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キミとアナタは心星ーアンタレスー  作者: 高原 律月
1– 雪の舞う夏の夜に
3/31

#2. 花は風に揺れ踊ると実を付けた。

「ギィ…」


 私はノックもせず、部屋へと押し入った。


 ーガタン…。


 慌てた様子で椅子から立ち上がった王女の顔は生気の無い青白い表情だった。


「…っ!」


 そんな王女の顔を見て私は我に返り、フイっと背を向けた。


「ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど…」


 自分の姿を改めて確認して気付いた。

 誰だってこんな姿を見たら嫌に決まってる。

 私は唇を少しだけ噛んでドアノブに手を掛けた。


「…っ!?」


 部屋を出ようとすると、背中が急に暖かくなる。

 私が振り向くと、王女は震えながら私の背中にしがみついていた。


「良かった…良かったよ。無事で良かった」

「どうし…て?」


 顔を上げた瞳からは大粒の涙が流れ落ちていて、頬を伝うと、ソレは私の裾に染み込んでいった。


「不安だったんだよ? 怖かったんだよ? 襲われたって聞いて、いても立ってもいられなくて…でも、ここから出れないから。待つしか出来なくて、ただただ不安で、君が居なくなっちゃうんじゃないかって、怖くて…だけど、無事で戻ってくれたんだね」


 困惑する私に王女が笑いかけると、私の口元も意識せずに緩んでしまった。


「じゃあ、やっぱりゴメン…だね。不安にさせて、ごめん。心配させて、辛い思いをさせて、ごめん。そうだったよ、私は一目散にアナタのトコロに来なくちゃいけなかったんだ…待たせて、ごめんね」


