雨上がりのココア
使用お題ひとつ
夜の一歩手前時間。片手鍋のミルクにココアパウダーを混ぜているあなたを見てる。荷物を放り出して座卓に上半身をべたりとはりつけてだらしない格好を晒してる。オレンジリキュールのチョコレートをひとつ片手鍋に落としたのが見えた。美味しかったから食べてほしくて贈ったのに使い方としてはなんか違うんじゃないのかなって思ってしまう。
「雨で冷えたろ」
置かれたカップは甘いココア。
「ありがとー」
つるんとしたぶあついカップはじんわりと熱い。指先が冷えてたんだなぁと思い至る。
「濡れた靴下のままじゃないだろうな」
むっつりと言われてなんだかおかしくなる。
「靴下濡らすほどの雨じゃないし、水溜りには飛び込まないからね」
「……そう」
どこか不信そうな声にイラッとしなくはないけど心配されているのは嬉しかったりする。
「おいし」
息を吹きかけながらちびりちびりと飲むココアはすべての理不尽を許す気になれるものだと思う。むしろ今決めた。
「あまり遅くなる前に帰れよ」
「えー。とーめーてー。うちの両親もここならイイって言ってるしぃ」
「送るから、帰れ」
「デートね!」
「いや、送るだけだぞ?」
「いーの」
一緒が嬉しくて立ち上がろうとしたら肩をおさえられた。
「飲み終えてからでいい」
ついと視線を逸らしながら言うものだから私はにやにやが止まらない。
「お茶菓子も希望します!」
言い訳が出来たとばかりに冷蔵庫を見に戻るあなた。
私は夕方のあなたのアパートでだらしなくしあわせにひたってしまう。
好きだなぁ。
「夕方のアパート」で登場人物が「許す」、「ココア」という単語を使ったお話を考えて下さい。
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