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引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている  作者: うすたく
引き篭もりの俺にあの労働が再臨する様です。
15/43

ヒキニート冒険者の長い戦いがついに終わったぞぉ!

 これが・・・メビウスか・・・


 目の前に存在する巨大な魚。ゴブリンの時とは全く異なった感覚、今回ばかりは簡単にはいけなそうだな。


「海竜・メビウス。その巨体とは裏腹に、とんでもない速度で移動し、プレイヤーに致命的なダメージを与える。攻撃力も鬼神ゴブリンを大きく上回ると思います。」


 懐かしい名前が出てきたな。あの、あれだろ?俺たちの馬車を壊したやつ。


「あれはあれでトラウマだな。まぁ、今思えば対した事ない敵なのだがな。」


 クリスが少し調子に乗り気味に言う。


 そんな雑談をしてる余裕もなく、メビウスがこちらに向かってくる。


 スピャアッ!


 無音、そして速い。


「ぐっ、狙いが・・・定められ無い。」


 弓を構えたクリスが困り顔で言う。


「クリスさんは後ろに下がっていっ!」


 カナが吹き飛ばされる。


 今、何がっ!?


 そのカナを追尾するようにメビウスが猛スピードで駆け抜ける。


 ビャン!


 大きく飛び跳ねた。向かう先にいるのは飛ばされたカナ。


「グガァァ!」


 メビウスの尾がカナの腹部に直撃する。


「ぐっはぁ!」


 カナは血を吐く。


 ぶしゃあ!


 水しぶき。メビウスは飛び跳ねた水を飲み込む。水を得たメビウスの動きは先程よりも速くなる。


「ぐげぇぇ!」


「クリス!近くにある岩陰に隠れて隙を狙ってください!このパーティには遠距離攻撃ができる人はクリスしかいません!」


 こだまの的確な指示にクリスは従う。


 が、作戦を実行する余裕も与えてくれず、メビウスは全力疾走で接近し続ける。


 チュドオォォ!


 メビウスは胴部分でタックルしてくる。


 範囲も大きく、速い。反応出来るはずもなく俺とこだまは飛ばされる。


 俺とこだまはジブラル海にぶち込まれる。


「ぐぅっ!」


「ぼわふぅっ!」


 まずい、急過ぎて息が・・・


 普段運動しない俺じゃ水中では何もできない。頼みの綱のこだまは・・・


「ごぼぼっ!」


 ダメだ!あいつの体格じゃ泳げても無理だろう。しかもあの様子じゃ。どうすれば・・・


 俺は目を瞑って奪還方法を考える。


 いや、考える余裕なんてない、これじゃ沈んでは水圧で殺される。


 俺は体を動かす。自分の今持てる力を全て振り絞ってこだまを追う。


 届け・・・あと、少し。


 こだまは目の前にいる、なのに届かない。手が短くなったのか?違う、お風呂で経験がある。湯船とかで指が小さく見えるあの現象だ。


 まずい!息が!


「アンチウォーター!」


 突然周囲の水が吹き飛ぶ。


「ぶっはぁ!」


 九死に一生を得た。カナだ。瀕死になってはいるものの、魔法で水を消した様だ。


 助かった・・・


 でも、こだまの意識は完全に飛んでいる。


「こだま・・・」


 怒り、俺はイクセントをぐっと握る。


「許さないぞ。」


 俺は水を掻いて陸に上がる。


「覚悟はできてるな?」


「待て!その位置は!」


 上から巨大な水玉が降って来る。


「ごぼぉっ!」


 水中の時よりも重い。水圧とは違う何かが起きてる。まずい・・・


「くらえっ!グラディウスショット!」


 光を帯びた矢がメビウスを貫く。同時に俺に降ってきた水玉も消失する。


「グエェェ!」


 クリスだ。少し高い位置から矢を構えてメビウスを睨みつけていた。


「これが、こだまの分!」


 再度矢を放つ。何も纏っていない無属性であるが、かなり威力がある。


 が、その矢は身体に弾かれる。


「なっ!」


 それによって位置を特定したのか、メビウスはクリスの方を向く。


「グググ・・・」


 ビジュオオォォォ!


 口から水色のレーザーが飛び出す。


「ふんっ!」


 クリスは岩から足を離す。いや、そこには足場がないっ!


 クリスは落下する。


「まてっ!」


 俺はこだまを差し置いて全力でクリスの落下地点にダッシュする。


 間に合え・・・間に合え・・・間に合えぇ!


 ヘッドスライディングでクリスを抱きかかえる。


「はぁ、はぁ、間に合った・・・」


 するとクリスは顔を真っ赤にして「離せっ!」と言い放つ。


 なんでだよ、助けたのに。


「ありがとな、こんなところで言うのもあれだが、シュンペイ、これが終わったら、私と一緒に・・・ (デートをして)くれないか?」


「え?今、なんて言った?」


「い、いや!なんでもない!忘れてくれ!今はあいつを倒す事に集中するのだ!」


 顔を真っ赤に染めたクリスが大声で言う。


(どうして私はいっつもいっつもこうなのだ。いい加減自分の気持ちを伝えられるようにならないと・・・)


 最近あいつ、やっぱりおかしいよな。


 -------


「覚悟してくださいね、あなたの余命はあと30秒ですよ!」


 カナはメビウスから距離を空けて詠唱を唱える。


「全テヲ知リ、全テヲ従エル全知全能ノ神、此ノ地ニ現レシ海竜ヲ消シ尽クセ。」


 カナの周囲に緑色のオーラが浮かぶ。


「天地神明!」


 その魔法は、カナを中心に地割れを作り出す。


 メキッ!メキメキィッ!


