葛藤
使用お題ひとつ
かちゃり。
その音は隣から聞こえた。
妙な緊張で心音がうるさい。
硬い踵が床を打つ音が響いた。
気になる。
隣の住人が動いたというのならひどく気になる。
今まで一切の生活音を立てていなかった存在なのだ。
同時にひどくおそろしい。
今まで一切の生活音を立ててこなかった存在なのだ。
知らないことは知らないままでいた方がいいことも多いということは学んできている。
好奇心は猫をころすともいうじゃないか。
何気なさを装って玄関を開けるだけだ。
それだけでひとつ疑問は解けるはずだ。
隣人も人間だったと納得したいだけなんだ。
葛藤しているうちに気が付いた。
足音が続かないにもほどがあるということに。
あの硬い踵の音ではこの建物の床を静かに歩くのは不可能だろう。
まだ、そこにいる!?
まさか、ここで葛藤していることがバレているのか!?
何気なく何気なくだ。
ドアノブに手を伸ばした。
「夜の玄関」で登場人物が「つよがる」、「かかと」という単語を使ったお話を考えて下さい。
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