「うん…、うん!」


 私は王女の瞳に溜まる涙を拭うと、そっとかしづいてみせた。


「ねえ? どうして、襲われたコトを知ってたの?」

「教えて欲しいの?」

「やっぱり良いや。どうせ、はぐらかされる決まってる」

「ご明察。教えてあげない」


 さっきまで冷えきっていた私の手はいつの間にか温かくなっていて、どうしようもない衝動が私を動かしてしまう。

 私は無意識のうちに王女の手のひらへキスを一つして、その手をギュッと握っていた。


「駄目だよ、そんなコトしちゃ困るよ。誰が来るかも解らないのに…」

「無理。嫌だって言われても止められないよ」


 そう。子供が悪いと解っててもイタズラしたくなるのと同じーー。

 細い腕を無理矢理に引き寄せると、硝子細工のような肩を目一杯、自分の胸へと押し付けた。


「好きだ…好きだよ、大好きだ! これからのコトなんてどうだって良い、私は今っ、 こうしたい! だから、こうさせてくれ!」


 ーーするりっ …。


 渾身の力で押さえつけてたハズなのに、私の胸からあっさりとソレはすり抜けてしまった。


「俺は嫌だね、そんなの。嫌いだ、君なんて」


 王女は私の背後に回ると、耳元に見えないナイフを突きつけた。


「なん、で…?」

「そうだね…君を堪らなく愛しているし、抱き締められるのもイヤじゃない…けれども、バカは嫌いなんだ」


 そう言って、王女は嗤うように私の体を床に伏せた。


「そんなカッコで抱き締められたって気分が悪くなるだけだし、服が汚れちゃうだろ?」


 先程、しがみ付いてたのは良いのだろうか…そう思いつつも、私は為すがままに王女に身包みを剥がされる。


「ちょ…やめっ! 何してんのよっ、アンタぁ!!」


 足をばたつかせて抵抗を試みるも、意にも介されず、私は下着を残して剥かれてしまった。


「煩いなぁ。こうしたいって、言ったのは自分なのに、されたら嫌なの?」

「押さえられて剥かれたら騒ぐでしょ!」

「ふーん。でも…同じようなコト、人にしようとしてたよね?」

「うぐっ!」


 私はスーパー図星くんを打ち抜かれ、言葉を失ってしまう。


「まぁ、どうでもいいけどね、そんなコト。ただ、俺の部屋のドアを開けたからにはタダで返すって訳にもいかないんだよ。ね? 王子様」


 鋭い微笑みを見せつけるように私を仰向けにすると、その陶器みたいに、繊細で、美しく、冷ややかな指が、私の身体を這う。


「ひうっ! や、止めて! くすぐったい!!」

「ヤダ。止めたげない」


 最後にその手は、私の右脚を持ち上げると、隠していた烙印を晒す。


「綺麗だね、とっても…」


 その烙印は私達を閉じ込めるカゴであり、同時に私達を結びつける為の枷でもあった。

 ソレは、私にとって耐え難いモノであり、二人の繋がりを確かに感じるコトも出来たー。



 辱めを受けるような屈辱と、先刻までの命のやり取りとはまた違った興奮の狭間を何度も往復し、それでも自我だけは保とうと必死にもがいてる内に、どれほどの時が流れたのだろう。

 私の心を縛り誘う存在も認識出来ないほどに全てが闇に溶け込んだ頃、仄かな明かりがランプに灯る。


「悪かったよ、意地悪してさ」


 王女は呟くと、私に向けて服を差し出した。


「ふんっ!許さないから!」


 私は奪うようにソレを受け取る。


「ホントにごめん。そこまで怒らないでくれよ」


 私はいじけたように背を向けて、受け取った服を広げる。


「…え?」


 間抜けな声を漏らした私に、王女は言った。


「今日明日はその服を着れば良いと思うよ。そっちのが似合うから」

「え? でも、それじゃあ…」

「いつも頑張ってるんだから、たまには息抜きしなよ。どうせ、一日中ココに居るだけだし…大丈夫、俺に任せて」


 そう言って王女は私の服に袖を通し、王子に変わる。


「だけど、どうするの? 私、知らないよ。王女の嗜みだとか、振る舞いだとか」

「大丈夫、だいじょーぶ! 暇って意味じゃなくて、本気で一日中ココに居るだけだから」

「嘘、でしょ…?」


 彼は悲しそうに笑うと、私の頭をクシャクシャと掻き回す。


「あ! たまぁーに、侍女とか様子見に来るから、その時は背筋伸ばして笑っとけ。まぁ、後で何か聞かれたらテキトーに誤魔化すさ! ソレに…」


 立ち上がった彼の姿は私が着ている時より何倍もサマになっていて、思わず見惚れてしまう。


「こんな汚ねぇ服着てるよか、そっちのが俺は好きだぜ」


 彼はそう言って、部屋を出て行ってしまった。


 ーバタンっ。


「あ…」


 狐につままれたような一瞬の間に、奇しくも本来在るべき状況へと入れ替わった私は首を傾げた。


(入れ替わってみて思ったのだが、キャラまで変わってないか? というか、ヤツの中の王子様像ってあんなんなのかぁ…ホントに大丈夫なんだろうか?)




 一抹の不安が脳裏をよぎった。


ハジメマシテなコンニチハ♪


高原律月です(=゜ω゜)ノ



はい、第2話です!

前の投稿から大分間隔が空いてきましたね()


色々と構想は出てくるのですが、文章にすると苦戦しちゃうんですよねぇ…(白い眼)

文章力が無いのが悔しいです。


時間が無さ過ぎて泣きたくなってきました。

あぁ、人間辞めたい…(´・ω・`)


上手くいかなくて何回も改稿して、ようやく投稿まで来たのですが、多分あとで見直して納得いかなくて、また改稿するんじゃないかなぁと思います(笑)


出来た段階で上げるだけ上げとけば良かったなあー。なんて思ったのですが、後のふぇすてぃゔぁーですね。


後書きを書く暇あるなら先進めろ、遅筆。

と自分に言い聞かせながら、3話も鋭意制作中ですのでお楽しみにっ!


下らない雑談にお付き合いいただきありがとうございましたー♪






それでは、また次回〜 ノシ


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