引き篭もりの俺にあの地獄をもう一度!
「んで、いつまで休んでんだ?もう5分位経つぞ?」
カナとこだまが木にもたれかかりながら俺を見つめる。
「あと10分くらいはほしいですね。少しの間、クリスさんとお散歩に行ってたらどうですか?」
「なっ!わ、私はこんなクズと散歩に行くつもりは毛頭ない!」
そこまで言わなくてもいいですよね?
するとカナはクリスに接近して耳に口を近づける。
「 ・・・」
カナは俺に聞こえない位の声量でクリスに何かを伝えると顔を真っ赤に染める。
「貴様っ、それを理解した上で?」
「はい。」
なんの話かは知らないが、隠し事はやめていただきたい。
「クリスさん、シュンペイさんが隠し事はやめろと・・・」
なんで分かったんだよ!絶対超能力者だろ!
「こ、これはとても言える事じゃぁ・・・」
気になる。すごい気になる。こだまは知ってるのだろうか?
木にもたれかかるこだまを見てみる。
「クカァー、クカァー」
寝てる。ほんとに子どもみたいだな。
そんな事を考えた瞬間、杖が振りかぶられる。
起きてますよね?起きてなきゃこんな事できるわけないですよね?
「クカァー、クカァー」
寝てますね。このパーティはなんなんだ?
「と、とにかく!休んでる暇はない!こだま、起きろ!」
クリスはこだまに往復ビンタを喰らわせる。
「はっ!・・・痛いです。何するんですか。」
目を覚ました時に不機嫌になるとことかマジで子供だわ。
「ほんとに他界たかーいしますよ。」
「こえぇよ!ていうかなんでお前らは心が読めるんだよ!」
「勘ですかねー。」
なにいっても「勘」で返されてる気がするんだが。
「尺の取り過ぎだ!いい加減メビウスと戦わないと次回までに終わらないぞ!」
「前にそういうのはやめろって言っただろぉ!」
まぁその通りなのでジブラル海の方へ向かい始める。
歩く事10分、海が見えてきた。というかもうすぐそこだった。
「姿が見えたら直ちに奇襲だ。いいな。」
「「「おう。」」」
俺たちはそれぞれの担当の武器を構え・・・
ないっ!?
自分の手元を見てみると、確かに武器がない。
「落としたのでしょうか?」
「いや、それでは4人とも落とすというのは考え辛い。でもそれ以外は浮かばないな」
そういやさっき体が軽くなったんだよな、カナさんになんかやられた時。
俺は自分の記憶を張り巡らせる。
あぁ、なるほどね。
「とりあえず来た道を戻りましょう!」
「それは意味ないと思いますよー。」
カナさんも理解してるのかな?
「これは私たちの失敗ですねー。シュンペイさんは気付いてるみたいですよぉー。」
カナさんの何か企んでそうな目に2人は「ん?」と声を漏らす。
「じゃあ説明しましょう。なぜ私たちは武器を手にする事ができたのでしょうか?」
突然のクイズに2人は驚く。
「えぇと、水晶ですよね。」
「ご名答!では2問目、水晶玉の使用条件は?」
2人は少し考える。こだまが先に口を開いた。
「欲しいアイテムを思い浮かべるでしたよね。」
「はい、じゃあ、それを使用する上でのデメリットは?」
3問目のクイズ。これで2人も理解できるはず。
「・・・はっ!」
しちゃうのね、そこはしない方がネタになるんだけど。
「クリスは分かったんですね。教えてください。」
クリスは首を横に振る。
「ナイショだ。」
「なんでですか?」
「面白いから。」
いやいや、俺の心を読む能力があるならこいつの考えてる事くらいわかるだろ!
