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キミとアナタは心星ーアンタレスー  作者: 高原 律月
2 - 秋の実りは過ぎてゆく
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#7. ホットショコラにシナモンとほんの少しのブランデーを

「姫さま姫さまっ! 王女様ぁー!!」


 いかにも間抜けな声が部屋一杯に響き渡る。


「起きて下さい、起きて下さいー!」

「あー、うるさいっ。起きてるから静かにしてくれ」


 私はぐわぐわと揺れる世界に引き戻されると、寝惚けまなこで侍女を睨んだ。


「姫さま姫さま。ちゃんと目を覚まして、目の焦点合ってませんよお」

「いちいち、二回呼ぶな! 煩わしい…」

「どっちでも良いじゃないですか、そんなコト」

「で、朝も早くから何の用なの?」


 私はベッドから起き上がると、化粧台の前に座って鏡越しに彼女と会話する。


「一大事ですよっ! ホントにどうしたらいいか…」

「一大事って?」

「そのですね、王子様…」

「彼に何かあったの!?」

 私の髪が櫛に引っかかり、頭が勢い良く後ろに引かれる。

「私、お腹空き過ぎちゃって王子様に配膳されるハズの朝餉を食べちゃいましたあ。…どうしましょ?」

「… 。」

「何ですか、その冷ややかな目は?」

「とりあえず、クビになれば良いんじゃない? にこっ」

「私はっ、マジメに相談してるんですよ!?」

「うん、そうだね…」


 私が肩を落として天井を仰いでいると、侍女は不満そうに頬を膨らませる。


「あー、人の話を聞いてないなあ! そういう対応するならコッチにも考えがありますからねっ!」


 そういって侍女が懐から一通の手紙を取り出す。


「そ、それは…!」

「ひーらひらぁ。あー、風に吹かれて窓の外に出ちゃうかもぉー」

「ぐっ、コイツ…」

「あ、良いんですかあ? 私ってば、か弱くて繊細だからこの手紙が指から離れちゃうかもしれないなあー?」

「私にどうしろって言うんだ…ごくり」


 この極悪女、弱味を握ると際限無く漬け込むからタチが悪い。


「んー、そうですね…」


 彼女は手紙を懐に引っ込めると、顔をしかめて考え込む。


「ちらっ…」

「びくぅ!?」

「ニタァ…」

「ひぃっ!」


 あまりにも下衆な笑顔に、悲鳴を一つ。


「決めましたよ! この手紙が欲しかったら…」


「欲しかったら?」


「『お姉ちゃん、元気出してっ! それくらいの心配、私が何とかしてあげるから!』と、上目遣いでかつ、辿々しく儚げにお願いしますっ!!」


「うぇぇ…」


「それから…」


「まだあるのぉ!?」


「『だから、お姉ちゃん? 頑張ったらぁ、ご褒美にぃ…その手紙欲しいなあー?』と、小悪魔的に煽情的に、そして大胆におねだり希望っ!」

「はあ? 良いかげんに…」

「アアっ!? テガミガ、カッテニ、フトコロカラァ…ちらり」

「ぐっ!」

「ちら、ちらちらっ?」

「わかったわ…」


 背に腹は代えられず、唾を飲み込むと…。


「あ、語尾にはハートマークが必須です。最低、2個はお願いします」

「ぐぬぬ…わかったわ」

「それではどうぞー!」


 こうなればヤケクソだ。私は大きく息を吸い込むと、ベタベタに甘える妹を背後に背負う。


「お、お姉ちゃん…元気、出して? それくらいの心配、私が…何とかしてあげるから。だからぁ…お姉ちゃん?

 が、頑張ったらぁご褒美にぃ…その、お手紙が欲しいなあー。お・ね・が・い? おねぇちゃあん〜」


「ー グフッ!」


「ウェっ!?」


「プルプル…」


「ナニ、コレ。キモチワルイ、吐血しながらプルプルしてるぅ…」


「ー ブシィっ!」


「ちょっと! ヒトの部屋に鼻血まかないでよっ!?」

「 …良い、凄くイイ! 最高よ、お姉ちゃんなんでもしてあげちゃうぅー!!!」

「ち、近寄らないでよ…ヘンタイぃ!!」

「やあぁあん! ツンツンした態度も最高よぉー!!」

「イヤアアァァ!! コナイデ、チカヨラナイデエェー!」

「ハアハア…抱きしめたいな、妹よ!!」

「ワタシ、アナタ、イモウト、チガウ。ダカラ、コナイデ」

「良いのよ、甘えて良いのよぉっ!…わきわき」

「来るなぁ! ケダモノおっ!!」


 ーごすっ!


