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恋文
使用お題ひとつ
ぱたんとおもい紙の音
音もなく滑り落ちた古びた封筒。
綴ったまま渡すことのなかった手紙。
書き連ねた季節は梅雨。
しとしとと雨が降っていた。
霧雨に揺れる紫陽花の葉。
ぐじゅりとぬかるむ道。
土と草のにおいが絡む腐敗臭。
そんな風の湿り気すら思い出せる。
それなのに。
それなのに、覚えていないのだ。
私は、
どんな気持ちで、
誰に、
この手紙を書いたのだろう?
窓の外は雨。
私は紙を広げる。
かさりっと小さな音。
あなたが好きです。
お題は〔恋の音〕です。
〔キャラの年齢操作禁止〕かつ〔キーワード「手紙」必須〕で書いてみましょう。
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