空のあお
使用お題ひとつ
赤茶色の焼き煉瓦を組み合わせた路地。
黄色くくすんだ土塀。奥にある家屋は外からは見えない。
低木の緑は砂にくすんだ色。
世界はどこかくすんでる。
ただ、空だけが青かった。
どこまでもどこまでも抜けるように蒼かった。
一歩ずつ確かに歩いてきた。
世界は広く見出せるものは狭い。
正解なんかわからない。
ただ進んできたんだ。
傷ついたけど、きっとたくさん傷つけた。
痛みを知ることができたから、痛みを恐れることを知った。
正しさがひとつじゃなくて、正しいことがやさしい事じゃなくて、世界はくすんだ靄の中複雑に絡み合う。
愛されてきたから愛したい、信じたいと思えるのかと言われれば、そうかもしれないけれど、けれど、思いたい。
誰だって誰かを愛したいし、愛されたいんだと。
信じて欲しいなんて言えない。
ぼんやりと空を見上げる。
「おい」
遠い声を耳が捉える。
「探しただろうが」
水の匂い。
車の匂い。
懐かしいのは花の匂い。
甘い甘い匂い。
ぬけるようにどこまでも蒼い空。
君にたどりつきたいのに……。
「おい!?」
君に会いにいくのは。
こんなにも、遠い。
お題は〔こんなにも、遠い〕です。
〔カタカナ語禁止〕かつ〔匂いの描写必須〕で書いてみましょう。
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二回目。




