信じてる
使用お題ふたつ
ねぇ、僕は君のすべてを信じてる。
たとえ君と出会えなくとも、僕の知らない場所で君は生きるだろう。
だから何もこわくない。
ただいま、さよなら、また今度。
きっと次は出会えるよ。
君が迷わず幸せでいることを僕は祈ってる。
「起きろ! バイトに時間だろう!」
俺の朝はバイトの開始一時間前に始まる。
薄目を開ければ仁王立ちの君。
「んー。眠い」
甘えるように手を伸ばせば腹に蹴りが入った。
「週三日のシフトぐらい乗り越えろ」
「お前は?」
聞くまでもなかった。
君はきっちりと出勤準備。
「ちゃんと戸締りしろよ? 食事は準備してあるから。遅刻、しないように、な」
君の仕事は週五日。帰ってくるのは早くて夜の七時。朝も七時に出るのにな。
世の中そのぐらい働いても生活はギリギリになるらしい。
八時から昼過ぎまでのコンビニバイト。
部屋に帰ってぐーたらする。
「ただいま」
「おかえりー。しゃけ焼いて飯炊いてあるぜー」
「ありがとう」
疲れてぐったりした表情に明るい光が差して、言いようもなく嬉しくなる。
二人で囲む食卓。
しゃけは生鮭だった所為か塩味が足りなくて味気なかったけれど、誰かと囲む食卓は嬉しかった。
「時間は、あるからさ」
転がり込んだときはそんなこともしなかった。
何かをしようとは思わなくて、思えなくて、ただ世話になっていた。
今だってコレと言って働きたいとは思わない。
何かしたいことがあるわけじゃない。
それでも、君が笑ってくれるからちょっとバイトして、慣れない食事の準備をしてみる。
君がただいまと言うから。
君がありがとうと笑ってくれるから。
俺は君といれるこの時間を信じてる。
無気力なアルバイターとそいつを養うことになってしまった人物との365分の1日の物語書いてー。
http://shindanmaker.com/151526
お題は『僕の知らない場所で君は生きるだろう/ただいま、さよなら、また今度/君のすべてを信じてる』です。
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