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また、いつか
使用お題ひとつ
ひゅうひゅうと吹く風がすべてをどこかに運んでく。
乾ききってもろもろの木の葉ががさりと雑な音をたてて靴先で砕ける。
実りの季節は過ぎ去り凍てつく眠りの季節が訪れる。
布の隙間からなぶっていく風がもたらす痛みはじきにマヒするだろう。
足を、この足を止めるわけにはいかないのだ。
背に負う荷物の重みは冬の眠りの重み。
この旅が終わるころにはどれほど軽くなっていることだろう。
ひゅうひゅうと風がすべてをどこかに運んでいく。
風にはなれない。
それでも荷物を運ぶのだ。
誰も待たない、見送らない。
誰に望まれていなくとも。
「さよなら、さよなら、またいつか。さぁ、冬を眠れ。暖かな春が訪れるその時まで」
だぁれもしらない。
覚えていない。
さぁ、冬を眠れ。
お題は〔さよなら、さよなら、またいつか〕です。
〔固有名詞禁止〕かつ〔季節描写必須〕で書いてみましょう。
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