 私の足が彼女の顔に突き刺さると、異な音を立てて彼女が倒れこんだ。


「…ぶぴっ」

「はあ…はあ…やっと大人しくなった、のかしら?」


 私は二、三歩後ずさりしながら、動かなくなった侍女を注視する。


「カサ、カサカサ…ピクンピクン!」


 すると、彼女がとても人間とは思えない動作で這いずり廻る。


「ひやあっ!? まだ、生きてる…」

「ラッキーショット、頂きましたっ!」

「…?」

「今日の下着も大胆ですね、王女様」


 彼女の言葉に、私は思わずスカートの裾を抑える。出た。


「な〝っ!?」

「誰にも会わないのにそんな大胆な下着を着てるのも妙ですねぇ〜。もしかして…」

「違うわよっ! こういう下着しか用意されてないんだから仕方ないじゃない!!」

「おんや、かんわいい。何が違うのですかねぇ?」

「だから、私が好きで着てる訳じゃないの!」

「おやおや、おや? 顔まで真っ赤にして、何を必死に否定してるんですか?」

「違うったら、違うの! 私は毎朝、貴女の持ってくる服を着てるを着てるだけなんだから!!」

「ええ、私の独断と偏見で選ばさせてもらってます」

「くっ…コイツ!」

「でも、ムキになって怒るってコトは何か隠してるんですよねえ? 例えば、夜這いでもしてるとか?」

「いい加減にしなさいっ! このっ…ヘンタイ!」

「サッ…ふっふっふっ、その程度の攻撃など何時でも避けれるんですよ。さあ、吐きなさい。誰と何時、何をしていたのか…どのへんまでいったのか、お姉ちゃんに白状しなさいっ!」

「お願い、やめて! ソレ以上はこないでっ」


 私はその場にあった椅子を振り回して、彼女が来るのを全力で拒む。

 あまりの気色の悪さに本気で窓からでも逃げ出したいくらいだ。


(にじりよじり!)


「うけけ…」


 彼女は私の振り回す椅子なんて意にも介さず、詰め寄ってくる。

 至近距離まで詰め寄られて、私は降参するしかなかった。


「わかったわ。話すから顔を離して!」

「まあ、知ってるんで別にどっちでも良いですけど」

「性格悪っ!」

「あんまり追い詰めると嫌われるので、止めておきます」

「うわ、思いっきり蹴飛ばしたいっ」

「貴女ような可愛い子に蹴飛ばされるなら、喜んで」

「か、可愛くなんて…ないし」

「照れちゃって、もう。あぁん、二年前の少年姿も良かったけど、今の王女様も良いわっ!! こんなに大人っぽくなっちゃって、お姉さん襲いたくなっちゃう」

「げぇ、眼が本気…」

「腰とか指とか首すじとか、ガラス細工みたいで抱き締めたら折れちゃいそう。抱いても良い?」

「良いわけないでしょ! ド変態っっ!!」

「見た目は大人なのに、中味が子供なトコロが堪らないわあ。ほらほら、その貧相なボキャブラリーでもっとなじってご覧なさい」

「…いや。割とマジで気色悪いんで勘弁して下さい、お願いします」


「グサっ!」


「やり過ぎて、本当に気持ち悪いです。ソレが素ならもう二度と会話はしません」

「うぐぅ! ごめんなさい、つい調子に乗り過ぎました」

「ふんっ! もう少し自重して生きなさい!」

「はい…」


 朝も早くからよくもまあ、こんなに元気だな。

 感心してると不意に陽が雲に隠れて、部屋中がヒンヤリと冷たくなる。


「…冗談はお終いにします」




ハジメマシテなコンニチハ♪


どうも高原 律月です!



書くだけ書いて放置された(してしまったが正しいです)

第7話の投稿になります。


毎度のコトでもあるんですが

空き時間とかにちょくちょくやってると

この後書きまで書くのが怠くて

つい、放置しちゃうんですよねー(しろめ)

出来てから2週間以上のラグが発生してしまうのは仕方のないコトなのかもしれませんね…


そんな訳でやっとこさ、投稿になります!



長らく間を空けてしまい申し訳ないのですが

これからも気長に待ってもらえると幸いです♪


そして、ウルトラすぺしゃるにどーでもいい話なんですが、

わたくし、車を買っちゃいました(笑)

ホンダのインテグラRのDC-2という知る人ぞ知るマニアックな車なんですが

どうせ買うなら面白い車をと思い、購入しました!




話のネタにでもなれば良いなぁと思ったのですが


「舞台設定が中世だから車、出てこねぇじゃん(しろめ二度目)」


と、一人で悶々としております。



別の機会の別のお話しに活かせたら良いな。と思います♪





ホントにどーでもいいことでごめんなさいww


それでは、また次回〜 ノシ

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