞ?」


 筋力魔法を支援されても押してる感覚がない。


「向こうも使っているのでしょう・・・」


 やっぱりか・・・これじゃあらちがあかない。


「仕方ない・・・私に任せろ。」


 クリスが弓を構えながら名乗り出る。あれ?クリスってここまで活躍してなくないか?


「殺傷行為は許されない。ならば一瞬怯ませれば」


 シャッ!


 クリスの矢は人混みの中を越えていく。


 驚いた選手達は一瞬力を抜く。


「今だ!やれぇ!」


 縄を一気に引っ張る。


 あとちょっとで・・・


「燃焼・・・」


 突然縄が発火する。


「ちょっ、待て!なんだこれ!?」


「直ちに消化します!エレメート、ノムローズ、ウォーリング!」


 少量ながら、水が生まれる。


「凍結!」


 誰かの魔法によって、こだまの作り出した水が氷にされる。


 嘘だろ!?


 向こうの陣地は発火していない。つまり、相手の誰かの魔法によってこちらの縄だけを燃やした事になる。


 縄が一気に引っ張られる。


 パンパン!


「只今の試合、勝者はフェノールタウンです!」


 負けた・・・ でも、こんな事ができるんなら始まりの街にも勝つ事ができたはずだ。


 -------


「さぁ、最終試合、始まりの街対ラグズルです!」


 フェノールタウンの様な失態を起こさなければ勝てる!


 選手は縄の横に並ぶ。数の暴力と言うべきか、100人近くの差がある中で戦わなければならない。戦闘においては主人公が無双するところでも、綱引きとなれば話は別だ。強さじゃなく、筋力で勝負が決まる。


「それでは始めます。よーい・・・」


 パァン!


 しかし、ウチの組が魔法を使う事は無かった。


「おい!このままじゃ負けるぞ!誰か、魔法を!」


 どんどん引っ張られて行く。


 いったいなんのつもりだ!早く使ってくれないとマジで・・・


「その必要はありませんよ。」


 こだまが発言する。


「どういう事だ?」


「とにかく見ていてください。」


 そんな、負けるつもりなのか・・・


 結果が変わるはずもなく、引っ張られ続ける。


 パパン!


 負けた・・・


「勝者はラグズル組です!」


 やっぱり負け・・・えっ?


「作戦通りだな。」


 後ろからクリスが口を出す。


「作戦って、どういう事だ?」


「話すと長くなりそうだ。とりあえず家に帰ってからにしよう。」


 そうだな、気になるが今はそんな事を考えている場合じゃない。次の試合の事を考えよう。


「さて、次は最終試合、騎馬戦です!最終的なポイントは閉会式で発表致します!」


 騎馬戦か・・・最終試合は全チームのバトルロイヤルという事か。


 冷たい空気が流れる。なんか妙に緊張するな・・・


「さーて、最終試合騎馬戦は、始まりの街組は200機程、ラグズル組は175機ほど、同じくフェノールタウンも175機程。ルールはお互いのチームの被っている帽子を取り合い、残った騎馬の奪った帽子の合計で点数を競います!帽子を複数持っている騎馬を倒しても手にはいる防止は一つです!制限時間は10分、その間に勝負がついてしまった場合は残ったチームの勝利となります。ラグズルとフェノールタウンはこの不利な状況をくぐり抜け、優勝することができるか?」


 25機も差があるのか・・・強い魔法使いがいる分このくらいはいいかもしれないけど、フェノールタウンのAIはずるくねぇか?


「それでは始めます!位置について、ヨーイ・・・」


 パァン!


