花曇り
使用お題ふたつ
ぴたりと足が止まった。
白々とした花弁が指先に貼り付いている。視線を巡らせても花は見当たらず、空を仰いでもただ薄明るい曇り空。
「どこから訪れたのだろうか。君は」
口ずさんでも花弁が応じるはずもなく、また風にひらり飛び去ってゆく。
「よっ」
路地から現れたおまえは当然の表情で私の横につく。その口からこぼれ落ちる益体もない言葉たち。「今日みたいな空を花曇りって言うんだろうな」思わぬ洒落た言葉すらひらほろおちる花弁のように。
気兼ねない友人で気がつけばよく横にいて心を、まぁ、解してくれる。「そんなことをするのは好意を持った相手にだけ」とか言っている博愛主義者。
「ちゃんと前見ろよ」
クッと手を引かれてたたらを踏む。
「危ないじゃない」そう言おうとしたら白い花弁が無数に舞う。
いつの間に誘導されていたのか。胸を締めつける光景に泣きそうになる。
「やだ。もう。好き」
「おう。一番好きなやつと共有するのが一番いいだろ?」
は?
見つめればツッと視線をはずされた。
え?
照れたように笑ってる。
「あーあ、言っちゃった」
題は【春】の季語である「花曇り」を使った「相手の裏の顔を知る」お話です
#季節しばりのお題 #shindanmaker
https://shindanmaker.com/893447
「ぴたりと足が止まった」で始まり、「あーあ、言っちゃった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
#書き出しと終わり #shindanmaker
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裏の顔なぞなかった。&文字数少なめ




