幻燈屋
使用お題ふたつ
ずっと貴方を探していました。そう言って微笑む君に差し伸べられる手がひどく怖かった。
暗く眩い作業場でひとつひとつ命の残滓を加工するそんな私に向けて、妨害する横槍のように差し込む、差し伸べられる手にその言いようはあまりだろうか。求められるべきは私ではなく、私の手で構築された道具のはずなのに、君は作品に見向きもしない。
破壊的暴力的に美しくあった私の伴侶。壊れた時から私はこの作業場から動くのをやめた。
人の色に興味が持てなくなった。
それを誰かに突きつけられることは心をひどく苛む。許されていた。人以外の命の残骸の色にその関心を向け続けることを。
遠いどこかでわかっていたとは思う。
私が人である以上、人から目をそらしては美しいものを作り続けることは出来ないと。
「ずっと貴方を探していました。貴方が必要なのです」
君は穏やかに微笑んで語る。
求められているはずなどない。
私が必要とされたのはもう随分昔の話だ。
「ずっと貴方を捜していました」で始まり「もう随分昔の話だ」で終わります。
#こんなお話いかがですか
https://shindanmaker.com/804548
お題は〔差し込む、差し伸べられる〕です。
〔カタカナ語禁止〕かつ〔色の描写必須〕で書いてみましょう。
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