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ふれる
使用お題ひとつ
あなたは僕に触れる。
汚れて、汚れて、どうしようもなく変われない僕に触れる。
「大丈夫。変われるから」
その言葉が優しい。
僕からあなたに触れたのは一度だけ。
『助けて、ほしい？』
そう差し出された手を取ったその時だけ。
僕はあなたを傷つけたくて、傷つけたくなくて逃げたくなる。
僕はあなたが嫌い。
手を差し出してくれて、抱きしめて。
『大好きだよ』
そんなわけのわからないことをあなたは囁く。
僕は何人かの一人。
僕はきっとものすごく汚れてる。
だって、あなたに触れた相手が許せない。
「ずっとじゃないけど、ここにいるよ。ずっと、そばにいてやれないけど、ずっと好きだよ」
あなたは僕らを撫でて額や髪にキスを降らせる。
僕は逃げたくなる。
あなたはどこまでも残酷で、優しい。
甘い世界なんて知らないままでいたかった。
甘い世界を見せるあなたを僕は汚したくないんだ。
僕はあなたに触れない。
触れたらきっと止まらないから。
あなたに触れない。
あなたは触れる。
穢れからは逃げられない。知ってるのに。
あなたにキスをもらうとあなたの魂に触れたいと思ってしかたがない。
ねぇ。
僕だけを見て。
僕だけを救って。
僕だけを愛してよ。
僕はあなたの魂を縛りつけたくてしかたがない。
あなたはきっと無防備だから。
呪縛するのはきっと簡単。
だから。
僕は甘い誘惑から逃げてあなたの差し出す甘い世界で微睡む。
触れてくれるから。
僕からは触れない。
僕はあなたを無くしたくないんだ。
変われる？
変われない？
お題は〔触れない〕です。
〔「！」の使用禁止〕かつ〔「逃げる」描写必須〕で書いてみましょう。
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