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孤独の恋
お題ひとつ
「喧嘩するほど仲が良いっていうよな」
君は向こうを向いたまま答えない。
わかってるさ。
僕達の間に喧嘩はなかった。
そう、喧嘩をすることなどなく言葉を交わさなくなった。
二人の間にテレビから流れるバラエティの軽い笑い声がむなしく響く。
ぱらりと繰られる本の音。
「いつからだろう」
「なにが?」
久しぶりに聞いた気がする君の声。
「なんでもない」
擦れ違いばかりだね。
そう、
「忘れていいよ。僕も忘れるから」
それなのにどうして涙がこぼれるんだろう?
「なにをだよ」
「僕がお前を好きだってことだよ」
「ああ。すきだぜ?」
それだけでどうして嬉しくなるんだろう。
友達としての好きでも。それでも僕は嬉しくてたまらない。
ああ本当にどうして僕は君に恋をした?
お題【擦れ違いばかりだね。/「忘れていいよ。僕も忘れるから」/喧嘩するほど仲が良い】
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