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触れない
使用お題ひとつ
彼女は透明な壁のむこうがわにいるかのように触れられない。
もちろん手を伸ばせばその体には触れているのだ。
なめらかな吸いつくような手触りを感じさせる柔肌はほんのり黄桃のクリーム色。
優しく笑む濃い瞳はどこまでも宵闇色。チラチラと火が揺れる。
視線が交わればにこりと微笑んで会釈すらする。
なにかがかけてるわけでも多すぎるわけでもない。ただ、彼女は誰にも触れないし、誰にも触れることはできはしないのだろうとあたしにそう思わせた。
「お友達になりましょう」
そう声をかければ、はにかむようなしぐさで「ええ」とあたしに手を伸ばす。
あたしはほんの間考えてその手をとらない。
ただ抱きしめて笑うのがよく思えた。
お題は〔触れない〕です。
〔「!」の使用禁止〕かつ〔「女性」の描写必須〕で書いてみましょう。
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