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キミとアナタは心星ーアンタレスー  作者: 高原 律月
1– 雪の舞う夏の夜に
6/31

#5. 明星から滴る甘い雨。

 生まれてから多分、初めてなんだろう。


 私はこれまで誰かと関わって生きてきた事なんてないし、しようと思った事も無かった。

 何時でも遠巻きに見られ、疎まれ、笑われて生きてきた私には、誰かと関わるなんて只の枷で鎖だと思ってた。

 一人でいる方が気が楽で良い…なんて、所詮は強がりだった訳だ。



 ー だから、多分、コレが初めて。




 もう一つの私、王子であり王女である彼とは繋がりは在ったのかもしれない。

 だけど、ソレは同じ境遇で同じ存在であるというだけ。

 他人だったら他と同じで、なんの接線も無くすれ違ってたハズだ。

 私達は深くで繋がり合っているようで意外にも離れていて、だけどもやっぱりすぐ傍の存在…言葉で言い表せない何かで縛られる様に引き合ってる。



「あの侍女は事を運ぶ事が出来たのかしら?」


 私は部屋の窓から見える立派な月桂樹に向けて大きく息を吐いた。


「はぁ…そう上手くはいくハズないよね」


 昨日の夜、彼に宛てた手紙を侍女に託してみたのだが、この様子だと、どうも上手くはいかなかったらしい。


「いい? アナタにこの手紙を届けて欲しいの。中身は誰にも見られてはいけないし、勿論アナタも見ちゃ駄目だからね」


 そう釘を刺して彼女に一通の手紙を手渡す。

 無論、そんな事を彼女はしないだろうとは解っていたが、そういう冗談を交えた方が彼女への圧力が和らぐと判断してのことだった。


「コレを届けて返事を貰ってくるのが、今回のアナタの仕事。返事を貰ったら…そうね、私の部屋の窓から見えるあの大きな月桂樹の根元に来てちょうだい」


 この城下で月桂樹といえば一本しかない。

 私の部屋に来てもらうより分かりやすいだろうし、人に見られる可能性も多少は少なくなると考え、待ち合わせ場所をソコに決めた。


「わっかりました! で、時間帯はいつ頃が宜しいのですか?」

「お互い夜の方が人目に付かなくて楽なんじゃないかしら? まあ、任せるわ」

「はいな! そーゆう事なら人目に付かないような時間を見計らって来ますねっ!」

「頼んだわよ」


 私達は城内の誰も通らないような廊下で、怪しげにやり取りを交わすと、その場を後にした。


 ただでさえ顔を見る事さも困難な王女に、手紙を渡して返事を貰うなど一日二日では無理があるのは解ってはいた。

 だが、それでも私は待てずにはいられなかった。

 彼女の有能さと立場なら、一日でどうにか出来るんじゃないかと、淡い期待で何度もドアと窓を往復しては、嘆息を吐いている。

 何度目か解らない嘆息を吐いて空を仰ぐと、雲の切れ間から大きくて綺麗な満月が、山の向こうへと傾き始めていた。


 そして、その瞬間ー。


「痛っ! まただ。一体何なんだ、この痛みは…」


 這うほどまでとはいかないが、裂けるような軋むような、何とも言えない痛みが私を再び襲った。

 それと同時に、不可解な疼きが私の身体を走る。

 ヨレヨレの足でベッドに倒れ込むと、深呼吸を繰り返した。

 今まで味わった事もない感覚が身体中に拡がり蝕むと、私はいつの間にやら安息で満たされていた。


「ハァ…ハァ…」


 ぐしゃぐしゃになってしまったベッドを戻す事も無く、私は眠りについていた。

 最後に考えていた事といえば、この痺れるような感覚は何かに似ている…という事だった気がする。


 翌朝、酷く乱れたベッドの中で目を覚ますと、私は唐突にこの痛みとあの疼きが、なんなのかを理解した。





ハジメマシテなコンニチハっ!


高原 律月です♪



いよいよ一章、最後のお話になりました!

大分前(3話辺り)でもう終わりなんて言って、結構経っちゃいましたね(笑)


この「なろう」のシステムだと、区切るトコロが難しくてズルズル引きずるような形になってしまいました。( なろう がどうのより、たかーらに能力が無いというのは内緒でお願いします。)



一応、4話で終わりにしたかったのですが、説明不足と内容が薄い気がして追加で引っ張ってしまいました。

余計に話がややこしくなってしまった感じですが、ここら辺の流した部分は後々説明していきたいと思います。




それでは、また次回〜 ノシ

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