「友達が欲しいんだ」
使用お題ひとつ
「友達が欲しいんだ」
それでも、信じることができないんだ。友達? 嘘だ。安心させて後で哂うんでしょう? 知ってる。いつだってそうだから。ちゃんと笑って信じるよ。「君は友達」ねぇ? いつまで信じさせてくれる?
「友達が欲しいんだ」
患者はそう言って俯いていた。ゆらゆらと不安定に足が揺れている。どうにもできない呟きにいささか困惑して答えない助手を見上げる。私にあるのは技術だけ。心をそうことはできないのだ。個人情報保守のために24時間で個人情報を削除するのだから。「友達には、なれない」
いつものように理不尽に絡む。先生は自分は友達になれないし、友達をつくるなら退院してからだと困ったように笑む。
突き放す言葉は嘘を感じなくてホッとする。先生なら、信じていいような気がするんだ。
誰かの視線を感じたと周囲を見ればマッチングコーディネーターの制服がいた。
いじめが原因で傷の治療が必要になったというカルテナンバーA-023909に医療ボットD-68が適切な施術をおこなう。
意識を取り戻したカルテナンバーA-023909に68が聞き取りを開始する。今後の改善に繋がる情報ならいいと思うがおそらく無意味だろう。
友だち欠乏症のいじめられっ子と患者の存在をすぐに忘れる医者の、二十四時間と数秒間のお話書いてー。
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