夜に捕まる
使用お題ふたつ
夜に捕まる。
心音は早いビートを刻む。
隣にいたあの人は誰?
俺が知らない男が君の隣で笑っていた。君も笑顔で会話は弾んでいる。
君と俺はお互いに『好きだ』と認めあう関係。
それを過去形になんかしたくない。
『あの日まで君のことは好きだった』
そんな言葉を使わせたくない。
夜に捕まる。
闇に捕まる。
信じてる。
それなのに、怖いんだ。
「好きだ」
手を伸ばす。不安の心のままに君を捕まえる。
「バカだなぁ」
鮮やかに笑う君に見惚れる。
そのたびに募る『好き』心は止まらない。
「バカじゃねーよ」
君の手が俺に触れる。
少しひんやりした君の手の平に俺は顔を押し付ける。
「バカだよ」
君はくすくす笑っている。
さらりとした柔らかな指先。
君のすべてが俺のもののはずなんだ。
「あの日までの君は好きだった」
君の声で紡がれた過去形が胸に痛く突き刺さる。
『スキダッタ』
その言葉の攻撃力はどこまでも高い。
それなのに君は楽しそうに笑ってる。
「だからね」
この先の言葉を俺は聞きたくない。
それでも酷いことをして嫌われたくない。
どうふるまえばいいのかわからなくて俺は君の言葉を待つ。
捕まる。
夜に、不安に、闇に捕まりそうだ。
こわい。
俺の鼓動がうるさくて君の鼓動が聞こえない。
君がくれる真実に突き刺される。
「あの日からの君をあたしは愛してる」
ああ。
俺は君に捕らわれる。
「本当に、バカなんだから」
暖かな君のからだ。
確かに感じる鼓動。
今、ふたつ重なる。
今日のシチュエーションは…
「あの日まで君のことは好きだった」/「隣にいたあの人は誰」です。
http://shindanmaker.com/563078
お題は〔夜に捕まる〕です。
〔直喩禁止〕かつ〔音の描写必須〕で書いてみましょう。
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