再会は花舞う中で
使用お題ひとつ
はらほろと落ちる花のひとひら。
私は君の言葉に髪を揺らす。
伸ばされる手は力なく床を汚すばかり。
私はただ見つめている。
君はなにを望んでいたのか、私にはわからない。
千年、魔王として世界にあれば、世界は一度なかったことになると言う。
残るのは閉じて場所に残された目覚めるかもわからぬ無力な者らで世界はゼロから、マイナスから再出発することになるだろう。
「あと一年」
誰も私を止めに来ない。
君は止めに来たのだろうか?
それでも君は私を止められない。
花に埋もれる君。私は視線をあげる。
「面倒だから、終わりだ」
知らない声。込み上げた気がしたのにこなかった血の味の錯覚。
それが私の最後の記憶。
夢の中で君は言ってた。
「君は、僕といて、幸せだったのかな」
私はあの頃、幸せを理解していなかった。
誰かが裏を持たず私のためだけになにかを与えてくれるなど信じていなかった。
君を疑い続けた。
違うね。信じることを諦めた私には君はただそこにいるだけの道具だった。
君は私に危害を加えたりしなかったのにね。
したのは死を覚悟して私に声をかけただけだった。
「きれいなんです」
そう言って君はひろげた布に積みあげた花弁を私に見せた。
私はその行動の意味を理解できなかったけれど、君を止めなかった。
はらほらと落ちる花弁。
私はね、今君を疑っているんだ。
マグレッチェを聖女に祭りあげたのは君じゃないかと。
思考を手放す生き方はとても楽で息がしやすく私は私を忘れやすい。
事実それは間違いではないのだ。
私はすでにマグレッチェではないのだから。
明るい黄色の花弁が舞っている。
君が私に見せてくれた花だったね。
「美しいですよね」
声に振り返ると一人の青年が私を見下ろしていた。
さわりと背中に怖気が走る。
ねぇ、君。
君は過去を引きずっているのだろうか?
『君( は )僕( といて)幸せ(だったのかな)。』
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