黒騎士と下働き3
使用お題ふたつ
「白炎の旋風よ。我が声に応えよ! 灼熱の地獄を描け! 我が声に我が心に応えよ! 殲滅せよ! 殲滅せよ! 我が力に応え炎熱をもって灼きつくせ! 我が黒槍が示すままに!!」
黒騎士が掲げあげる黒槍の上部に白い閃光を跳ね散らかす魔力の塊が展開されている。
強く魔力を帯びた彼の人の詠唱はじんじんと僕の触感を刺激する。
槍が目指す先には多くの人が住む人の街。
黒騎士の口元は愉快そうに弧を描く。
その姿に僕は身を震わせる。
遠い。遠い。本当はもっと近くで見たい。
戦場から離れた丘の上。樹にのぼって僕はあなたのいる戦場を見下ろす。
心焦がれて、このまま身を焦がすほどに焦れる。
今、あなたの心は討ち滅ぼすものにだけ向けられていてああ、こんなにも心が遠い。
あなたのいる場所に黒鉄の矢の雨が降り注ぐ。
当たり前の迎撃。
あなたは嬉しげに笑っている。
僕は意識を集中する。
矢はどこから放たれた?
さぁ、彼が誘ってきた狩りを始めよう。
◇
城内は慌しかった。
人の国を攻めると兵士達がざわめいていた。
「ソロ! 戦だ! ついてこい!」
思わぬ言葉に僕は身を震わせる。
「はい!」
僕は手に持った道具を同僚に押し付けてあの人の背を追う。
僕は何もできない。それでも僕はあなたのそばで雑用をこなす。
作戦を組み立てる天幕の内側で僕は空気のような存在感で飲み物を注ぎ、書き物ようの紙を配り展開される魔法地図を記憶する。
外に出て息をつく。
ここは城の外。
外敵から守ってくれる壁はない。
ぷちりと指を引き抜き草に棄てる。
川の位置。獣道。人が使う道。
一番最初の攻撃地。その次の予定地。その次の候補地三箇所。
黒騎士の乗せられて単騎で駆けた。
あなたに抱かれて夜を駆ける。ああ、このまま溶けて、ひとつになりたい。
「あそこだ」
あなたがそう言い、指差すのは開けた草原。
地図を思い出しながら放った触手が感じるものに意識をそわせる。
あそこが一番、狙いやすく、狙われる場所。目立つ場所。
ぶちぶちと左手を引き千切る。
ああ。体が軽い。
僕が薄まっていく。
「ソロ」
あなたの声が僕を染める。
「ここから狩りがはじまる。人を殺せるか?」
ヒトを殺す?
それがあなたの敵ならば、僕は迷わない。
「はい」
「そうか」
◇
さぁ、狩りがはじまる。
僕はあなたに意識を集中する。
あなたを狙う射手から狙おう。
もう彼らは僕の触手の中。
触手から食べるのは初めてだけど、意識を集中すればいいと本能が囁く。
僕はあなたのもの。
「ぁあ。ヒトって美味しいんだ」
お題は、『このまま溶けて、ひとつになりたい』『このまま身を焦がす』『心が遠い』です。
#jirettai http://shindanmaker.com/159197
『獰猛』な『騎士』と『左手が触手』な『モブ』の組み合わせで、ヤンデレ話を書きます!
http://shindanmaker.com/482075




