祈祷師
使用お題ひとつ
それは、オフ会だった。
それはもうプチオフ会のハズだった。
指定のコスプレで落ち合うハロウィンオフ会。
遊園地とかのイベントなら先取りでやってるからさ。
相手はパンプキンヘッド。
私はミイラ男だ。
チャットで使ってるハンドルネームの名札をつけて約束通りパレードを見送った。
残っているカボチャは二人。そこまでは覚えてる。
気がつけばここに居た。
「どうしましょう。みゅんかーさん」
くぐもって聞こえる声は性別がわかりにくくなる。
とりあえず、《シャツは白》という名札を付けたカボチャがそこに居た。
「白ちゃん?」
「はい」
ソソっと距離が開いた。
まあいいかと思う。チャットでもオンゲでも気をぬくと空気感たっぷりに距離を置いてくる子だったから。
「ココなんだろ?」
「あ。異界です。雨乞い祈祷が上手くいけば自動的に帰れますから、安心して下さい!」
異界!?
異世界トリップ!?
「ほら、みゅんかーさん、白は祈祷師ですから!」
オンゲの話じゃなくマジで!?
つーか、全てが安心できない要素だよね。
「ですから、こっちを見ないで下さいね。はずかしいでしょう」
パンプキンヘッドがゆらゆらと揺れる。
「あー。うん。むこう、むいてる」
そう言って壁とお見合い。
触ったって材質なんかわからない。セメント流したあの感触とも道路のアスファルトとも違うし、木材みたいに年輪が見えるわけでもない。
まぁ、興味のない暇つぶしだけどさ。
幸いにして、呼吸はできる。
異界ってなんだろうなぁって思うんだ。
上を見上げても壁と同じような天井。光源はあるけど、何かわからない。
ひたり
生温い感触に足元を見るといつの間にか足元に水が溜まっていた。
ぞっとした。
振り返れば、そこには壁。
「白ちゃん?」
「みゅんかーさん、雨乞いがうまくいけば帰れますからね」
上の方で声が聞こえる。
そっか。
揃って帰れるって白ちゃん言ってないね。
それとも、ちゃんと帰れるかな?
生温い水は膝まできてる。
恥ずかしがり屋の祈祷師と性別すら知らないチャット仲間との密室でのお話書いてー。
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