夏陽
使用お題ひとつ
それは偶然だった。
視線が交差し君が甘く微笑んだ。小さく頭が揺れてただ通り縋った他人へと挨拶をしたのだとしれる。
ざんざんと夏が鳴く。
耳鳴りのような静けさが肌を焼き、動けない。
背を伝う汗がシャツに吸われる。
よく晴れた夏の日だった。
ゆうゆうと大きく飛ぶ蜂に驚き悲鳴をあげて駆けていく少女たちが背景にあった。
木陰は黒々と影をつくり、日差しはどこまでも白かった。
踏めば傾ぐ歩道。ひと気の少なくなったバス停のベンチ。きっともうそんな偶然は起こらない。
ざんざんと夏が鳴く。小さな蟻が忙しなくゆく。見上げた枝で必死になって夏を歌う蝉。
生きている。
汗をかくことを忘れた腕を空へと伸ばす。
青い空に白い雲がわいていて眩しい。
暑い。
痛い。
生きている。
気に留められることなどないのだ。知っていた。一方的に見ていただけだから。
ざんざんと夏が鳴く。君に恋していたのだろうか?
恋に、そう。夏の恋に恋していたのだろうか?
蝉が恋を愛を歌ってる。
つられて恋をしたのだろうか?
暑い。それなのに寒くもあるんだ。
夏の音は騒がしく、どこまでもさむく静かだ。この耳に意味のある音は残らない。
君の足下に伸びた影すら恋しいのに。
それはどこまでも届かない絵空事。
「ああ」
声がこぼれる。
ざんざんと夏が鳴く。空回る思考を馬鹿にするように烏がベンチのそばをうろついている。
おまえなどいてもいなくても同じだと言われてるようで。それは生きていることの肯定で否定のよう。
暑い。
息苦しい。
腕が落ちる。
『……』
君の姿が見えた気がした。
静かだ。
君がこっちに駆けてくるような幻覚まで見えるなんて、ああ、ほんとうに。
ざんざんと夏が鳴く。
「まるで世界の終わりだね」
「それは偶然だった」で始まり、「まるで世界の終わりだね」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字)以上でお願いします。
#書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664
700文字ちょっとです




