抱きしめないで
使用お題ふたつ
もうずっと前から消えてしまいたかった。
そう呟く君は笑顔でその言葉がひどくちゅうぶらりん。
その言葉通りに君は私の前から姿を消した。
いつだって楽しそうに笑っていた君が消えてしまいたいと思えるほど、君には居心地の悪い生き難い世界だったんだろうか?
笑っていたから。
なんて理由にならないとわかっては、いる。理解しているかと聞かれれば自信は、ない。
笑顔で、いつも楽しそうだった君がいなくなる前にそっと告げてきたから。君が消えたことに疑問を抱かず、それでもただ心配を募らせ忘れられない。
笑顔が哀しい記憶に結びつくなんてロクでもない。
楽しそうに笑っている姿を「もしかして」なんて疑ってしまう私の人間性が嫌になる。
誰かの笑顔を見るたびに君の笑顔を思い出して心臓が痛い。
違う。
きっと何もできない自分自身とそんな無力感を私に教えた君に八つ当たりじみたウラミゴトが私自身を苛んでいるだけだろう。
ウラミゴト。「どうして?」と答えのないちゅうぶらりん。
慰めて欲しい訳じゃない。
ただ心配の重さが教えてくれた。
「私は、君が好きだったんだ。君も私を好きなんだと思っていたんだ」
それなのに君は躊躇なく姿を消した。
「怒ってるんだからな!」
つい荒げた私の声にも君は穏やかな笑顔。慰めてなんて欲しくない。伸ばされた手を拒否する私に黙って頷いたその瞳があんまり優しくて泣いてしまった。
お話は
「もうずっと前から消えてしまいたかった」で始まり「黙って頷いたその瞳があんまり優しくて泣いてしまった」で終わります。
#こんなお話いかがですか
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お題は〔抱きしめないで〕です。
〔キャラの年齢操作禁止〕かつ〔キーワード「心臓」必須〕で書いてみましょう。
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