 銃声と共に全ての騎馬が走り出す。


 開始20秒にしてフェノールタウンの残機は15程減らされた様だ。


「はぁ、ちょろ過ぎんだろ。安心しろ、今すぐお前らも潰してやるから。」


 15機減らしたらしい金髪の少女が殺気に満ちあるれた声で告げる。


 ていうかそいつ、ラグズルなんだ・・・


「まだまだ試合は終わってねえぞ?」


「あいつを止めなきゃフェノールタウンに勝機はない!」


 ラグズルからしたらあの騎馬がいなくなれば大損害だ。


「そこの凶暴金髪野郎!早く下がりやがれ!お前が死んだらこっちの優勢もなくなるんだよ!」


 ウチのチームの男がその騎馬に苦情を言う。


「あぁん?外野は黙って見ていろ。」


 再度騎馬が走り出す。


「しょうがねぇ、フェノールタウンは任せたぞ!よし、俺らは始まりの街と戦うぞ!」


 ラグズルは始まりの街の方へ全力で駆ける。


 魔法によって足下を奪って帽子を奪ったりなどと、一方的な展開が続いた。


 途端、フェノールタウンの方から雷の如く、騎馬が飛んでくる。


 その騎馬はラグズルと始まりの街から大量の帽子を奪って行く。


「おおーっと!一瞬にしてフェノールタウンが優勢になったぞ!ですがラグズルも負けていません。あの強靭な騎馬が負けない限りラグズルにも勝機はあります!」


 俺のチームのあいつはまだ死んでないようだ。


 圧倒的な力を誇る二つの騎馬の手元を見てみると、ウチのチームよりも数枚だけフェノールタウンの方が上回っているみたいだ。


「お前ら!よそ見してる場合じゃないぞ!」


 俺の騎馬(上に乗っているのはこだま)が帽子を奪った瞬間、こだまの帽子が奪われる。


「はやっ!」


 一瞬にして決着を付けられた。


 まさか、あいつは・・・


 フェノールタウンは玉入れで満点を叩き出した。それがこの点差の理由なのだが、満点を入れる事のできた大きな理由は幼女型AIらしい。能力は特殊で、重力を操る能力。おそらくこのスピードは重力を減らして起こしているモノなのだろう。


 残されたのはフェノールタウンのそいつと、ウチの最高戦力の2組だった。


(グラビティ) (80) (・・・)


 AIが何かをつぶやいた瞬間にウチのチームの騎馬が押しつぶされるかの様に苦しむ。


「マスター、早くアンチマジックを・・・」


「少しだけ待ってくれ・・・体が保たない・・・」


「よし、いっくよ!グラビティ0」


 敵の騎馬か一瞬でウチの騎馬の前に現れる。


 ズガァン!


 フェノールタウンの騎馬が飛ばされている。


「な、なにが・・・」


「お前の能力が裏目に出たのだ。グラビティが現在80の私の攻撃を、グラビティ0で体が軽くなったお前が耐えられると思うか?」


「う、うおおぉぉ!ラグズルの逆転により、騎馬戦はラグズルの勝利となります!えー、このまま閉会式を迎えるので、グラウンドの真ん中に集まってください。」


 勝った・・・勝ったぞぉぉぉ!


 ラグズル組の中から歓声が上がる。が、その時にはもうラグズルのMVPの姿はなかった。


 -------

「えー、という事で、最終結果を発表致します。」


 そうだな、結局は最終結果で賞品が貰えるかが決まるんだもんな。


「1位は・・・」


 あれだけ大差がついてたんじゃあ勝つのは無理だろう。でも、一生懸命戦った事だけでなんか嬉しかった。


「ラグズルです。」


 えっ?


「最終ポイント2034で、優勝はラグズル組です!それでは、第2位の発表です!第2位は・・・2022ポイントで、フェノールタウン組です。そして第3位は1390ポイントで、始まりの街組です!」


 逆転?


 ラグズルにブワッと歓声が上がる。


「勝ったぞおおぉぉぉ!」


「1位のラグズル組には、上級簡易魔法書をプレゼント致します。」


 -------


「いやー、まさか勝てるとは思ってなかったなー。ギリギリ逆転か。うまい具合にポイントが稼げてたんだな。」


「魔法使いの私からしたら、この魔法書は使わないんですよね。あ、ツムラに使ってみましょう!」


 そんな事もできるんだな。


「簡易魔法か、うむ、弓と組み合わせれば凄まじい力を発揮できそうだな!」


 3人はクリスの家の前に到着する。


「あれ?鍵が空いてるな。開けっ放しで来ちゃったかな?」


「カナさんが帰ってるんじゃないか?」


 案の定カナさんが帰っていた。


「おかえりなさい、さて、始めましょうか。」


 なにを・・・


 カナは俺に接近してくる。


 ガツンッ!


 -------


 目を覚ますと俺は、薄暗い部屋に縛られていた。


「ここは・・・?」


「クリスさんの屋敷の地下です。」


 地下があったのか。


 周囲を見渡してみると、そこには同じ格好をさせられたクリスとこだまが・・・


「今まで本当にすいませんでした。もういいですよ。」


 カナの合図と共に騎馬戦で活躍した金髪少女と、男が現れる。


「あ、え?・・・」


「思い出しましたか?」


 そこに男が口を開く。


「俊平、久しぶり。こんな居づらい所はもう嫌だろ?脱獄しよう。」


「え?いや、お前は誰だよ!」


 すると男は急接近して一言。


「まさか、実の父親(●●)を忘れたとは言わないよな?」


 父親?


 カナさんは俺の額に手を当てる。すると俺の中に存在した、消えかけていた記憶が蘇る。


 -------



「シュンペイ・・・お前は才能に恵まれているんだ・・・その才能をしっかり使いなさい。」


 俺の名を呼ぶ男、そこにいたのはつい先ほど見た男の姿だった。


「父ちゃんは何言ってんだよ、いつもテストが赤点の俺が才能に恵まれてる訳ないじゃん。」


 この人本当にはお父さんなのか?俺の記憶にある父と顔が違う。


「全部が全部勉強で決まる訳じゃない。」


「いつも父ちゃんはきれい事ばっかりで・・・もう、なんなんだよ!」


 しかしここはどこ何だ?どこかで見た光景だ。思い出せそうなのに思い出せない・・・


「シュンペイ・・・これから父ちゃんはこの世界とは違う場所(●●●●)に行く事になる。お前は俺と同じ道を突き進むなよ」


「一体何を言ってんだよ!」


 一体これは何なんだ?