「そんな事はどうでもいいだろ。速く中の奴をどうするか考えろ。」
「そんな事って・・・」
確かに現在の状況は劣悪だ。遠距離武器もないし魔法や弓、剣は水中じゃ無意味。先制が仕掛けられない。どうすれば・・・
「先制攻撃を諦めてはどうでしょうか?」
「なるほど。先制に囚われる必要はないもんな。」
カナの意見に賛成する。が、そこにこだまが一歩前に出る。
「もしこの戦いがその一撃で決まるとしたら、この一撃がどれだけ重要か。エターナルエンドなら分かりますよね?」
なんだよ、これ。この感覚、かなり前に覚えが・・・
「あれからどれだけ時間が経ったでしょうか。シュンペイ、あなたはどう思いますか?突然消えた<リトルボール>の存在を」
リトルボール。存在するほとんどのオンラインゲームのランキングで1位に君臨していたものの名前だ。
「私もあのゲームの経験者です。ずっと見ていましたよ。憧れでした。どんな時にも前向きで、わずかな可能性も信じていた、あの方の事が。いつからでしょうか。あの人がいつしかこんなに近い存在になっていたなんて。やらなきゃ勝てない。そんなゲームがそこにあるのなら、エターナルエンド、あなたはどうしますか?」
どこかで聞いた事がある。かなり前に。でもなんでこだまがそんな事を知っているんだ?でも・・・
「分かった。その言葉、かなり昔に聞いた覚えのある言葉だ。なんだろう、やらなきゃいけない気がする。」
「それでこそエターナルエンドです。」
俺は双極刃・イクセントを、こだまは聖杖・アクイヌーンを構える。
「行きますよ。」
「おう。」
懐かしい、でも憶えていない。いつしか消えてなくなった何かを。失ってから気付くのだろうか、その何かの重要さに・・・
「ローレングイム、ウィードエステンズ、ニバロイド・・・」
こだまの周囲が黄色く、淡く光出す。
「俺もだ。」
イクセントを自分の胸の前に構えて意識を一点に集中させる。するとイクセントが紅く輝く。
「エーゼルズメイデン!」
それは烈火の如く、こだまの周囲の光が光の矢となり、地を這って海へ飛び込む。
「極刃!」
俺は縦に剣を振りかぶった。ドス黒い斬撃は海を切り裂き、水面を剥き出しにする。
チュドオオオォォォォォン!
かつてない程の轟音と破壊。一瞬視界は眩んだが、光を取り戻した時には目の前の光景は大きく変化していた。
赤く燃え上がり、朱色へと変色。
過る沈黙。瞬間、水中から物音が鳴った。
ビショゴアァァ!
水色のレーザービームが俺とこだまの間を通る。
ズドォォン!
背後の岩が砕かれる。
「ちょっと、なんだよ、これ!」
ゴブリンの時とは全く異なった絶望。あんなのを一発でも喰らえば元も子もないのは必然的。
こんなのにどうやって勝てば・・・
「何を諦めているんですか?エターナルエンドはどんなに絶望的な状況でも諦めなかったはずですよね?」
だからなんでこいつはその事を・・・?
「ぐ、グガアァ!」
人型に近い魚、メビウスが水面から姿を現す。
でかい、諦めるとかのレベルじゃない、勝てないかも・・・しれない。
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こだまとシュンペイの連携攻撃が行われたその頃、<神域>では・・・
「今の破壊力、いつ以来かな。下界でこれ程までの実力者がいるとは。いつかは戦う事になるのだろうか。」
男は手を開いて目の前の岩に手をやる。
「ブレイカーブリッツ!」
キユウィィィン!
言葉を放った瞬間に岩が消えてなくなる。
「まぁ、我程の破壊を行えるものなどおらんのだが・・・」
男は空を見上げる。
「時は満ちたか、争いを司る神よ、この破壊を司る神が貴様を殺してやる。豪剣は俺のモノだ。」
男はそっと足を働かせる。
「待っておれ。」
11話なのですが、私は今、とっても不機嫌です。
なぜなら、ラ○ライブのスマホアプリで、今までフルコン出来なかった曲があと8コンボ位でってタイミングでメールの通知が来て、フルコン失敗したからです。
苦手な曲だったが故にダメージも大きく、何度やり直しても上手く行かず、とっても腹が立っています。
その事を張本人に愚痴ったら「ドンマイw」なんて言って来て、さらに腹が立ちました。
マジでムカついてます。
ただ、あとがきで嫌な気持ちで終わらせるのは、私のモットーに反しますので、一応予告です。
12月25日の深夜0時にこの小説のクリスマスverを投稿致します。
ここまでご愛読頂いた皆様!ありがとうございます。この小説はまだまだ続きますが、今後ともよろしくお願いします!