黒騎士と下働き2
使用お題よっつ
誰かの、あなたの物になれたと思った。誰かの特別に。
特別じゃなかったのなら希望なんて持たせないでほしかった。
僕の手はあなたに届かない。
他の誰かを触れるのが許せない。
同時にその誰かに嫉妬する資格なんか僕にはなかった。
僕はごく普通に大衆に埋没し、空気のように雑事をこなす。
僕は埋没した存在。
没個性。
とりえなんかない拾われた下働き。
ぶちぶちと左手をむしり撒き散らす。
僕の左手はヒトの手とは違う。
散った左手はうにょりと地面を壁を這い隅にまぎれていく。
やくそく、だと思うんだ。
僕は、……あなたのものだよね?
僕はそっとあなたの部屋に忍んでく。
ねぇ、僕の前に鍵なんて意味がないんだ。
「どうしたんだ。ソロ」
あなたは甲冑を解いてくつろいだ格好で椅子に身を沈めてる。
「僕はあなたのものですか?」
「ああ、そうだ」
ゆっくり吐き出される言葉は酔っているよう。
「おいで」
僕は彼の言葉にそっと側によっていく。
椅子に沈むあなたの唇に唇を重ねる。
「貴方のしるしが欲しいんです」
我慢できないんです。
不安でたまらない。
満たされる希望は簡単に破られる。
裏切るなら希望なんか持たせないで欲しかった。
拒絶なんか聞きたくない。
「カタチなぞ消えるぞ」
ぐっと抱きしめられる。
「それでも、不安なんです」
あなたは高らかに笑う。小ばかにするような眼差し。
その眼差しは強く眩しい。
「どんな思いで抱きしめても、自分の背中に手が回らないことを知ってる。思うものには届かず手を伸ばして失っていく。得るものなど刹那に過ぎない」
それでもそれでも、それでも。
「僕はしるしが欲しい」
僕のすべてを使ってあなたに触れる。
「ここまで俺を独占してそれでもなお不足か!」
あなたは笑う。
「僕はあなたに独占して欲しい。独占、してよ」
「欲深だな」
見下げる眼差し。
それでも僕は今、あなたの視線を独占してる。
体が熱い。
「もっと、じらして」
熱いんだ。
あなたは『希望なんて持たせないで欲しかった』ソロを幸せにしてあげてください。 http://shindanmaker.com/474708
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今日のお題は、『じらして、もっと』『独占してよ』『やくそく』です。 #jirettai http://shindanmaker.com/159197
『獰猛』な『騎士』と『左手が触手』な『モブ』の組み合わせで、ヤンデレ話を書きます!
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