「だからシュンペイ、俺の事を忘れてくれ・・・」


 男は一緒に連れていた少女を呼ぶ。少女は俺の額に手を当てる。


 ん?あの少女・・・カナさん・・・なのか?


 赤髪で美人、顔付きも全てカナさんにそっくりだった。


 -------


「分かっただろう?俺は大石俊介。お前の実の父だ。カーナラル、2人を起こせ。」


 カーナラル?どう見てもカナさんじゃ・・・まて、本当にカナさんと同一人物なら名前も似ている気がする。カナという名前が偽名なら、おそらくそれは本名の最初の2文字を取ったのだろう。


 カーナラルはこだまとクリスを叩き起こす。


「んあ・・・」


 すると後ろにいた金髪少女がクリスに向かって


「やっと会えたね、お姉ちゃん。」


 という。


「アリス・・・どうしてここに?」


「お姉ちゃんを追いかけてきたんだよ?マスターのおかげでここまでこられた。だから俊平さん、あなたには感謝してる。」


 ということは親父がマスターという事・・・


「DEATH SENTENCEを憶えているか?俺たち3人がそのギルドのトップだ。特に、カーナラルは前に会っているだろう?いや、ここではカナと呼ばれているんだったな。」


 どこかで、会った?


 あ、あの時だ。


 -------


「お前が・・・マスターの・・・」


 -------


 思い返せば声も似ているし、特徴も合致している。なんで気付けなかったんだ?


「おい、カナさん。今まで俺たちの事、騙してたのかよ」


 するとカーナラルはにこやかに


「はい、これまでは全て、偽りの関係でした。」


 と言ってくる。


「全てマスターの意図だった。そういえば納得してもらえるかな?」


 アリスが前に出てくる。


「楽しい毎日でしたよ。捨てるのが勿体無い位に・・・でも私は、シュンさんに恩があるんです。」


 シュンさん。その名前はこれまで何度となく聞いてきた。全てこのためのヒントだったなんて・・・


「俊平、お前にはこの変な労働から抜け出して、現実世界で更生してもらう。そのためには今いる2人の仲間を捨てる必要がある。」


 こいつ、一体なに・・・あれ?ここに来る前にお母さんがくれた手紙・・・なんだっけ。


 -------


 近々お父さんがそちらに入ります。


 -------


 その時俺は悟った。ここまでの全てがこの男の思い通りになっている事に。


「何か思い出しましたか?では、私がお二人の記憶を直接シュンペイさんに送り込みます。」


 するとクリスが「やめろぉ!その記憶を掘り返すな!アリス!止めてくれ!」と全力で止める。


「今頃なにを言ってるの?私1人を取り残して消えていったくせに・・・私はマスターについていくと決めたの。あと、その拘束はカーナラルの魔法で出来てるから、アンチマジックを使わないと壊せないよ。」


「さて、じゃあまずはクリスさんの記憶から・・・」


 カーナラルは俺とクリスに触れて詠唱を唱える。


 -------

16話でした。はい、今回は伏線回収回でした。

今回の話でいかに私が前から伏線を貼っていたか分かるかと思います。

1話から始めて話の最後などに含まれる小話なども含めれば全ての話に伏線が入っております!気になった方は見直してみてください!


気が向き次第今までに貼った伏線を振り返りたいと思います。


次回からは過去編です。まずはクリス!クリスの過去もこれまでの話の中で含まれています!クリスがどこの国の人なのか、クリスはなぜ捕まってしまったのか、クリスの妹・アリスとは何者なのか!全部これまでの話に含まれているのです!


小説の話はこの辺にして、先日ですね、秋葉原の方に出かけたのですが、そこでラ○ライブとぷ○ぷ○のコラボをやっていました。クレーンゲームでクッションを獲ったのですが、3000円ほど使ってしまいました。私が下手だったがために、800円ほど余分に払ってしまいました。取り方をもっと早く気付いていれば800円くらい払わずに済んだのに・・・その上ですよ、私、獲った瞬間に舞い上がって、クレーンゲームにお金を入れっぱなしでゲーセンを出てしまったんです!とんだ災難でしたよ。ま、全部私のせいなのですがね。


ではでは、次回は過去編。来週の水曜日の深夜0時、正確には木曜日の午前0時に投稿します!安定の1週間です!それでは、次回をお楽しみに!

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