バーカ
使用お題ひとつ
「好き。気付いてよ、バーカ」
届かないと知りつつ校門を出ようとしてるあいつの背中に呟く。
声は窓ガラスに遮られてあいつに届くことはない。
あいつとは初等科の頃からの幼なじみ。
私とあいつで姫の取り巻きのトップを張ってる。
ずっと、一緒に姫を守ってきた。
いつしかあいつが特別だった。
姫を別にすればあいつだけが特別だった。
私とは違うあいつ。
あいつはきっと気がつかない。
「好き。気付いてよ、バーカ」
本当に私はバカだ。
「ああ。好きだ。まだいたのに気がつかなくて悪かったな」
なんで、ここにいるんだ?
驚きに息を飲んだ。
「一緒にかえろう」
差し出される手。
「嫌われてるんじゃないかと心配したんだ」
「嫌うわけないでしょう?」
あなたははにかんだ笑顔を浮かべる。
教室は夕暮れの茜色。
「お茶して帰らない?」
一瞬の躊躇い。
「冗談よー。帰りましょう」
笑顔を貼り付けて鞄でスカートを抑えつつ、その場でターン。
知ってるの。
あなたの好きと私の好きのズレた温度差。
「なぁ。どうすれば、かわいいと思ってもらえるかな?」
不安そうに囁く貴女はとてもかわいい。
「まぁ。ナイトがお姫様になるのね」
からかえば頬を膨らませて、そっぽを向く。
「仕方ないだろ。姫と彼は違うんだ」
家が定めた許嫁。
そんなモノに貴女は夢中。
私の好きはどこまでも届かない。
『男らしいな性格と強引な性格の女子。関係は理系と理系で叶わない恋です。そんなあなたが相手に伝える言葉は「好き。気付いてよ、バーカ」』です。
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理系要素は含まれておりません。




