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桜散る夜音
使用お題ひとつ
はらはらと桜散りゆき涙は零れるまま、ただ真白な月の下で夜を見上げていた。
誰が怒るわけではなく、責めるわけでなく白い雲を縫って怒声よりも痛く響くピアノの音色。いっそ責められたいこの身にはそのやさしさがくやしい。
なにもできぬ惨めさに頬に貼りつく花弁を拭った。
うつむきはしない。
なにもできぬままであり続けはしない。
白雲を飛ばし、真白な月が皓々と桜を照らす。
途切れたピアノの音色。
花弁を踏むひどく軽い足音。
振り返ればあなたがいる。
やさしさはいらない。
あなたは責めてなどくれないのだ。
お題は『怒声よりも痛く響くピアノの音色・桜散りゆき涙は零れ・やさしさがくやしい・真白な月の下で・白い雲を縫って』です
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