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夢限
使用お題ひとつ
遠い遠い。
ここはありたい場所からとても離れた遠い場所。
新緑の匂いを纏わせた雨粒が落ちてくる。
手を伸ばしても何かに触れることはなく、ただ崩れ落ちていく。
世界に満ちた朽ちた匂い。
死臭と人は言うのだろう。
そこに佇み思考する。
ああ。
生きているのだ。
手を濡らす雨は冷たく身体を冷やす。
奪われる熱。
それは奪われる熱を未だ持っているというその事実。
朽ちた死臭。
生きていた事実。
それは生きて続いていく事実。
死ぬことは生きること。
なんのため?
手を伸ばしたい。
欲しいものを欲しいと。
大切なものを大切と。
愛おしいものを愛おしいと。
届かなくとも手を伸ばす。
命は生き続け死に続ける。
雨が降っている。
命は巡る。
理想夢。
違えてもいいと気がついて、求めた場所を見直せば、ああ、ここは……。
こんなにも、遠い。
お題は〔こんなにも、遠い〕です。
〔カタカナ語禁止〕かつ〔匂いの描写必須〕で書いてみましょう。
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