大好き
お題三つ
お兄ちゃんとの歳の差は五歳。
お兄ちゃんはいつだって私たちに優しい。
今はちょっと受験勉強で忙しくしてるけど。
うん。
私の初恋はお兄ちゃん。
かっこいいお兄ちゃんも優しいお兄ちゃんもいるけど、私が一番好きなのはお兄ちゃん。
こどもあつかいしかしてくれないお兄ちゃんはちょっと嫌い。でも、他に恋人をつくったりしないからちょっと安心。
だから、嫌いとは言いきれなくて、いつだって中途半端。伝えて嫌われるのがこわくて言い出せない。
恋人なんかができたなら私から世界が君を奪おうとしてるのだと錯覚する。
トンっとわいたこの感覚は自分のモノのような誰かのモノのような違和感をともなって。
また、奪われるのか。と強く思うことにどこかこわくなる。
どうせならおとぎ話のように結ばれたい。
だって、ハッピーエンドが好きだから。
だから。
だからね。
「ごめんね。もういらない」
私は私の心だけでいい。
「え、ホットミルクじゃなくてココア?」
お兄ちゃんがぴたりと砂糖のトングを宙に泳がせる。
「お砂糖いらない」
受け取るのに手を伸ばす。
笑って手渡ししてくれるお兄ちゃんが好き。
「お勉強あるんだからホットミルクくらい自分でつくれるわ」
むしろ私がつくって持っていってあげる!
「気分転換になるし、ヤケドしたら痛いぞ」
ダメって言われてやりたいことをくじかれた気分。
「ふてくされて!」
お兄ちゃんが明るく笑ってほっぺたをつつかれる。だってダメ出しされたら、本当に子供あつかいで。
「大好きなの」
「ありがとう。大好きだよ」
お兄ちゃんのそれは身内としての大好きだと思う。私、特別に好きなんだよ?
それでも、大好きと言ってもらえただけで嬉しいの。
「お兄ちゃん、大好き」
カップを置いてお兄ちゃんに抱きつく。
『大好き』って言葉はなによりの贈り物。
返してほしいから私はたくさんお兄ちゃんに向けて『大好き』と贈る。
他の人にお兄ちゃんは贈らないでね。
でも、嫉妬心はお兄ちゃんの前ではいらないの。
だってお兄ちゃんのくれる『大好き』は今、私だけに贈られてるから。
「ああ。大好きだぞ」
小さく積み重ねていくの。
素敵な『大好き』のプレゼント。
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shindanmaker.com/293935
「ごめんね、もういらない」
#この台詞から妄想するなら
https://shindanmaker.com/681121
とにあへのお題【お伽噺のように結ばれたい。/世界が君を奪おうとする。/「嫌い」とは言い切れなくて】
https://shindanmaker.com/287899