「グ、グガァ!?」


 今頃気付いた様にメビウスはこちらを振り向く。


 その時、メビウスは大きく跳び上がり、海へ一直線に飛んでいく。


「逃がしませんよぉ!」


 分割された地面の内の一つが浮かび、メビウスの方へ追尾するように飛んでいく。


 ガチィッ!


 激突したメビウスは空中から転落する。


「さて、トドメはお願いしますよぉ!」


「はい。」


 気絶から復帰したこだまは杖を構える。


「アルーブウィード、イルムードフォード、エギレオンセプテッド!」


 今までのどの魔法よりもオーラが強い。


「こだまさん!その技は身体に大きな影響を・・・」


「くらえっ!」


 影響!?つまりは反動があるって事か!?


「天衣!」


 魔法の名を唱える。すると、視界が真っ白になり、赤と黒の光が点滅する。


 チュドォォォォン!!!


 以前見たカナの<森羅万象>よりも爆風が強い。


「グゲエエエェェ!」


 モンスターの悲痛の叫び。あんなのを正面から喰らえばそうなるのも当たり前だ。


 ドバババババ!!!


 メビウスを中心に小さな玉が破裂する。


「グガァ!」


「これで最後です。」


 こだまに再びオーラが纏う。


「終焉」


 再度視界が悪くなる。するとメビウスのいた位置が大爆発を起こす。


 ズドオオォォォ (オオオォォォ)!!!


「ん、んん・・・」


 視界も良くなり、爆風も消える。目の前の光景は身体の3割程度が吹き飛んだメビウスとその場に座り込むこだま。


「こだまさん、無理はいけませんよ。とりあえず休んでてください、まさか生き残るとは思わなかったでしょう?」


「はい、この技を耐えるモンスターなんて、ケルベロスとオロチ以外聞いた事ありませんよ。」


 ケルベロスとオロチか・・・いかにも強そうだな、いつか戦う日が来るだろう。


「グウゥ、グガァァァァァ!」


 咆哮、しかもうるさい、鼓膜が破れそうだ。


「今がチャンスです!クリス、刺してください!」


「あ、あぁ!ブレイズアーチ!!」


 赤く染まった矢がメビウスに刺さる。いや、待てよ、あれだけの速度で動き回ってた奴に弓があっさり?あの状態なら避けられたはず・・・なんで?


 ふと疑問に思った事だが、正解は案外あっさり見つかった。


 それは、あいつのあげた水しぶきを飲み込んだとき、あいつの速度が急激に上昇した事。つまり、飲ませなければ劣化する。


「今なら!」


 イクセントを構えた俺は全力疾走でメビウスの元へ向かう。


「俺の初活躍!くらえーーっ!」


 俺は高く跳び上がり、自らを回転させながらメビウスに接触する。


 ジャキ!ジャキジャキ!


 メビウスが血を吹く。


滅龍陣(デストリー)!!!」


 メビウスの身体中に黒い稲妻が走る。


「くらえぇ!」


 イクセントを全力で振りかぶる。


 ズシャァ!


「グキャアァァ!」


 2年前、俺のやっていた戦闘ゲームで俺は13連撃を編み出した。真似すればいけるかも!


 力いっぱい剣を振りかぶる。


 ザクッ!ザクッ!ザザザザザザッ!


「これで、終わりだぁ!」


 イクセントに緑色のオーラが宿る。


 ズザァ!


「グガアァァ!」


「避けろ!シュンペイ!」


「よくやってくれました!」


 クリスとこだまが技の準備をしている。


「「これで、トドメだぁ!!!」」


「グラディウスアロー!」


 クリスの矢が飛ぶ。それと同時にこだまは


「シャドウボックス!」


 聞いた事のない魔法を放つ。


 メビウスの周辺一帯が曇る。闇が濃くなり、ついにはメビウスが見えなくる。


「圧縮!」


 闇の箱は徐々に小さくなって行く。俺の身長程になった時


 シュパァーン!


 箱と共にメビウスが破裂する。


「・・・終わった・・・のか?」


 やめろ、それはフラグだ!


 しかし、数十秒待ってもメビウスが現れる気配はない。


「勝った・・・」


「はぁ!」


 こだまがその場に座り込む。


「座ってる暇はありません、帰りますよ!」


 カナの指示に従い、馬車の方へ向かう。


 あぁ、長い戦いだったな。


 カナが報酬を受け取り、資金は山分けする。するとクリスが


「ま、家など買わなくてもいいぞ、私の家で暮らせばいい。」


「え?・・・」


 怒りが込み上げてくる。


「じゃあ今日のはなんだったんだー!!!」







あぁ、やっと12話か、長いな。

書いてる時はたのしいんですけど、一回やめるとめんどくさくなるんですよねw


そ・れ・よ・り!新年篇なのですが、投稿日を変更致します!


できれば変えたくないのですが、進行度からして明日は厳しいのです!


という事で、1月1日の0時〜1月5日の0時までに投稿します!よろしくです!


あ、ちなみに13話から章が切り替わります!

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